2024/10月第五週のゾンビ論文 ゾンビを探してゴジラとキョンシーに出会った
本物のゾンビについて書かれた論文を探すべく、Googleスカラーのアラート機能を使い、ゾンビについて書かれた論文を収集している。
アラートの検索条件は次の通り。
「zombie -firms -philosophical -drug -biolegend -gender -narrative -network -AI」
「zombie -firms -xylazine -biolegend -DDoS -Chalmers -narrative」(取りこぼし確認用)
「zombie」をキーワードにゾンビ論文を探しているのだが、比喩としてゾンビを使う論文も多いため、「-◯◯」で比喩としてのゾンビを扱う論文を排除している。排除したいゾンビや論文は、以下の通り。
「-firms」:ゾンビ企業
「-philosophical」「-Chalmers」:哲学的ゾンビ
「-drug」:ゾンビドラッグ
「-network」:情報科学系の論文ならなんでも
「-DDoS」:ゾンビPC
「-biolegend」:細胞の生死を確認するゾンビ試薬
「-gender」:ジェンダー学系の論文ならなんでも
「-narrative」:ゾンビ映画・小説などの評論
「-AI」:人工知能を扱う情報科学系の論文
検索条件1には一般性の高い排除キーワードが含まれているため、それらが不必要にゾンビ論文を排除していないかを条件2で確かめる。
今回、10/28~10/31の期間で収集し、以下の通りの論文を得た。
「zombie -firms -philosophical -drug -biolegend -gender -narrative -network -AI」二件
「zombie -firms -xylazine -biolegend -DDoS -Chalmers -narrative」五件(条件1との重複を含めれば七件)
検索条件1は比較文化学が二件だった。
検索条件1「zombie -firms -philosophical -drug -biolegend -gender -narrative -network -AI」
ゴジラ70周年: 怪獣研究の時代
一件目。
アラート日付:10月29日
原題:Godzilla at 70: Time for Kaijū Studies
掲載:Humanities
著者:Steven Rawle
ジャンル:比較文化学
タイトルの通り、怪獣研究に関する論文。ゾンビやヴァンパイアは盛んに研究されている一方で怪獣はあまり研究されていない。その理由を考察し、怪獣は大いに研究される資質を有しているのか検討している。
過去のモンスター研究やそこから派生した怪獣研究などを参照し、怪獣研究の変遷を語り、最終的にゴジラ映画の分析を行っている。ただ、研究が少ない理由は、単に作品の数が少ないからだと思うのだが。怪獣漫画はいくらか見るが、映画はゴジラとパシリムくらいしか記憶にない。
ゴジラの分析はちょっと面白いかもしれない。
ジャンルは比較文化学。
チャイニーズゾンビ
二件目。
アラート日付:10月24日
原題:Zombies chinois
掲載:Zombis. La mort n’est pas une fin
著者:Vincent Durand-Dastès
ジャンル:比較文化学
「中国のゾンビについてどれほど語れるでしょうか?」で始まるアブストラクト。もちろんキョンシーのことだ。キョンシーをゾンビの一種だと思ってほしくないなあ。
Dans quelle mesure peut-on parler de zombies chinois ? Si aucun être de la tradition chinoise ne ressemble trait pour trait au zombi haïtien, on notera que le thème de la réduction des morts en esclavage est présent à travers des figures comme celles du chang 倀, fantôme obligé de procurer de nouvelles proies au tigre qui l’a dévoré, ou des victimes du poison gu 蠱, réduits à servir, ante mortem comme post mortem, le sorcier qui le leur a administré.
(中国のゾンビについてどこまで語れるでしょうか?中国の伝統にハイチのゾンビに正確に似た存在が存在しないとしても、死者を奴隷制に貶めるというテーマが、虎を食い荒らした虎に新たな獲物を提供する義務を負った幽霊、張倀などの人物を通して存在していることに注目したい。またはグ・蠱毒の犠牲者であり、生前および死後において、彼らにそれを投与した魔術師に服役した)
フランス語をGoogle翻訳しただけなので、どこまであってるかわからない
ジャンルは比較文化学。
検索条件2「zombie -firms -xylazine -biolegend -DDoS -Chalmers -narrative」
上記の条件でねらいのゾンビ論文を誤って排除していないかチェックするために、こちらの検索結果もチェックしておく。ただし、ゾンビ企業とゾンビドラッグ、ゾンビ試薬、ゾンビPC、哲学的ゾンビおよび評論系の論文は排除されるように設定してある。
AI、死、そして哀悼
アラート日付:10月29日
原題:AI, Death, and Mourning
掲載:?
著者:Tamara Martin
ジャンル:倫理学
「-AI」で排除。『AI, Death, and Mourning』という倫理の事例研究を検討する論文? 故人をAIで再現することをデジタルゾンビを呼んでいる。
物理的にシミュレートされたキャラクター制御の深層強化学習
アラート日付:10月25日
原題:Deep Reinforcement Learning of Physically Simulated Character Control
掲載:Proceedings of 2024 Chinese Intelligent Systems Conference
著者:Rui Liu と Bin Zhang
ジャンル:情報科学
「-network」で排除。タイトルの通りで、ゾンビの歩き方を物理的にシミュレーションするらしい。
拡張現実における遮蔽認識のためのリアルタイム空間マッピングの実装
アラート日付:10月31日
原題:Implementation of Real-Time Spatial Mapping for Occlusion-awareness in Augmented Reality
掲載:2024 5th International Conference on Smart Electronics and Communication (ICOSEC)
著者:Muhammad Anwar Ahmadを筆頭著者として、六名
ジャンル:情報工学
「-network」で排除。ARゲームのシステム実装に関する論文。そのシステムを試すためにゾンビの侵入をブロックするゲームを作ってみたらしい。
強力なグループによる効率的な D-2-D: 任意の初期構成とグローバルな知識なし
アラート日付:10月31日
原題:Efficient D-2-D with a Strong Group: Arbitrary Initial Configuration and No Global Knowledge
掲載:arXiv
著者:Tanvir Kaur と Barun Gorain、 Kaushik Mondalの三名
ジャンル:情報科学
「-network」および「-AI」で排除。「-AI」で排除といっても、変数のa_iを拾ったようだけれども。Distance-2-Dispersion(距離-2分散)問題というなんか難しそうな問題に取り組むらしい。なんかすごそう。
で、なんかノードをつないでどうこうするプログラム?を作って、ノードのクラスをリーダーとゾンビに分けてどうこうするらしい。なんか、そういう感じ。
批判的デジタルアート史:入門
アラート日付:10月31日
原題:Critical Digital Art History: An Introduction
掲載:Critical Digital Art History
著者:Amanda Wasielewski と Anna Näslund
ジャンル:
「-gender」で排除。タイトルの通り、デジタルアートの歴史を批判的に読み解く論文。西洋のスタイルを道具化することで、その概念が再び活性化するそうで、これをゾンビアートと呼んでいる。いまいち意味は分からないが。
最後に
検索条件1は比較文化学が二件だった。
ゾンビの論文を探していたのに、検索に引っ掛かったのは怪獣(というか、ほぼゴジラ)にキョンシー。ゾンビではないものの、非常に興味が引かれる。特に怪獣研究の方。言われてみれば確かに見たことがない。映画の感想として核兵器がどうとか人類へのメッセージがどうとかはよく見るが、それが体系づけられた研究かと言うと、きっとそうではないだろう。
今回はねらいの論文がなかった。