2024/1/6(土)のゾンビ論文 歯を守るゾンビ効果

ゾンビについて書かれた論文を収集すべく、Googleスカラーのアラート機能を使っている。アラート設定ごとに、得られた論文を以下にまとめる。

アラートの条件は次の通り。

  1. 「zombie -firms -philosophical -drug -biolegend -gender -narrative -network」

  2. 「zombie -firms -philosophical -xylazine -biolegend -gender -narrative -network

  3. 「zombie -firms -xylazine -biolegend -DDoS」(取りこぼし確認用)

検索条件は次の意図をもって設定してある。

  • 「zombie」:ゾンビ論文を探す

  • 「-firms」:ゾンビ企業を扱う論文を排除する

  • 「-philosophical」:哲学的ゾンビを扱う論文を排除する

  • 「-drug/xylazine」:ゾンビドラッグに関する論文を排除する

  • 「-network」:とにかく情報科学の論文を排除したい

  • 「-DDoS」:ゾンビPCを扱う論文を排除する

  • 「-biolegend」:細胞の生死を確認するゾンビ試薬を使う医学の論文を排除する

  • 「-gender」:ジェンダー学の論文を排除する

  • 「-narrative」:ゾンビ映画・小説などを評論する論文を排除する

検索条件2は「-drug」と「-xylazine」の差分を見るためにある。また、検索条件1と2には一般性の高い排除キーワードが含まれているため、それらが不必要にゾンビ論文を排除していないかを確かめる。

今回、それぞれのヒット数は以下の通り。

  1. 「zombie -firms -philosophical -drug -biolegend -gender -narrative -network」ゼロ件

  2. 「zombie -firms -philosophical -xylazine -biolegend -gender -narrative -network」ゼロ件(差分ゼロ件)

  3. 「zombie -firms -xylazine -biolegend -DDoS」四件(検索条件2との差分は四件)

検索条件1はゼロ件だった。


検索条件1「zombie -firms -philosophical -drug -biolegend -gender -narrative -network」(ヒットなし)

今回は検索に引っかからなかった。



検索条件2「zombie -firms -philosophical -xylazine -biolegend -gender -narrative -network」(ヒットなし)

検索条件1との差分を調べ、「-drug」が「-xylazine」よりも論文を排除しているか確認する。

今回はヒットがなかった。



検索条件3「zombie -firms -xylazine -biolegend -DDoS」

上記の条件で誤ってねらいのゾンビ論文を取りこぼしていないかチェックするために、こちらの検索結果もチェックしておく。ただし、ゾンビ企業とゾンビドラッグ、ゾンビ試薬、ゾンビPCは排除されるように設定してある。

私の友達はみんなゾンビです: 意識の探求

原題:All My Friends are Zombies: The Search for Consciousness
掲載:Think
著者:Louise Rimmer-Williams
ジャンル:哲学

「-philosophical」で排除。哲学的ゾンビを扱う論文。


ジェーン・オースティンと吸血鬼

原題:Jane Austen and Vampires
掲載:このタイトルの本がある
著者:Eric Parisot
ジャンル:評論

「-narrative」および「-gender」で排除。Jane Austenは『高慢と偏見』の作者。『高慢と偏見』といえば『高慢と偏見とゾンビ』。ゆえに検索に引っ掛かった。


ビデオゲームを統合することの重要性: 識字教室における大学生の事例研究

原題:The Importance of Integrating Video Games: A Case Study of College Students in Literacy Classroom
掲載:the University of Daytonに提出された修士論文
著者:Maha Alhajry
ジャンル:教育学

「-narrative」で排除。ゲームが教育、特に読み書き能力に効果的かを調べる論文。識字能力よりもコミュニケーションの方に影響があるとのこと。『コール オブ デューティ ブラックオプス』というゾンビを倒すゲームを扱うために検索に引っ掛かった。


ゲームAIの解明 第一巻

原題:Game AI Uncovered: Volume One
掲載:このタイトルの本がある
著者:Paul Roberts
ジャンル:ゲームデザイン学?

「-network」で排除。ゲーム開発におけるAIについていろいろと述べる論文。ゾンビを倒すゲームを扱うのだろう。



まとめ

検索条件1はゼロ件だった。

メインの検索条件に引っ掛からず、ねらい通りに「-philosophical」で哲学的ゾンビが、「-narrative」でフィクションを批評するタイプの論文が、「-network」で情報科学系の論文が、それぞれ排除された。理想のチェック内容ではあるが、それ以上にコメントすることがない。

だから全くの余談になるが、Googleアラートの関連性の低い結果に面白い学術的ゾンビが引っ掛かったことを報告したい。その名も「ゾンビ効果」。

銀ジアミンフッ化物、虫歯治療の黒魔術:系統的レビュー

原題:Silver Diamine Fluoride, a Black Magic for Treating Dental Caries: A Systematic Review
掲載:Wor Jour of Medic and Heal Care 2023
著者:Nishi Singhを筆頭著者として、
ジャンル:歯学

銀ジアミンフッ化物(Silver diamine fluoride: SDF)はゾンビ効果によってバクテリアを殺すらしい。説明すると、まずSDFが細菌を殺す。そして死んだ細菌が生きている細菌を殺す。これがゾンビ効果である。この論文では、虫歯の予防にゾンビ効果が使えると報告している。

初出は2015年のRacheli Ben-Knaz Wakshlakによる論文。なんと現象の発見と命名が同時に行われている。学術論文のゾンビは、まず誰かが発見して、別の誰かがゾンビと呼びだすイメージがあったが。ゾンビツイントロンもそうだったが、生物系の研究者はゾンビという単語を使うことに比較的抵抗がないのかもしれない。


面白い発見はあったが、今回はねらいの論文がなかった。

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