2024/12月第四週のゾンビ論文 港の経済を壊すゾンビウイルス
本物のゾンビについて書かれた論文を探すべく、Googleスカラーのアラート機能を使い、ゾンビについて書かれた論文を収集している。
アラートの検索条件は次の通り。
「zombie -firms -philosophical -drug -biolegend -gender -narrative -network -AI」
「zombie -firms -xylazine -biolegend -DDoS -Chalmers -narrative」(取りこぼし確認用)
「zombie」をキーワードにゾンビ論文を探しているのだが、比喩としてゾンビを使う論文も多いため、「-◯◯」で比喩としてのゾンビを扱う論文を排除している。排除したいゾンビや論文は、以下の通り。
「-firms」:ゾンビ企業
「-philosophical」「-Chalmers」:哲学的ゾンビ
「-drug」:ゾンビドラッグ
「-network」:情報科学系の論文ならなんでも
「-DDoS」:ゾンビPC
「-biolegend」:細胞の生死を確認するゾンビ試薬
「-gender」:ジェンダー学系の論文ならなんでも
「-narrative」:ゾンビ映画・小説などの評論
「-AI」:人工知能を扱う情報科学系の論文
「-Minecraft」:人工知能のアルゴリズムをためすために、Minecraftを使う論文
検索条件1には一般性の高い排除キーワードが含まれているため、それらが不必要にゾンビ論文を排除していないかを条件2や条件3で確かめる。
今回、12/23-12/31の期間で収集し、以下の通りの論文を得た。
「zombie -firms -philosophical -drug -biolegend -gender -narrative -network -AI」四件
「zombie -firms -xylazine -biolegend -DDoS -Chalmers -narrative -Minecraft」六件(条件1との重複を含めれば10件)
検索条件1は、メディア学、評論が一件ずつだった。
検索条件1「zombie -firms -philosophical -drug -biolegend -gender -narrative -network -AI」
恐れることはありません、これは単なるビジネスです: ビデオ録画法の 40 年 - 公開講演
一件目。
アラート日付:12月23日
原題:Don't be afraid, it's only business: 40 Years of the Video Recordings Act - Public Lecture
掲載:Flaxman Film Theatre
著者:Mark McKenna
ジャンル:メディア学
ビデオという録画媒体が出現したことにより、映画産業(特にホラー)がどう変化してきたか歴史を振り返る論文。論文というか、講演のアブストラクトらしい。
1980年代頭にホームビデオが台頭し、過激なホラー映画が多くリリースされたらしい。なんで?…かはわからないが、それを「video nasty」と呼ぶそうで、そこから始まった映画産業の変動を述べる。
Video nasty is a colloquial term popularised[1] by the National Viewers' and Listeners' Association (NVALA) in the United Kingdom to refer to a number of films, typically low-budget horror or exploitation films, distributed on video cassette in the early 1980s that were criticised by the press, social commentators, and various religious organisations for their violent content.
(ビデオ・ナスティとは、イギリスの全国視聴者協会(NVALA)によって普及された口語[1]であり、1980年代初頭にビデオカセットで配布され、その暴力的な内容のためにマスコミ、社会評論家、さまざまな宗教団体から批判された一連の映画、典型的には低予算のホラー映画やエクスプロイテーション映画を指す。)
ジャンルはメディア学とする。
政治過程の幻想的身体性(映画素材を例に)
二件目。
アラート日付:12月29日
原題:Fantastic Corporeality of the Political Process (on the Example of Cinematic Material)
掲載:The Body in a Changing World
著者:Ivan V. Suslov
ジャンル:評論(政治的批評)
フィクションによる神話生成プロセスを分析する論文。本文はロシア語。アブストラクトのみが英語。しかしアブストラクトがどうも散漫に書かれているように読めて、結局何を言いたいかがよくわからない。私の注目の対象であるゾンビがどう扱われているかのみ、前後の分と合わせて抜粋しよう。
The interaction between political discourse and the fantasy segment of mass culture is examined through the prism of the digimodern aesthetics described by Alan Kirby. The author explores how figures of monsters, zombies, mutants and other fantastic creatures become allegories of social, cultural and political processes. Particular attention is paid to the possibility of the fantasy story to discuss such pressing social issues as minority rights, the crises of capitalism, multiculturalism, and the nature of future revolutions.
(政治的言説と大衆文化のファンタジー部分との相互作用を、アラン・カービーが述べたデジモダン美学のプリズムを通して検証する。著者は、モンスター、ゾンビ、ミュータント、その他の空想上の生き物の姿が、社会的、文化的、政治的プロセスの寓話となる仕組みを探求する。少数派の権利、資本主義の危機、多文化主義、将来の革命の性質など、差し迫った社会問題を議論するためのファンタジーストーリーの可能性に特に注目する。 )
どうだろうか。ゾンビに言及している文とその前後の文が、論理的につながっていると言えるだろうか。ゾンビを使って、フィクション内のモンスターが政治的プロセスのをどう作っていくのかを読み解くことはわかった。しかしその前後の文はそれぞれ全く異なることを言っている。これでは本論文の主題を全く読み取れない。いや、読み取れればちゃんと論文本文を読むということもないのだが…。
ジャンルは評論。細かく言えばきっと政治的批評とかだろう。
検索条件2「zombie -firms -xylazine -biolegend -DDoS -Chalmers -narrative」
上記の条件でねらいのゾンビ論文を誤って排除していないかチェックするために、こちらの検索結果もチェックしておく。ただし、ゾンビ企業とゾンビドラッグ、ゾンビ試薬、ゾンビPC、哲学的ゾンビおよび評論系を使った論文は排除されるように設定してある。
自立と手頃な価格:強制なしでホームレス問題を解決する
アラート日付:12月23日
原題:Autonomy and Affordability: Solving Homelessness Without Coercion
掲載:Policy Commons
著者:Jeffrey A. Singer
ジャンル:社会学
「-drug」で排除。アメリカのホームレス問題を解決する手段を論じる論文。イーロン・マスクがホームレスを「violent drug zombies with dead eyes」と考えているとコメントしている。
SCENIC: 指示ガイド付きコントロールを備えたシーン認識型セマンティックナビゲーション
アラート日付:12月26日
原題:SCENIC: Scene-aware Semantic Navigation with Instruction-guided Control
掲載:arXiv
著者:Xiaohan Zhangを筆頭著者として、六名
ジャンル:情報工学
「-network」および「-AI」で排除。人間の動作を読み取るアルゴリズム?の論文。ゾンビのような動作読み取りも可能らしい。
将来のパンデミック災害への備えに向けた港湾継続性モデリング
アラート日付:12月26日
原題:Seaport Continuity Modelling Toward Pandemic Disaster Preparedness in the Future
掲載:Chemical Engineering Transactions
著者:Keng Bin Lokeを筆頭著者として、10名
ジャンル:経済学?
「-AI」で排除。港を使った商売の継続性を懸念する論文。永久凍土に閉じ込められた太古のウイルス、ゾンビウイルスによるパンデミックをも想定に加えている。
最後に
検索条件1は、メディア学、評論が一件ずつだった。
興味を引かれたのは港湾継続性モデリングの論文。ゾンビ云々関係なく、「そういう研究があるんだ!」という驚きに興味を引かれた。読む気はないが。
今回はねらいの論文が見つからなかった。