2024/1/17(水)のゾンビ論文 ゾンビ火災にゾンビ鹿病

ゾンビについて書かれた論文を収集すべく、Googleスカラーのアラート機能を使っている。アラート設定ごとに、得られた論文を以下にまとめる。

アラートの条件は次の通り。

  1. 「zombie -firms -philosophical -drug -biolegend -gender -narrative -network」

  2. 「zombie -firms -philosophical -xylazine -biolegend -gender -narrative -network

  3. 「zombie -firms -xylazine -biolegend -DDoS」(取りこぼし確認用)

検索条件は次の意図をもって設定してある。

  • 「zombie」:ゾンビ論文を探す

  • 「-firms」:ゾンビ企業を扱う論文を排除する

  • 「-philosophical」:哲学的ゾンビを扱う論文を排除する

  • 「-drug/xylazine」:ゾンビドラッグに関する論文を排除する

  • 「-network」:とにかく情報科学の論文を排除したい

  • 「-DDoS」:ゾンビPCを扱う論文を排除する

  • 「-biolegend」:細胞の生死を確認するゾンビ試薬を使う医学の論文を排除する

  • 「-gender」:ジェンダー学の論文を排除する

  • 「-narrative」:ゾンビ映画・小説などを評論する論文を排除する

検索条件2は「-drug」と「-xylazine」の差分を見るためにある。また、検索条件1と2には一般性の高い排除キーワードが含まれているため、それらが不必要にゾンビ論文を排除していないかを確かめる。

今回、それぞれのヒット数は以下の通り。

  1. 「zombie -firms -philosophical -drug -biolegend -gender -narrative -network」ゼロ件

  2. 「zombie -firms -philosophical -xylazine -biolegend -gender -narrative -network」ゼロ件(差分ゼロ件)

  3. 「zombie -firms -xylazine -biolegend -DDoS」四件(検索条件2との差分は四件)

検索条件1はゼロ件だった。


検索条件1「zombie -firms -philosophical -drug -biolegend -gender -narrative -network」(ヒットなし)

今回はヒットがなかった。



検索条件2「zombie -firms -philosophical -xylazine -biolegend -gender -narrative -network」(差分なし)

検索条件1との差分を調べ、「-drug」が「-xylazine」よりも論文を排除しているか確認する。

今回はヒットがなかった。



検索条件3「zombie -firms -xylazine -biolegend -DDoS」

上記の条件で誤ってねらいのゾンビ論文を取りこぼしていないかチェックするために、こちらの検索結果もチェックしておく。ただし、ゾンビ企業とゾンビ試薬、ゾンビPCは排除されるように設定してある。

異質現象学: 限定的な批判

原題:Heterophenomenology: A Limited Critique
掲載:Philosophia
著者:Abhishek Yadav
ジャンル:評論(文化批評)

「-philosophical」で排除。哲学的ゾンビを扱う論文。


パトリック・シャモワゾー(マルティニーク)とルネ・デペストル(ハイチ)のクレオール化:言語と中心部と周辺部の関係

原題:The Creolization of Patrick Chamoiseau (Martinique) and René Depestre (Haiti): Language and Center-Periphery Relationship
掲載:Centers and Peripheries in Romance Language Literatures in the Americas and Africa
著者:Milena Fučíková
ジャンル:評論(ポストコロニアル批評)

「-narrative」および「-philosophical」で排除。「歴史的に植民地化とポスト植民地時代の発展の影響を強く受けたマルティニークとハイチの現代フランス語文学」に関する論文。ハイチ文化に影響を受けた植民地宗主国の文学といえば、ゾンビ。


火災

原題:Fire
掲載:Hot Cities
著者:Wendy Steele と John Handmer、 Ian McShaneの三名
ジャンル:都市工学

「-network」および「-philosophical」で排除。"'zombie' wildfires"(「ゾンビ」の山火事)という文字列が出てくる。

Modern cities are not set up to cope with extended ‘zombie’ wildfires 3 and associated dangers such as wind-spread burning embers and smoke inhalation.  These are fires that stay alive and never seem to die: ‘they can burn all through winter hidden under a layer of snow, and in spring as the temperature rises, the snow melts and the soil dries out, the wildfires can re-ignite and spread once again’.4
(現代の都市は、長期化する「ゾンビ」山火事や、風で広がる燃えさしや煙の吸入など、それに伴う危険に対処する体制が整っていません。これらの火は生き続け、決して消えることがないようです。「雪の層の下に隠れて冬の間ずっと燃え続けることができ、春になって気温が上昇し、雪が溶けて土壌が乾燥すると、山火事が再燃するのです。」)

同論文より

論文で引用されている文献、たとえばナショナルジオグラフィックによれば、泥炭と呼ばれる可燃性の泥は一度発火すると雪の下でも燃え続け、雪が溶けるとすぐに発火し始めるらしい。また、BBCは火災が生き延びる要因としてメタンの存在も挙げている

過去の記事でも触れたことがあるが、その時は「実は生きているのならゾンビじゃなくない?」と疑問に思ったものだ。今でもそんな気はする。


プリオン人獣共通感染症

原題:Prion Zoonoses
掲載:Zoonosis
著者:Nuria L Lorenzoを筆頭著者として、八名
ジャンル:獣医学

「-philosophical」で排除。プリオンという脳に悪さをする病現体に関する論文。"zombie deer disease"(ゾンビ鹿病)とも呼ばれるchronic wasting disease (CWD、慢性消耗病)も扱う。狂牛病の鹿バージョンらしい。

ちょっと調べただけで、本当に「ゾンビ鹿病」が出てきた。驚いた…。特定の人間が勝手に言っているだけかと…。

CWDはプリオン(異常な形に折りたたまれたタンパク質。感染性があり、近くの正常なタンパク質を同じ構造に折りたたんでしまう)によって引き起こされる。感染すると、脳と神経系が徐々に破壊され、急激な体重減少(消耗)や、頭を下げる、よろめく、元気がない、よだれを垂らすなどの症状が現れることから「ゾンビ鹿病」と呼ばれている。

Japan Forbes掲載
Robert Hart著
『米国で広がる「ゾンビ鹿病」 イエローストーン国立公園でも初確認』より



まとめ

検索条件1は書評が一件だった。

検索条件2との差分がないのはともかく、検索条件3まで含めても二件しか引っ掛かっていないのはどういうことだろう。やはりGoogleスカラーのアルゴリズムが悪さをしているのだろうか。私にはもうこれが疑わしくて仕方がない。

だが、長らく疑問だったゾンビ火災の謎も解けたし、ゾンビ鹿病にも触れることができた。興味を埋める分には実りある回だった。

今回はねらいの論文がなかった。


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