2024/5月第一週のゾンビ論文 ゾンビサンゴはゾンビじゃなさそう
本物のゾンビについて書かれた論文を探すべく、Googleスカラーのアラート機能を使い、ゾンビについて書かれた論文を収集している。
アラートの検索条件は次の通り。
「zombie -firms -philosophical -drug -biolegend -gender -narrative -network -AI」
「zombie -firms -xylazine -biolegend -DDoS -Chalmers -narrative」(取りこぼし確認用)
「zombie narrative」(さらに取りこぼし確認用)
「zombie」をキーワードにゾンビ論文を探しているのだが、比喩としてゾンビを使う論文も多いため、「-◯◯」で比喩としてのゾンビを扱うが論文を排除している。排除したいゾンビや論文は、以下の通り。
「-firms」:ゾンビ企業
「-philosophical」「-Chalmers」:哲学的ゾンビ
「-drug」:ゾンビドラッグ
「-network」:情報科学系の論文ならなんでも
「-DDoS」:ゾンビPC
「-biolegend」:細胞の生死を確認するゾンビ試薬
「-gender」:ジェンダー学系の論文ならなんでも
「-narrative」:ゾンビ映画・小説などの評論
「-AI」:人工知能を扱う情報科学系の論文
検索条件1には一般性の高い排除キーワードが含まれているため、それらが不必要にゾンビ論文を排除していないかを条件2で確かめる。ただし、「-narrative」で排除される論文の中にはねらいの論文が含まれている可能性もあるため、条件3も設定してある。
今回、5/1~5/5の期間で収集し、以下の通りの論文を得た。
「zombie -firms -philosophical -drug -biolegend -gender -narrative -network -AI」一件
「zombie -firms -xylazine -biolegend -DDoS -Chalmers -narrative」二件(条件1との重複を含めれば三件)
「zombie narrative」(30件)
検索条件1は海洋学が一件だった。
検索条件1「zombie -firms -philosophical -drug -biolegend -gender -narrative -network -AI」
フロリダ南東部の大型 Orbicella faveolata は、明らかな病気介入効果なしに、非常に繁殖力の高い早期に産卵される
一件目。
アラート日付:5月1日
原題:Southeast Florida large Orbicella faveolata are spawn highly fecund early without evident disease intervention effects
掲載:Frontiers in Marine Science
著者:D. Abigail Renegarを筆頭著者として、四名
ジャンル:海洋学
タイトルの"Orbicella faveolata"はサンゴの一種。その生態を調べたのがこの論文である。
zombieの単語は次の文章で出てくる。
「大型だが生殖能力が衰えた個体」をゾンビに喩えている。理解しがたい。死にかけているわけでもない生物をゾンビになぞらえる理由がない。生殖能力が衰えたのは生物として死んだも同然…という考えなのだろうか。老いた生物が生殖能力を失っていくのは自然の道理だと思うのだが。
ジャンルは海洋学。
検索条件2「zombie -firms -xylazine -biolegend -DDoS -Chalmers -narrative」
上記の条件でねらいのゾンビ論文を誤って排除していないかチェックするために、こちらの検索結果もチェックしておく。ただし、ゾンビ企業とゾンビドラッグ、ゾンビ試薬、ゾンビPC、哲学的ゾンビおよび評論系の論文は排除されるように設定してある。
物理主義に対する啓示からの議論
アラート日付:5月5日
原題:The argument from revelation against physicalism
掲載:Scuola Universitaria Superiore Paviaに提出された博士論文
著者:Bruno Cortesi
ジャンル:哲学
「-philosophical」で排除。哲学的ゾンビを扱っている。
ゾンビマラリア原虫:自然感染は、実験室またはゾンビ株の感染とは異なります。
アラート日付:5月5日
原題:Zombie malaria parasites: Natural infections are distinct from those of laboratory—or zombie—strains
掲載:Science
著者:JANE M. CARLTON と AUBREY J. CUNNINGTON
ジャンル:衛生学
「-drug」で排除。マラリアの媒介となる寄生虫の話だが、何をゾンビと呼んでいるのかは不明。マラリアに感染者をゾンビのようにさせる効力などないはずだが。
検索条件3「zombie narrative」
検索条件2の「-narrative」がねらいの論文まで排除していないか調べる。
以下、30件のゾンビ論文が見つかった。そのうち、「-narrative」で排除したかった評論・比較文化学・社会学など(太字で表示する)は計20件だった。つまり、残りの10件は意図せず排除してしまったゾンビ論文である。ただし、この中にねらいの論文はなかった。
まず、5/1の分。
Make America Fit Again(アメリカを再び健康に 社会学)
次に、5/2の分。
Risk and resilience in the narratives of adult children of parents with psychosis(精神病を患う親を持つ成人した子供の物語におけるリスクと回復力 医学)
The Mechanism of Survival in Post-Apocalyptic Pandemic Narratives: A Comparative Study(黙示録的なパンデミックの物語における生存のメカニズム: 比較研究 評論)
Conversational Non-Player Characters: A Study on the Derailment of Large Language Models(会話型のノンプレイヤーキャラクター: 大規模な言語モデルの脱線に関する研究 情報科学)
Digital platforms, Hindutva, and disinformation: Communicative strategies and the Leicester violence(デジタル プラットフォーム、ヒンドゥーヴァ、偽情報: コミュニケーション戦略とレスターの暴力 メディア学)
Negotiations Over the Past: 2009’s General Strike in the French Caribbean and the Colonial Past(過去をめぐる交渉: フランス領カリブ海における 2009 年のゼネストと植民地時代の過去 歴史学)
Sex Work in Caribbean Fiction(カリブ海フィクションにおけるセックスワーク 比較文化学)
EXPLORING THE EXPERIENCES OF BLACK NOVA SCOTIANS WITH INVOLUNTARY PSYCHIATRIC CARE THROUGH AN INTERSECTIONAL LENS(非自発的な精神医療を受けたノヴァ・スコットランド人の黒人の経験を交差レンズを通して探る 比較文化学)
Defrosting the Gothic: Arctic Poetry in a Melting Sublime(ゴシックの解凍: 溶け合う崇高さの中にある北極の詩 文学)
The banality of NFTs(NFTのありきたりさ 情報科学)
Integrating Decolonial Psychoanalytic Theory and Empirical Research: Clinical Implications and Case Illustrations(脱植民地精神分析理論と実証研究の統合: 臨床的意義と事例説明 歴史学?)
次に、5/3。
Home among the headstones: graveyards in Western Gothic television(墓石の中の故郷: 西部ゴシック様式のテレビの墓地 評論)
The graveyard level: anachronism, Anglo-Japanese semiotics and the cruel nightmare of resurrection in early horror video games(墓場レベル: 時代錯誤、英日記号論、そして初期のホラー ビデオ ゲームにおける復活の残酷な悪夢 評論)
次に、5/4。
The Revenge of the Serves: The Wounds of Neoliberalism in Jordan Peele's Us (2019)(ジョーダン・ピールの『Us』における「サーブの復讐: 新自由主義の傷」 (2019) 評論)
Greta Gerwig's Little Women(グレタ・ガーウィグの『若草物語』 評論)
An excursion into the lost history of historical sociolinguistics(歴史社会言語学の失われた歴史への旅 歴史学?)
A Metabolic Approach to Designing Space(メタボリックなアプローチで空間をデザインする 建築学)
" Tell Everyone": Abjection and Social Justice in Candyman (2021)(「みんなに伝えて」: キャンディマンにおける虐待と社会正義 (2021) 評論)
Georgia Ghosts: History, Folklore, and the Roots of the Southern Gothic(ジョージアの幽霊:歴史、民俗、そして南部ゴシックのルーツ 比較文化学)
Connecting the dots–poverty, marginality, and the production of aggression and violence in post-war Sierra Leone(点と点を結ぶ – 戦後のシエラレオネにおける貧困、社会的疎外、侵略と暴力の生産 社会学?)
GLP-1 Analogue-Loaded Glucose-Responsive Nanoparticles as Allies of Stem Cell Therapies for the Treatment of Type I Diabetes(I型糖尿病治療のための幹細胞療法の味方としてのGLP-1類似体を担持したグルコース応答性ナノ粒子 医学)
Dual-Process Theories(デュアルプロセス理論 哲学)
最後に、5/5の分。
Zombie Startups: Time, Labour and Value in Singapore's Innovative Entrepreneurship 'Ecosystem'(ゾンビスタートアップ: シンガポールの革新的な起業家精神の「エコシステム」における時間、労力、価値 社会学?)
Women's Narratives: ICTs in the Family Household During the (Post-) Pandemic(女性の物語: パンデミック(後)における家庭内の ICT 社会学?)
Are We Heroes or Couriers? A Phenomenological Study on Reappropriation of Professional Subjectivity and Agency Among Medical Professionals During COVID-19 Contact Tracing in Türkiye(私たちはヒーローですか、それとも配達人ですか?トゥルキエにおける新型コロナウイルス感染症の接触追跡における医療専門家の専門的主観性と主体性の再利用に関する現象学的研究 社会学&医学)
Beyond the machinery metaphors: Towards a theory of international organizations as machines(機械の比喩を超えて: 機械としての国際組織の理論に向けて 政治学)
Moving Towards Mobility Justice: Challenges and Considerations for Supporting Advocacy(モビリティの正義に向けて: 権利擁護を支援するための課題と考慮事項 社会学)
The devil's light: Marx, Engels, and diabolic Enlightenment(悪魔の光: マルクス、エンゲルス、そして悪魔の啓蒙 マルクス経済学)
Fostering Fandom Literacy Practices Through an Affective Kaleidoscope: A Proposal for Second Language Teachers in Medellín, Colombia(感情的な万華鏡を通してファンダムの読み書き能力を育む: コロンビア、メデジンの第二言語教師への提案 言語学)
Lured by the Market(市場に誘われて 教育学)
最後に
検索条件1は海洋学が一件だった。
一方で検索条件2は二件だった…のだが、関連性の低い結果を含めると10件/日だった。自分の目で見ても関連性が低かった≒ねらいの論文ではなかったため、わざわざ記事には載せなかった。これほど減ったのが検索条件変更の結果なのかは、もう少ししないとわからないということになる。
また、検索条件を変更するとしばらく検索結果が変な感じにになるので、その辺も影響しているだろう。「変な感じ」というのは、ちょっと説明が難しいのだが…。
今回はねらいの論文がなかった。
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