2024/9月第一週のゾンビ論文 映画のタイトルを変えるのは万国共通(タイだけに)
本物のゾンビについて書かれた論文を探すべく、Googleスカラーのアラート機能を使い、ゾンビについて書かれた論文を収集している。
アラートの検索条件は次の通り。
「zombie -firms -philosophical -drug -biolegend -gender -narrative -network -AI」
「zombie -firms -xylazine -biolegend -DDoS -Chalmers -narrative」(取りこぼし確認用)
「zombie」をキーワードにゾンビ論文を探しているのだが、比喩としてゾンビを使う論文も多いため、「-◯◯」で比喩としてのゾンビを扱う論文を排除している。排除したいゾンビや論文は、以下の通り。
「-firms」:ゾンビ企業
「-philosophical」「-Chalmers」:哲学的ゾンビ
「-drug」:ゾンビドラッグ
「-network」:情報科学系の論文ならなんでも
「-DDoS」:ゾンビPC
「-biolegend」:細胞の生死を確認するゾンビ試薬
「-gender」:ジェンダー学系の論文ならなんでも
「-narrative」:ゾンビ映画・小説などの評論
「-AI」:人工知能を扱う情報科学系の論文
検索条件1には一般性の高い排除キーワードが含まれているため、それらが不必要にゾンビ論文を排除していないかを条件2で確かめる。
今回、9/1~9/8の期間で収集し、以下の通りの論文を得た。
「zombie -firms -philosophical -drug -biolegend -gender -narrative -network -AI」一件
「zombie -firms -xylazine -biolegend -DDoS -Chalmers -narrative」四件(条件1との重複を含めれば五件)
検索条件1は評論が一件だった。
検索条件1「zombie -firms -philosophical -drug -biolegend -gender -narrative -network -AI」
カプコンの『デッドライジング』におけるゾンビ、消費、風刺
一件目。
アラート日付:9月5日
原題:Zombies, Consumption, and Satire in Capcom’s Dead Rising
掲載:このタイトルの本がある
著者:Connor Jackson
ジャンル:評論
カプコンのゲーム、『デッドライジング』の批評。アブストラクトにはゲームと風刺の関係を探る、とある。批評のベースとなるのは映画『ドーンオブザデッド』の消費者文化風刺。ゾンビの批評はそれしかないのか?と思うほどに使い倒されたネタだが、ゲーム特有のシステムを使った風刺の伝え方というよくわからない着眼点を持っているようだから、風刺の中身くらいは簡単にしようという魂胆があるのかもしれない。
ジャンルは評論。ゲームの評論というのは珍しいように思う。ゾンビゲームが論文のテーマになるとき、FPSでゾンビを倒すゲームにおけるフィードバックのかけ方やゾンビを倒す際の心理状況の分析などが多い印象がある。〇〇批評というくくりだと、何になるだろうか。わからない。
検索条件2「zombie -firms -xylazine -biolegend -DDoS -Chalmers -narrative」
上記の条件でねらいのゾンビ論文を誤って排除していないかチェックするために、こちらの検索結果もチェックしておく。ただし、ゾンビ企業とゾンビドラッグ、ゾンビ試薬、ゾンビPC、哲学的ゾンビおよび評論系の論文は排除されるように設定してある。
Monomaxアプリケーションでの映画タイトルの英語からタイ語への翻訳戦略
アラート日付:9月5日
原題:Movie Titles' Translation Strategies from English into Thai in Monomax Application
掲載:Community and Social Development Journal
著者:Natchanok Kettongma
ジャンル:比較文化学
「-drug」で排除。英語映画のタイトルをタイ語に翻訳する際にタイトルの意味がまるっと変わることがあるという。その変更に隠れる戦略をひも解く。
それは私が昔からやりたかったことだ。もちろん、日本語で。『ゾンビ・ナース』や『ゾンビ・ホスピタル』、『アイス・オブ・ザ・デッド』など、いかにもゾンビと見せかけてゾンビ関係ないという映画をいくつも観てきたからだ。
ねらいの論文ではないが興味があるなあ…。機会を設けて読みたい。
エージェントベースモデルを使用して、アリが菌類 Ophiocordyceps camponoti-rufipedis の拡散を緩和するために使用する戦略の有効性を調査する
アラート日付:9月5日
原題:Using an Agent-Based Model to Explore the Effectiveness of Strategies Used by Ants to Mitigate the Spread of the Fungus Ophiocordyceps camponoti-rufipedis
掲載:Journal of Insect Behavior,
著者:Bryan C. Watson と Corraine McNeill
ジャンル:菌類学
排除キーワード不明。たぶん、「-drug」だろう。ゾンビアリ菌であるOphilocordyceps属の真菌に関する論文。Camponotus rufipesというアリがゾンビアリ菌による感染拡大に5つの手段で対策を講じているらしい。
菌類は人間をゾンビに変えない。しかし『The Last of Us』は科学を正しく捉えている
アラート日付:9月6日
原題:Fungi don't turn humans into zombies. But The Last of Us gets some science right
掲載:Science News
著者:Tina Hesman Saey
ジャンル:菌類学
「-drug」で排除。ドラマ『The Last of Us』の「真菌が地球温暖化によって進化し、耐熱性を獲得することで人間の体内で繁殖するようになる」というネタを最近の科学的観点から分析する。実際に人間に影響を与える真菌が出てきているらしい。だからといって人間が支配される心配はない、とも続けている。
刺す害虫
アラート日付:9月8日
原題:Stinging Pests
掲載:Parasite
著者:Friedrich Frischknecht
ジャンル:生態学
「-drug」で排除。世の中には宿主を刺し、卵を産み付けてゾンビにする虫が存在し、その紹介。色んな生き物に卵を産み付けるハチやハエの仲間を紹介するのだろう。そういった話は、 小澤祥司『ゾンビ・パラサイト』に詳しい。
最後に
検索条件1は評論が一件だった。
興味を引いたのは、映画のタイトルの論文。この論文からメソッドを学べば、日本語バージョンでも作ることができるだろうか。といっても、そんな特殊なことをしているのではなく、普通に考え得ることを淡々とまとめているだけであるようにも思うが。邦題と原題比較するだけだし。
あと、調査の途中に「Kangarooのzombie solver」というのを見つけて、字面がちょっと面白かった。
今回はねらいの論文がなかった。