2023/09/05(火)のゾンビ論文 メディアに載って広がるゾンビ
ゾンビについて書かれた論文を収集すべく、Googleスカラーのアラート機能を使っている。アラート設定ごとに、得られた論文を以下にまとめる。
アラートの条件は次の通り。
「zombie -firm -philosophical -botnet -xylazine -biolegend -gender」
「zombie -firm -philosophical -DDoS -xylazine -viability -gender」
「zombie -firm -philosophical -DDoS -xylazine -biolegend -gender」
「zombie -firm -philosophical」(取りこぼし確認)
「zombie -firm -consciousness」(取りこぼし確認その2)
検索条件は次の意図をもって設定してある。
「zombie」:ゾンビ論文を探す
「-firm」:ゾンビ企業を扱う経済学の論文を排除する
「-philosophical」/「-consciousness」:哲学的ゾンビを扱う哲学の論文を排除する
「-DDoS」/「-bot」:ゾンビPCを扱う情報科学の論文を排除する
「-xylazine」:ゾンビドラッグに関する論文を排除する
「-viability」/「-biolegend」:細胞の生死を確認するゾンビ試薬を使う医学の論文を排除する
「-gender」:ジェンダー学の論文を排除する
また、検索条件4と5では、上記の検索キーワードで不必要にゾンビ論文を排除していないかを確かめる。
それぞれのヒット数は以下の通り。
「zombie -firm -philosophical -botnett -xylazine -biolegend -gender」二件
「zombie -firm -philosophical -DDoS -xylazine -viability -gender」二件
「zombie -firm -philosophical -DDoS -xylazine -biolegend -gender」二件
「zombie -firm -philosophical」二件(差分ゼロ件)
「zombie -firm -consciousness」一件(条件4との差分一件)
検索条件1-3は医学、言語学が一件ずつだった。
検索条件1「zombie -firm -philosophical -botnet -xylazine -biolegend -gender」
細胞の老化と加齢:セノセラピーペプチドによる生物学的年齢の減少
一件目。
原題:Cellular Senescence and Aging: Reduction of Biological Age Through Senotherapeutic Peptides
掲載:Journal of Young Investigators
著者:Ryeim Ansaf
ジャンル:医学
老化細胞、俗にいうところのゾンビ細胞に関する解説。論文ではなく解説。概説と言ってもよいかもしれない。勉強がてら、基礎知識と言えそうな部分を引用しておく。
これ以上のことは私には詳しすぎる。理解できないものを引用して自身の記事をしたくないので、引用はここまでとする。引用というか、引用してそこからつながるわけでもないから転載といった方が正しいか。
ジャンルは医学。
2022年から2023年のウクライナのメディア言説における比喩:外部要因、動的なプロセス、コミュニケーション的および意図的な側面
二件目。
原題:METAPHORIZATION IN THE UKRAINIAN MEDIA DISCOURSE IN 2022–2023: EXTERNAL FACTORS, DYNAMIC PROCESSES, COMMUNICATIVE AND INTENTIONAL DIMENSIONS
掲載:AD ALTA: Journal of Interdisciplinary Research
著者:NATALIIA KOSTUSIAKを筆頭著者として、七名
ジャンル:メディア学
タイトルの通り、「メディア言説における比喩」とあるようにメディアで何かがゾンビと称されて広まっていることに警鐘を鳴らす論文。事例として挙げられているのは当然ながら実際に存在したニュース記事。
例示されているものを引用しておく。いずれもウクライナ内のニュースの見出しを英訳したものらしい。
単にロシア人をゾンビと呼んでいるだけのように見える。そしてこのやり方は大日本帝国が連合国を鬼畜米英と呼んで国民の敵愾心をあおったのを彷彿とさせる。
この論文によれば、他にも動物に喩えたり、神話から生き物を引いてきたりして、様々な表現でロシア人に対する憎悪を煽っているのだとか。だからよろしくないという話はせず、その比喩を言語学的に?分析しているようだ。
ということでジャンルは言語学。メディア学でもよいとは思うが。
検索条件1-3の差分(差分なし)
「DDoS/botnet」と「viability/biolegend」で検索結果に差異が生じるか調べる。
今回は差分がなかった。
検索条件4「zombie -firm -philosophical」(差分なし)
上記の条件で誤ってねらいのゾンビ論文を取りこぼしていないかチェックするために、こちらの検索結果もチェックしておく。ただし、ゾンビ企業と哲学的ゾンビは意図的に取りこぼすこととする。
条件1-3との差分はなかった。
検索条件5「zombie -firm -consciousness」(差分一件)
「zombie -firm -philosophical」との差分を確認する。哲学的ゾンビのみを排除するには「-philosphical」(哲学的な)と「-cousciousness」(意識)のどちらが良いかを探る目的。前者は哲学的ゾンビが英語でphilosophical zombieとつづることから、後者は哲学的ゾンビが人間の意識の有無に注目した概念であることから、それぞれ排除可能。
差分となって排除されたのは次の一件。
2022年から2023年のウクライナのメディア言説における比喩:外部要因、動的なプロセス、コミュニケーション的および意図的な側面
以下の一文にconsciousnessが使われていた。
「-philosophical」で排除する範囲が広すぎるために「-consciousness」を導入しようと考えたはずが、今のところ(始めて二日目にもかかわらず)「-consciousness」の方が広範囲にゾンビ論文を排除している。
まとめ
検索条件1-3は医学、言語学が一件ずつだった。
特に適した理由もなく、おそらく憎悪を煽る目的でゾンビの比喩が使われる例を今日初めて知った。以前にアルツハイマーや認知症の患者がゾンビに喩えられることで結果として偏見が生まれると警告する論文を見たことがあるが、それは、言いたくはないが、おそらく患者の言動や見た目がゾンビに似ているからだ。
ただ、そうではなく、ゾンビに喩えるだけの確かな理由があるのかもしれない。今回の論文を読んだだけではわからなかったが。
今日はねらいのゾンビ論文なし。
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