2023/03/16(木)のゾンビ論文
ゾンビについて書かれた論文を収集すべく、Googleスカラーのアラート機能を使っている。アラート設定ごとに、得られた論文を以下にまとめる。
アラートの条件を「zombie -firm -company」として、情報科学が一件だった。
また、差分を見るために「zombie」の条件でもアラートを設定しており、こちらでは追加で五件のヒットがあった。
検索キーワード「zombie -firm -company」
Starving the Newsfeed for Social Media Detox: Effects of Strict and Self-regulated Facebook Newsfeed Diets
一件目。タイトルを直訳すると「ソーシャル メディア デトックスのためにニュースフィードを飢えさせる: 厳格で自主規制された Facebook ニュースフィード ダイエットの影響」。2023/0423-28に開催されるCHI 2023で報告予定らしい。著者はAditya Kumar Purohitを筆頭著者として五名。
zombieの単語が出てくるのは次の一文。
ドゥームサーフィン(破滅的な(ネット)サーフィン)はドゥームスクロール(破滅的なスクロール)と同じで、”インターネットで悪い[悲観的な]ニュースや情報ばかりを検索する[読み続ける]こと”。
一方、ゾンビスクロールは”目の前にあるものを見るだけで、目的地や本当の利益のない、心のない動き”のこと。ゾンビ映画でよく見る、目的もなくうろうろさまようゾンビから連想して名付けたのだろう。
で、このような非生産的なスマホ中毒から人々を救うためにデトックスをするのがこの論文の主題である。”ニュースフィードを飢えさせる”というのは、過剰な情報の供給をやめて記事の更新を停止すれば人々がスマホを手放すことを期待したのだろう。ただ、記事が更新されなくてもぼーっと画面を見ながら定期的にフィードを更新し続ける人間が頭に浮かんだのは私だけだろうか。
ジャンルは情報科学。
検索キーワード「zombie」(差分のみ紹介)
3月からはアラートのキーワードをzombieだけではなく、-firmと-companyも追加した。各単語の前のハイフンは”含まない”を意味するため、『zombieという単語を含み、かつfirmとcompanyという単語は含まない』という検索条件になっている。この節では差分を見ることを目的とするため、各論文の内容には立ち入らない。
Not of the Living Dead: The Non-Zombie Films of George A. Romero
一件目。タイトルの直訳は「リビング・デッドじゃないやつ:ジョージ・A・ロメロの非ゾンビ映画」。こういうタイトルの本がある。著者はNoah Simon JampolとCain Miller、Leah Richards。
タイトルそのまま。ゾンビ映画の生みの親ともいわれるロメロ監督だが、そりゃ当然ゾンビ以外の映画も撮っているだろう。私も探して観てみようか。
ロメロ監督の監督業について述べる部分があるらしく、companyが引っかかっていた。
Predicting Financial Failure and Bankruptcy: Predictive Analytics Models on Financial Failure and Bankruptcy
二件目。タイトルの直訳は「金融破綻と倒産の予測: 金融破綻と倒産に関する予測分析モデル」。掲載誌はBankruptcy and Reorganization in the Digital Business Era。著者はAbdullah Cevdet Bayhan。
見るからに経済学ジャンルの論文。もちろん"zombie firm"が引っかかった
Anthologising COVID: an Interview with Kendra Boileau and Michael Green
三件目。タイトルの直訳は「COVIDのアンソロジー: ケンドラ・ボイローとマイケル・グリーンへのインタビュー」。掲載誌はJournal of Graphic Novels and Comics。著者はIshani Anwesha JoshiとSathyaraj Venkatesan。
zombieの単語が出てくるのは次の文章。
”(比喩的に)ゾンビの黙示録のようなもの”と述べている。しかもタイトルにCOVIDと書いているから医学かと思いきや掲載誌名がJournal of Graphic Novels and Comicsであるから、まじめな論文でもない。
また、firmとcompanyのどちらに引っかかったのかわからない。おそらくcompanyだと思うのだが。
Supervisory Policy Stimulus: Evidence from the Euro Area Dividend Recommendation
四件目。タイトルの直訳は「監督政策の刺激策: ユーロ圏の配当勧告からの証拠」。掲載誌はQualitative Inquiry。著者はErnest DautovicとLeonardo Gambacorta、Alessio Reghezzaの三名。
タイトルからして経済学。そして本文に"zombie firm"の文字列を発見。ちょっと面白かったのは論文中の計算式の文字式としてZombieが使われていた点。ええやん。
African American Adolescent Female Heroes: The Twenty-First-Century Young Adult Neo-Slave Narrative
五件目。タイトルの直訳は「アフリカ系アメリカ人の思春期の女性ヒーロー: 21 世紀のヤングアダルトの新奴隷の物語」。このタイトルの本がある。著者はMelanie A. Marotta。
これもcompanyが引っかかった。『私はゾンビと歩いた!』を引き合いに出した黒人映画学ジャンルかと思ったが、zombieの単語が出てくるのは"Ireland's zombie's hordes"。何のことだろう。
まとめ
「zombie -firm -company」では、情報科学が一件だった。
差分として「zombie」では、追加で五件のヒットがあった。
firmはねらい通りにゾンビ企業の論文をひっかけて調査対象を減らしてくれている。companyも対象を減らしてくれているのだが、ゾンビ企業としてのcompanyではなくゾンビフィクションに関わる人物が所属するcompanyをひっかけているのだ。今のところはこれでも問題ないが、そういったケースがあまりに多いのであれば、検索キーワードから-companyを外さなけれならないかもしれない。
今日はヒットなし。