2023/04/12(水)のゾンビ論文 ウォーターゾンビに気をつけろ
ゾンビについて書かれた論文を収集すべく、Googleスカラーのアラート機能を使っている。アラート設定ごとに、得られた論文を以下にまとめる。
アラートの条件は次の通り。
このうち、「zombie -firm -company -philosophical」の内容を主に紹介する。ただし、この検索キーワードできちんと経済学と哲学のゾンビ論文がよけられているか確認するために、差分を簡潔に紹介する。
それぞれのヒット数は以下の通り。
「zombie -firm -company -philosophical」の二件は文学、小児科学が一件ずつだった。
検索キーワード「zombie -firm -company -philosophical」
ウォーターゾンビに気をつけろ: SHUSTERMANのDRY に関するエコクリティカルな研究
一件目。
原題:BE AWARE OF WATER ZOMBIES: AN ECOCRITICAL STUDY ON SHUSTERMANS' DRY
掲載:Literature and Literacy
著者:Sri SartiniとNafisah Endahati
ジャンル:文学
Shustermanは作家の名前。Dryはその作品名。水が涸れてしまった地球を舞台にしたSF小説らしい。
そしてウォーターゾンビ(水辺のゾンビでもいいかもしれない)はその作品内に出てくるモンスターを指す。モンスターといってもその正体は人間だが。
翻訳されていないため日本語の解説文が見つからなかった。こちらのサイトによれば、ウォーターゾンビとは”長い間水がなく、精神的および肉体的に影響を受け始めている人に付けられた名前”である。
論文に話を戻すと、このDryという小説をベースに"ecrocritical study"をしたというのがこの論文の主題だ。以下にアブストラクトを引用する。
6つの概念とは、汚染、荒れ地、黙示録、住居、動物、地球であり、それらの観点から人間による自然破壊を論じる、というのが”エコクリティシズムの文学的観点”であるらしい。
しれって黙示録が入っていることが気になる。黙示録はキリスト教的世界観における世界の終わりであり、環境問題を考える際に役に立つようには思えないのだが。とはいえ、そもそも黙示録が表す内容が余りに抽象的であるため、なんとでも言えるというのが現実なのだが。だからzombie aplcalypseという言葉まで出てくる始末だ。
黙示録の内容は一応論文内で説明されている。要するに北斗の拳的な世界になったということだ。
しかし、そもそも環境問題を小説をベースに論じることにどれだけ意味があるのだろうか。現実の環境問題にどれだけ影響を与えるのだろうか。与えないなら深読み考察オタクが喜ぶだけの無意味な調査報告になるのではないか。
内容を読む限り、調査考察が小説の中で完結しているのでジャンルは文学。感想文でもいいかもしれない。
幼児期の集団環境におけるユーモアと仲間同士の衝突の伸縮性のある一時性: 関係力の分析
二件目。
原題:Humour and the stretchy temporality of peer conflict in a group early childhood setting: An analysis of relational power
掲載:Journal of Early Childhood Research
著者:Carment DalliとAnna Strycharz-Banas、Miriam Meyerhoffの三名
ジャンル:小児科学
子供の発達を調査する論文。zombieの単語は、たとえば次のような一説に現れる。
子供の発達にはまねっこがあり、そのひとつとしてゾンビのまねっこが観察されたということのようだ。日本で言うところの仮面ライダーごっこや鬼滅ごっこに当たるものだろうか。これがアメリカ特有のものなのか、それともこの施設(ECセンター)特有のものなのかはわからない。そこまで読み込んでいないため。
ジャンルは小児科学。
初めて小児科学という言葉を知った。このような知識の広がりを感じることができるから論文収集は楽しい。
検索キーワード「zombie -firm -company」(差分ゼロ件)
この検索キーワードは「zombie -firm -company -philosophical」との差分を表示する。-philosophicalは「philosophicalという単語を含まない」という条件を意味するため、主に哲学のゾンビ論文が差分として表示される。
この節では差分を見ることを目的とするため、各論文の内容にはできるだけ立ち入らない。
しかし、今回は差分がゼロ件だった。つまり哲学のゾンビ論文がなかったのだ。
検索キーワード「zombie」(差分のみ)
このキーワードでは経済学のゾンビ論文がアラートに入ってくる。
無私の意識
原題:Selfless Consciousness
掲載:The Consciousness Revolutions: From Amoeba Awareness to Human Emancipationという本の第一章
著者:Shimon Edelman
ジャンル:哲学
「zombie -firm -company」の紹介時に「哲学のゾンビ論文がなかった」と言ったが…あれは嘘だ。firmもcompanyも含まれていたためこちらの検索キーワードでしか引っかからなかった。
映画好きのためのロンドンガイド
原題:The Movie Lover's Guide to London
掲載:このタイトルの本がある
著者:Brian BillingtonとCharlotte Booth
ジャンル:ガイド誌
タイトルからして論文ではない。ガイド誌である。こういうものも拾ってくるのがGoogleアラートの面倒なところ。
まとめ
「zombie -firm -company -philosophical」の二件は文学、小児科学が一件ずつだった。差分として「zombie -firm -company」と「zombie」ではゼロ件だった。
文学のゾンビ論文は環境問題に関する論文らしいが、小説を経由する理路がわからない。動機としては小説を読んで環境問題の調査に使えそうだと思ったからと考えた方が自然か。
小児科学のゾンビ論文は英語文化においていかにゾンビが人口に膾炙しているかを知るいいバロメータを示してくれた。アメリカの一部の映画好きだけがとにかくゾンビと言いたがるイメージがあったが、本当に世界中で広く愛されているらしい。ちなみに論文著者はニュージーランドの人間である。
とはいえ、今日はねらいの論文はなし。