2023/08/12(土)のゾンビ論文 懺悔系ホラー?
ゾンビについて書かれた論文を収集すべく、Googleスカラーのアラート機能を使っている。アラート設定ごとに、得られた論文を以下にまとめる。
アラートの条件は次の通り。
「zombie -firm -philosophical -bot -xylazine -biolegend -gender」
「zombie -firm -philosophical -DDos -xylazine -viability -gender」
「zombie -firm -philosophical -DDos -xylazine -biolegend -gender」
「zombie -firm -philosophical」(取りこぼし確認)
「zombie」(取りこぼし確認その2)
検索条件は次の意図をもって設定してある。
「zombie」:ゾンビ論文を探す
「-firm」:ゾンビ企業を扱う経済学の論文を排除する
「-philosophical」:哲学的ゾンビを扱う哲学の論文を排除する
「-DDoS」/「-bot」:ゾンビPCを扱う情報科学の論文を排除する
「-xylazine」:ゾンビドラッグに関する論文を排除する
「-viability」/「-biolegend」:細胞の生死を確認するゾンビ試薬を使う医学の論文を排除する
「-gender」:ジェンダー学の論文を排除する
また、「zombie」の内容も確認するのは、上記の検索キーワードで不必要にゾンビ論文を排除していないかを確かめる目的である。ただし、条件4の通り、ゾンビ企業と哲学的ゾンビは完全な排除をねらう。
それぞれのヒット数は以下の通り。
「zombie -firm -philosophical -bot -xylazine -biolegend -gender」一件
「zombie -firm -philosophical -DDos -xylazine -viability -gender」一件
「zombie -firm -philosophical -DDos -xylazine -biolegend -gender」一件
「zombie -firm -philosophical」五件(差分四件)
「zombie」六件(条件4との差分一件)
「zombie -firm -philosophical -bot -xylazine -biolegend -gender」は評論が一件だった。また、「zombie」の検索条件に興味を引く論文が一件あった。
検索キーワード「zombie -firm -philosophical -bot -xylazine -biolegend -gender」
懺悔系ホラー映画としての『レオパルドマン 豹男』
一件目。
原題:The Leopard Man as Penitential Horror Film
掲載:Music in the Horror Films of Val Lewtonの第三章
著者:Michael Lee
ジャンル:評論
『私はゾンビと歩いた!』を引き合いに出して『レオパルドマン 豹男』の劇中音楽の作曲家の言動をまとめ、分析する論文。
ということはつまり、本物のゾンビを扱ってはいない。
ジャンルは評論とした。
余談だが、恥ずかしながら『レオパルドマン 豹男』という映画があることは初めて知った。1943年公開と古いながらも評価は高いようだ。また、"Penitential horror"(懺悔系ホラー)というホラージャンルは存在せず、この論文の著者の造語らしい。『レオパルドマン』を観て、「懺悔」という単語がふさわしいか確認するとしよう。
検索条件1-3の差分(差分なし)
「DDoS/bot」と「viability/biolegend」で検索結果に差異が生じるか調べる。
今回は差分がなかった。
検索キーワード「zombie -firm -philosophical」
上記の条件で誤ってねらいのゾンビ論文を取りこぼしていないかチェックするために、こちらの検索結果もチェックしておく。ただし、ゾンビ企業と哲学的ゾンビは意図的に取りこぼすこととする。
『彼は死者を(ファックして)生き返らせるためにやって来た』:ブルース・ラブルースの『L.A. ゾンビ』における曖昧な(脱)病理化
原題:'He came to **** the dead back to life': ambiguous (de) pathologization in Bruce LaBruce's L.A. Zombie
掲載:Porn Studies
著者:Joshua W. Katz
ジャンル:評論
「-gender」で排除。『L.A. Zombie』というポルノゾンビ映画があり、その監督Bruce LaBruceの分析をする論文。
タイトルの"****"は伏字。英語で四文字の伏字と言えば"fuck"以外ないだろうから、和訳したタイトルにはかっこ書きで「ファックして」を入れておいた。
人々がソースを利用する迷惑な手段
原題:Annoying Ways People Use Sources
掲載:CU Write: Cameron Compositionの第四十章
著者:KYLE D. STEDMAN
ジャンル:文学?
「-gender」で排除。しかしジェンダー関連でもゾンビ関連でもない。タイトルのソースの利用方法とは情報ソースの使い方・示し方を意味するらしい。つまり、論文というよりは文章を書く手引書のような。
ネバーランドのトランスジェンダー: 超自然的なアニメにおける不快感
原題:Transgender in Neverland: Dysphoria in a Supernatural Anime
掲載:University of Massachusetts Amherstに提出された修士論文
著者:Arya Arsenault
ジャンル:ジェンダー学
タイトルからわかる通り「-gender」で排除された。『ゾンビランドサガ』の星川リリィというキャラクターが作中キャラクターやファンにどう受け入れられているかを分析する論文らしい。
白人アメリカ人女性が日本アニメの「トランスジェンダー」を研究するというのは、錯誤以外に何も生まれないと思う。まったく異なる文化の作品を楽しむには相当な努力が必要になるからだ。
怪物の制作とダイナ: デリダの差異のレンズを通して怪物的な女性の創造を見つめる
原題:Monst [her]-Making and Dina: Looking at the Creation of the Monstrous Feminine Through the Lens of Derrida's Différance
掲載:PhilArchive
著者:Kaitlyn SamonsとJustin Shay Easler
ジャンル:哲学
「-gender」で排除。フィクションにおけるモンスターを分析する論文。ただし、ゾンビは例として出されたのみで、主題は『進撃の巨人』のダイナ・フリッツ。アブストラクトを読んだ感じ「アカデミック妄想も大概にしろよ」と思ったのだが、フィクション分析系の論文はこういうのしかないのだろうか。
Monst[her]はmonsterとherを掛け合わせるための造語だと思われる。
検索キーワード「zombie」
「zombie -firm -philosophical」との差分を確認する。上記条件からも排除され、こちらの条件でのみ引っかかった論文がゾンビ企業・哲学的ゾンビの論文であれば、ねらい通りといえる。
職場における組織的ゾンビの育成における傲慢なリーダーシップ行動とその役割 - アル・ナジャフ教育病院での探索的研究
原題:ARROGANT LEADERSHIP BEHAVIOR AND ITS ROLE IN DEVELOPING ORGANIZATIONAL ZOMBIES IN THE WORKPLACE-EXPLORATORY STUDY IN AL-NAJAF TEACHING HOSPITAL
掲載:American Journal of Business Management, Economics and Banking
著者:Hamed Adel Abbas Al-Nasrawi
ジャンル:マネジメント学
「-firm」と「-philosophical」のどちらも含む。教育に関する論文のようだが、なぜか"zombie enterprize"についても言及している。「死に体の企業」以外にゾンビ企業を定義しているのだろうか。
また、以下の文章の通り自覚的にゾンビという概念を使用している。ちょっと興味がある。
まとめ
「zombie -firm -philosophical -bot -xylazine -biolegend -gender」は評論が一件だった。また、「zombie」の検索条件に興味を引く論文が一件あった。
「懺悔系ホラー」という概念も興味を引くが、それよりも「自覚的にゾンビという概念を使う研究者の論文」の方に興味を引かれる。
しかし、今日はねらいのゾンビ論文なし。