2023/06/24(土)のゾンビ論文
ゾンビについて書かれた論文を収集すべく、Googleスカラーのアラート機能を使っている。アラート設定ごとに、得られた論文を以下にまとめる。
アラートの条件は次の通り。
「zombie -firm -philosophical -DDos -xylazine -viability -gender」(メイン)
「zombie」(取りこぼしがないか確認する目的)
メインの検索条件は次の意図をもって設定してある。
「zombie」:ゾンビ論文を探す
「-firm」:ゾンビ企業を扱う経済学の論文を排除する
「-philosophical」:哲学的ゾンビを扱う哲学の論文を排除する
「-DDoS」:ゾンビPCを扱う情報科学の論文を排除する
「-xylazine」:ゾンビドラッグことキシラジンに関する論文を排除する
「-viability」:細胞の生死を確認するゾンビ試薬を使う医学の論文を排除する
「-gender」:ジェンダー学の論文を排除する
また、「zombie」の内容も確認するのは、上記の検索キーワードで不必要にゾンビ論文を排除していないかを確かめる目的である。
それぞれのヒット数は以下の通り。
「zombie -firm -philosophical -DDos -xylazine -viability -gender」三件
「zombie」九件(差分六件)
「zombie -firm -philosophical -DDos -xylazine -viability -gender」は情報科学、菌類学、ゲームデザイン学が一件だった。
検索キーワード「zombie -firm -philosophical -DDos -xylazine -viability -gender」
Unity を使用した 3D ゾンビ サバイバル ラン ゲームの開発
一件目。
原題:Developing a 3D zombie survival run game with Unity
掲載:Centria Universityに提出された論文
著者:Tuan Nguyen
ジャンル:情報科学
本文を読んだところ、Unityを使ってイチから「ゾンビサバイバルランゲーム」を開発しているようだ。開発コードやモデリング例などが豊富に載っているため、これからUnityを使ってなにかやろうと考えている人間にとってはいい教科書になるかもしれない。
ゾンビに関して言及していることもないため、もちろんねらいのゾンビ論文ではない。また、ゲーム関連はすべてジャンルを情報科学としているため、今回もそれに倣う。
侵襲性真菌感染症は『ラスト・オブ・アス』になりうるか?監視、公衆衛生介入、抗真菌薬の管理の重要性
二件目。
原題:Will invasive fungal infections be the Last of Us? The importance of surveillance, public-health interventions, and antifungal stewardship
掲載:Roxana M. Rodríguez Stewartを筆頭著者として、五名
著者:Expert Review of Anti-infective Therapy
ジャンル:菌類学
"zombie fungi"の文字列が見られるため、ゾンビアリあるいはゾンビキノコに関する論文であり、ジャンルは菌類学。タイトルからも間違いないだろう。
菌類が人間に寄生してゾンビへ変えてしまう『ラストオブアス』を引き合いに出し、現在世界で起きている真菌感染症についてレビューする論文。zombieの単語はイントロと結論部にしか使われていない、いたってまじめなレビュー論文である。
楽しみを理解する
三件目。
原題:Understanding Fun
掲載:The Structure of Game Designの第二部第二章
著者:Wallace Wang
ジャンル:ゲームデザイン学
掲載誌の名前を見てわかる通り、ゲームデザインに関する論文。つまり、論文タイトルの「楽しみ」とはゲームの娯楽性のことである。ジャンルは情報科学にしてもよいが、せっかくだからゲームデザイン学としておこう。
Googleアラートからのメールによれば、zombieの単語は下記の文に含まれる。
この文章以外にもzombieの単語が出てくる可能性はあるが、それでも本物のゾンビを扱っているとは思えない。間違いなくゲーム中のゾンビに言及する程度だろう。
検索キーワード「zombie」
このキーワードでは「zombie」ゾンビ論文がアラートに入ってくる。誤ってねらいのゾンビ論文を取りこぼしていないかチェックするために、こちらの検索結果もチェックしておく。
投資家の注意は企業ゾンビ化のリスクを和らげることができるか? – 中国の上場企業からの実証的証拠
原題:Can investor attention defuse the risk of corporate zombification?–Empirical evidence from listed companies in China
掲載:Journal of Business Economics and Management
著者:Yan LinとXinjing Zhang
ジャンル:経済学
本文に「zombie firm」の文字列あり。タイトルからしてもゾンビ企業の論文。
ポート スキャン: 技術、ツール、検出
原題:Port Scanning: Techniques, Tools and Detection
掲載:アーカイブ、あるいはResearchGateのみ
著者:Ali Mirza
ジャンル:情報科学
「-DDoS」で排除されたため、情報科学の論文。情報科学でzombieと言えばゾンビPCを指すため単体で使うことが多いのだが、本論文では必ず"zombie computer"と表記している。大変珍しい。
悪路
原題:Bad Roads
掲載:the Creative Commons Attribution Licence
著者:Serhii Tereshchenko
ジャンル:感想文
「-philosophical」で排除されたが、内容は『Bad Roads』という映画の感想文。
マレーシアにおける健康観光に対する観光客の動機要因: クアラルンプールでのマラソンイベントのケーススタディ
原題:Tourist Motivation Factors Towards Health and Wellness Tourism in Malaysia: A Case Study of Marathon Events in Kuala Lumpur
掲載:Sport and Tourismの第十章
著者:Nurul Farah Izzah Zailaniを筆頭著者として、四名
ジャンル:観光学(特にスポーツツーリズム)
なぜzombieに引っ掛かったのかわからない。あるとしたら、smartphone zombieだろうか…?そしてどの検索キーワードで排除されたのかもわからない。
ジェニファー・ヘイリーの仮想世界
原題:Jennifer Haley's Virtual Worlds
掲載:University of Houstonに提出された修士論文
著者:Aria Pari Giacona
ジャンル:感想文
Jennifer Halerという劇作家が2009年に作った戯曲を題材とする論文。その戯曲の中にゾンビが出てくるらしい。「-gender」で排除された。
ロシア・ウクライナ紛争に関する西側報道におけるメディアの客観性と偏見
原題:Media Objectivity and Bias in Western Coverage of the Russian-Ukrainian Conflict
掲載:Södertörn Universityに提出された修士論文
著者:Henry O. Fisher
ジャンル:メディア学
ロシア・ウクライナ戦争に関し、CNNにより、ウクライナ軍の兵士が「ワグナーとの戦いはゾンビ映画のようだ」と発言したと報道されたらしい。
また、"Masculinity or maleness can reinforce gender stereotypes gender stereotype."(マスキュリニティつまり男性らしさは、ジェンダーステレオタイプを強化する可能性があります。)という文があったために排除された。
現実に起きている戦争に関しこのような分析があるのは興味を引くが、まったくゾンビと関係ない点が扱いに困る。
まとめ
「zombie -firm -philosophical -DDos -xylazine -viability -gender」は情報科学、菌類学、ゲームデザイン学が一件だった。
アブストラクトを読んだだけで内容がおおむね推測できるものばかりで助かった。とはいえ、最後のメディア学の論文だけが私の興味を引くものであった。しかもゾンビとは関係ないところで。
今日はねらいのゾンビ論文なし。