ゾンビ論文の総括(2023年10月)
概要
2023年10月にGoogleスカラーのアラートに次の検索条件を設定して、ゾンビ論文の収集を行った。
条件は次の通り。
「zombie -firm -philosophical -botnet -xylazine -biolegend -gender」
「zombie -firm -philosophical -DDos -xylazine -biolegend -gender」
「zombie -firm -xylazine -biolegend」(取りこぼし確認用)
各検索キーワードの意図は次の通り。単語の前にハイフンをつけると、その単語を含まないものを探す検索条件となる。
「zombie」:ゾンビ論文を探す
「-firm」:ゾンビ企業を扱う経済学の論文を排除する
「-philosophical」:哲学的ゾンビを扱う哲学の論文を排除する
「-DDoS/-botnet」:ゾンビPCを扱う情報科学の論文を排除する
「-xylazine」:ゾンビドラッグことキシラジンに関する論文を排除する
「-biolegend」:細胞の生死を確認するゾンビ試薬を使う医学の論文を排除する
「-gender」:ジェンダー学の論文を排除する
10月中にメインの検索条件に引っかかったゾンビ論文は26本であり、私の目的に合致した論文は見つからなかった。
また、11月の検索条件を次の2つに設定する。ただし、検索条件1をメインの検索条件とする。
「zombie -firm -philosophical -botnet -xylazine -biolegend -gender」
「zombie -firm -xylazine -biolegend」(取りこぼし確認)
以下、10月の調査の詳細を記載する。
集計結果
まず、集計結果を示す。
合計で26件のヒット。9月の22件と比べると若干多いが誤差レベルか。また、9月は評論が八件と群を抜いて多かったことに比べ、10月の評論は教育学やメディア学と並んで三件と少ない点も特徴的だ。
この結果だけ見ると、各ジャンル均等に引っ掛かっているし、日ごとに見ても最大で四件とチェックも苦にならない量で良い。さらに言えば、論文のタイトルからだけでも何のゾンビを扱っているか明らかであるケースもあったため、三件のヒットだが実質一件ということもあった。
その逆ももちろん然りで、数が少ないのに一件一件が滅茶苦茶重かったということもあったが。
10月の検証結果
10月は以下五件の検索条件を設定し、次の三つを検証していた。
情報科学の論文を排除するためのキーワードを「-DDoS」と「-botnet」で比較する。
月の合計で30件以上のヒットがあった場合、各日で設定したジャンルを再分類する。
前者は検索条件1と2で検証し、後者は上述した集計結果で確認する。
「zombie -firm -philosophical -botnet -xylazine -biolegend -gender」
「zombie -firm -philosophical -DDos -xylazine -biolegend -gender」
「zombie -firm -xylazine -biolegend」(取りこぼし確認用)
検証結果を以下に示す。検索条件ごとの差分は次の通り。
検索条件1と2には一件しか差分が見られなかった。
検索条件1と2の差分
次の一件のみである。
タイトルからわかる通り、「-DDoS」で排除されていた。しかし、10/31の本文でも書いたが、アブストラクトですでにbotnetという単語が見られているため、検索条件1でも排除されてしかるべきではある。なぜ「-botnet」で排除されていなかったが不思議でならない。
ということで、9月10月とも検索条件1と2に差分がなく、したがって「-DDoS」と「-botnet」の排除能力に差はないと考える。
2023/11/03現在、Googleスカラーで検索したところ、DDoSもbotnetも検索結果に大差がない。約1000件を差と認めるかどうかは意見がわかれるところだが、一年そこらで1000件差が出てているわけではなく数十年の積み重ねの結果としての1000件差なので、大差ないと断言しても良いだろう。
「DDoS」約 17,900 件
「DDoS zombie」約 10,800 件
「botnet」約 18,800 件
「botnet zombie」約 9,220 件
であれば、「-DDoS」と「-botnet」のどちらでもよいということになる。まあ一応検索数の多い方で「-DDoS」を選ぶとしよう。ということで、検索条件から「-botnet」を削除し、今後ゾンビPCを排除するキーワードは「-DDoS」に統一する。
ジャンル分けの再検討
30件以上のヒット数があれば、ゾンビ論文のジャンル分けを再検討することになっていた。これは、ジャンル分けが細かすぎると排除可能なゾンビ論文に気づけなくなるため、私の求めるゾンビ論文を効率よく探すために必要なのである。
ただ、今回は26件だったので、ジャンル分けの再検討は実施しない。ただ一応、書評やエッセイ、評論はどうにかしてひとまとめにできるような気もするし、芸術学も社会学に合流させてもよい気がする。
9月は22件、10月が26件であるため、30件というのは少々低いハードルだったかもしれない。11月も30件未満になるならば、基準となる件数を減らすか「一件のジャンルが〇種類以上」といった基準を設けてもいいかもしれない。何にせよ、11月も同じように検証を行う。
11月の検証
11月は以下の検証を行う。
月の合計で30件以上のヒットがあった場合、各日で設定したジャンルを再分類する。
検証内容が減ってきており、研究が進んでいる感がある。一年の終わりに振り返って何をしたかまとめると、進んでいる感をひしひしと感じられてすごく気分がよくなるかもしれない。今から楽しみだ。
ということで、11月の検索条件は次の2つに設定する。
「zombie -firm -philosophical -DDoS -xylazine -biolegend -gender」
「zombie -firm -xylazine -biolegend -DDoS」(取りこぼし確認用)
もちろん検索条件1がメインで確認する条件である。これらの検索条件で本物のゾンビ論文がヒットすることを期待する。
また、検索条件2の「-firm -xylazine -biolegend -DDoS」で、ゾンビ企業・ゾンビドラッグことキシラジン・ゾンビ試薬・ゾンビPCを扱う論文を完全排除し、同時に「-philosophical」や「-gender」で排除された論文の中に本物のゾンビ論文がなかったかを確認する。
検索条件2に「-DDoS」を追加したのは、DDoSがほとんどゾンビPCに関係した固有名詞であるため、排除されたゾンビ論文を改めて確認する必要はないと考えたからだ。
変更は11/3(金)以降のゾンビ論文に適用される。
以上。