オバケレインコート【ショートショート】
突然、目の前が真っ白になる。
ふわっとかけられた白いレインコートにもがいていると、後ろからカラカラと笑い声が聞こえてきた。
またか。
「それやめろって。ビックリするだろ」
笑い声の主にレインコートを投げつけると、彼女は上手にキャッチして、そのままクルリと回転しながらレインコートを身にまとう。
白いレインコートを頭からかぶり、顔だけだしてニヤニヤ笑う彼女はこう呟く。
「オバケレインコートだぞ〜雨の日には必ずあらわれるんだぞ〜」
「あーはいはい」
僕は少し呆れながらも、そんな彼女が可愛く見えてしまう気持ちをおさえられなかった。やめろ、と言いながらも、次の雨の日を期待してしまう。
そんなこんなで、数年後…
僕はやっと逆の立場になれた。
彼女に白いベールをかける。
いつものカラカラとした笑い声が聞こえた。
おしまい。