魚座4度のサビアンシンボル(象徴解釈)
Pisces 4: Heavy traffic on a narrow isthmus.
《日本語訳》地峡のひどい混雑
魚座4度の意味
境界、境目
様々な思惑が交錯する環境
魚座4度の物語
地峡とは
魚座4度のサビアンシンボルには地峡が登場します。地峡とは2つの大陸をつなぐ、細くて狭い陸地のことです。
海峡と比べると地峡はあまり耳慣れない言葉かもしれませんが、地峡のある場所には運河が建設されることが多く、地中海と紅海をつなぐスエズ運河、太平洋とカリブ海(その先には大西洋がある)をつなぐパナマ運河なら、聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。
地峡に話を戻しますと、スエズ地峡はアジアとアフリカ、パナマ地峡は北米と南米をつなぐ位置にあります。
地峡は2つまたはそれ以上の国の間に存在するため、古来より人の移動に重要な役割を果たしてきました。文明が発達してからも地峡は交通・貿易・軍事面における要所であり、その地理的重要性によって他国からの侵略を受けることも珍しくありませんでした。そういう意味では、地峡は争いが起きる可能性をはらんでいる場所だと言えます。
パナマ地峡を取り巻く歴史
パナマ地峡がある地域は、15世紀末から始まったスペインやポルトガルなどヨーロッパの列強諸国による植民地支配の影響を受けました。1501年にスペイン人がパナマに上陸してパナマを支配するようになると、当時のスペイン王国はパナマを拠点として大量の金銀を自国に運び、莫大な富を手にしたとされています。
1821年にスペインから独立した後もこの地域の地理的重要性は依然として高く、1855年にパナマ地峡横断鉄道、1914年にはパナマ運河が建設されました。鉄道や運河はパナマにとってもメリットはありましたが、どちらかと言えば他の国(アメリカ、フランス)が自国の経済的メリットを得るために建設を推し進めたといっても過言ではないでしょう。
パナマはスペイン王国から独立した後も近隣の共和国と統廃合を繰り返し、1903年にアメリカの強引な外交政策によってコロンビアから独立しましたが、パナマ地峡中央部の統治権をアメリカに与えてしまい、最終的に統治権が返還されたのは1999年のことでした。
パナマ地峡がある地域の歴史を見てみると、時代の流れの中で他国の思惑に翻弄されてきたことがわかります。さらに、パナマ東端にあるダリエン地峡の話も加えると、「地峡」と呼ばれる場所が持つ性質や潜在的な問題が見えてきます(地峡の中にさらに地峡があるのですね)。
ダリエン地峡は人生の境目
近年、アメリカ合衆国では不法移民が大きな社会問題となっています。南米から北米を目指す移民は様々なルートでアメリカ合衆国へ入国しようとしますが、彼らが必ず踏破しなければならない場所があります。それがダリエン地峡(ダリエンギャップ)です。2023年にダリエン地峡を越えた移民は過去最多の52万人を記録しました。
別名「死のジャングル」と呼ばれるダリエン地峡はパナマとコロンビアの国境を接する位置にあり、鬱蒼とした未開のジャングルが広がっています。ジャングルには先住民族が暮らしているほか、犯罪組織や武装組織も活動しており、ジャングルを通過する移民が金品強奪・レイプ・誘拐などの犯罪に巻き込まれる事件が多発しています。高温多湿、山がちな地形という過酷な自然環境の中で命を落とす人も少なくありません。
ちなみに、先住民族の中には移民相手のビジネス(ガイド、物品販売等)で収入を得ている人もいるらしく、いかにジャングルを通過する移民が多いのかがわかります。
ダリエン地峡を越える移民は政情不安や経済の混乱が続く国の出身者が多く、豊かな国で生活することを夢見て国を脱出します。しかし、ダリエン地峡を無事踏破できたとしても、ゴールの地アメリカ合衆国へ入国できる保証はどこにもありません。最悪のケースでは母国へ強制送還後、犯罪組織の報復を受けて命を落とした人もいるそうです。
それでも、ダリエン地峡を越える移民が後を絶たないのは、ダリエン地峡の遙か彼方にある豊かな国に生きる希望を見いだしているからです。彼ら移民にとってダリエン地峡は国境というだけでなく、「死ぬか生きるか」「不幸なままか、幸福を手にするか」といった人生の境目を象徴するような場所なのかもしれません。
魚座サインと地峡
私が考えるサビアンシンボルの4度は、サインの性質を育む環境を表します。魚座サインの性質を育む環境を象徴しているのが「地峡」だと考えると、2つのモノの間に存在する場所、つまり境界のような場所ということになります。
2つの大陸の間にあるという地理的重要性ゆえに他国からの干渉を受けやすい地峡、周囲の影響を受けやすい魚座サイン。生と死、希望と絶望が混在する地峡、夢と現実の間を往き来するかのような魚座サイン。概念的な話になりますが、地峡を魚座サインの性質を育む環境の象徴として考えてもあながち外れてはいないような気がします。
魚座サインのサビアンシンボルを見ていると、外界からの影響を受けやすいからこそ、警戒心や防衛本能が発達している印象を受けます(関連記事:魚座2度)。最初の方でご説明したように、地峡は争いが起きる可能性をはらんでいる場所です。そういう場所でなら、警戒心や防衛本能も発達しやすいかもしれませんね。
image photo : by Kanenori(pixabay)
サビアンシンボルの解釈について
当記事の内容は、サビアンシンボルを考案したマーク・エドモンド・ジョーンズやサビアンシンボルの解釈を著したディーン・ルディアの解釈とは異なります。サビアンシンボルに登場する要素を象徴として扱い、象徴が意味する内容に基づいた独自の解釈を行っています。
魚座のサビアンシンボル一覧
魚座1度のサビアンシンボル(実験的試み)
魚座2度のサビアンシンボル
魚座3度のサビアンシンボル
魚座8度のサビアンシンボルに示された「噂や妄想に満ちた空間」