シナストリーでスクエアの相性悪いって本当なの?(サビアン占星術 / ポール&リンダ・マッカートニーPart.2)
(2024/7/24追記)どういうわけかこの記事が単品でよく売れるのですが、スクエアの本質Pt.1&2もぜひ読んでも欲しいので、できればお得なマガジンもいかがでしょう〜とお奨めさせていただきます!
前回の記事では、ポールとリンダを繋いでいたのは、ポールとジョンを繋いでいた「双子座27度−射手座27度」の軸であることを解説しました。
ポールとリンダのような「運命的な出会い」には、たった1本の軸だけでなく、たくさんの理由がホロスコープに示されています。
シナストリー:占星術で相性を見る手法
今回の記事では、ポールとリンダの相性の良さの理由を探っていきます。一般的には、シナストリー・チャート(相性図)で、ポールとリンダの天体に形成されるアスペクト(角度)を見ていきます。
シナストリーに関しては、鏡リュウジ氏の書籍が有名なのではないかと。
例えば、私の月と、あなたの月が、90度のアスペクトなら、120度
なら、180度なら、どんな相性になる?
ということが鏡リュウジ氏の書籍では、10天体の組み合わせごとに解説されています。
でも、それが全然当たらないケースも多々あるわけです。当たらない理由ってなんだろう?と疑問を持って、現状のシナストリー占星術を検証してみたいと思います。
実際のポールとリンダの相性は?
ホロスコープから相性をチェックする前に、実際にポールとリンダの相性はどうだったのかを、ネット情報から調べてみます。
リンダとポールは、ネットで調べる限りは、非常に仲が良かったようです。結婚生活は、リンダが死去するまで29年間続きました。
これはビートルズ解散後のポールの初ソロアルバム「マッカートニー」の1曲目「ラブリー・リンダ」。
46秒の短い曲ですが、歌詞は「髪に素敵な花を飾ったリンダが可愛い」だけ。完全なる惚気ソング。最後にはポールの悪戯な笑い声。ハッピーなヴァイブレーションが溢れまくってます。
これが、あのビートルズ解散後のソロアルバムの1曲目です。これだけでも、どれだけポールがリンダを愛していたか想像できます。
勿論、ポールのリンダ愛は、1曲だけにとどまりません。
この画像引用元のリンクはポールのファンサイトなのですが、ポールが書いた数々の曲の中に「リンダへの愛」が散りばめられていたことが力説されています。英語サイトなのですが、「なんでポールとリンダの素晴らしい愛は、ジョンとヨーコの影に隠れちゃってるんだコノヤロウ!(筆者意訳)」みたいな感じで始まる面白い記事です。
参照:Love Me Do: The Songs Paul Wrote For Linda – McCartney Article #11.
もうこれだけで十分なのですが、他のエピソードにも少し当たってみましょう。
ポールのジョーク交じりですけど、本当に仲が良くなかったら言えないジョークかと思いますね。
リンダの死後、2番目、3番目の妻と結ばれた後でも、このような発言をしています。
あまりに愛し過ぎて、他には見つからない大切な存在すぎて、若くして先立たれた喪失感が大きいのでしょう。
昨年(2021)も、リンダの愛したベジタリアン・レシピ本を出版(今現在は3番目の奥さんがいますが)。
前回の記事でリンクを貼ったYoutubeの夫婦インタビューなんか見てもらっても感じられるかと思うのですが、本当に仲が良さそう。
Comming Up / Paul McCartney(1980)
Seaside Woman / Linda McCartney(1977)
この2人のソロ曲のPVを観ても、下の写真を見ても、どこかに全く同じものを持っているような印象を受けます。
この謎は次の記事で「5種のチャート + サビアンシンボル」で解き明かします。今回は、一般的なシナストリー技法で二人の相性を見てみましょう。
リンダ&ポールのシナストリーチャート
占星術の話に戻ります。これは彼ら2人のシナストリーチャート(相性図)です。内側の円がポール、外側の円がリンダです。
二人の星と星が特定の角度(アスペクト)をとっている所に、アスペクトラインが引かれています。点線も含めて赤がハードアスペクト、青がソフトアスペクトです。緑もハードアスペクトの一種、黄色はソフト、ハードの分類無しです。
リンダとポールは、数としてはハードアスペクトが、ソフトアスペクトを若干上回ります。
一般的に、ソフトアスペクトのトライン(120°)やセクスタイル(60°)は相性が良いとされ、ハードアスペクトのスクエア(90°)、オポジション(180°)、インコンジャンクト(150°)は相性が悪いとされています。
本当はアスペクトに良い、悪い、運が良い、運が悪い、という区別はなく、ハードアスペクトは強力なパワーを生み出すけども、ギシギシと軋み、摩擦や軋轢も生み出してしまうという解釈です。
オーブの定義は研究者によって意見が異なりますが、今回は鏡リュウジ氏の著書に従ってポール&リンダの相性を、ハードアスペクトにフォーカスして検証します。
(注)鏡リュウジ氏のシナストリー論は、天体によっては180度もソフトアスペクトに分類しています。これも今回の記事では氏の見解に従って引用しています。
月の相性は結婚生活には重要
結婚の相性を占う時、特に月と月の相性は重要視されます。
なぜなら、月は素の感情、素の感覚、生活習慣、自宅にいるとき(お休みモード)の自分だから。
結婚生活は、その素の自分と、素の他人(パートナー)が、閉塞した環境の中で何年も共同生活を続けるものです。
月がうまく噛み合わないと、仲違いの原因となってしまいます。
鏡リュウジ氏は、月と月は180度はソフトアスペクトに分類しています。つまり、スクエア(90°)とインコンジャンクト(150°)を「気が合わない」相性だと定義しています。
月と月がタイトにスクエア
さて、非常に仲が良さそうに見えるポールとリンダの月の関係は、どうでしょうか?
なんと、ほぼオーブ0で、強力にスクエア関係です。共感できない、気が合わない相手となるはずですが……先にあげたポールとリンダの関係性を見るに、とてもそうは思えません。
ちなみに鏡氏に限らず、ほとんどの占星術師は「パートナーと不仲に悩んでます」と悩みを抱えたクライアントが来たとして、月と月のタイトなスクエアを見れば「ここに表れてます」と真っ先に指摘するでしょう。
ネット検索で見つけた占星術師の見解の一例を引用します。
セレーネ沙湖氏は「月がスクエアの夫婦は太陽星座同士が良い角度をとる場合に限る」と述べています。
ポールとリンダの太陽と太陽のアスペクトはどうでしょうか?
太陽と太陽もスクエア
なんと、二人は太陽と太陽もスクエアです(笑)
サインで考えれば風と風でトラインなのですが、度数で考えるとスクエアとなっています。
鏡リュウジ氏も、結婚や恋人には良くない関係であると解説しています。本質的な価値観がぶつかる、と。
これまた疑問が…….リンダとポールは「菜食主義」という本質的な価値観を共有しています。
それは押し付けられたものでもなく「リンダと共同で決めたことだ」とポールは発言しています。
リンダの死後も、リンダが愛した菜食主義本を発刊し、自身も盛んに菜食の啓蒙活動をしています。
↑ミートフリーマンデーの歌。
間違いなく、本質的な価値観が二人は一致しているでしょう。
太陽も月も両方スクエアなのがポール&リンダ夫妻です。現状の占星術理論に従えば相性が悪いはずなのに、辻褄が合っていませんね。
もしかすると、太陽と月以外に、仲の良さや、価値観の共有を補足する要素があるのかもしれません。探してみましょう。
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