国産紅茶のやべーやつ、リターンズ
どうも限界紅茶オタクです。
国産紅茶がぐんぐんやばくなっています。
で、今回ちょいと喫茶来teafesという、その名の通りRockフェス的にバンドもとい茶園・専門店の集まるイベントに行ってきまして、そこで出会ったやべーやつらの話をしたいと思います。
※ちなみに今年はフェスにいないお茶にもやべーのを教えていただいたんですが、好きすぎて新茶を待ってるのでそれは後日。
賞レース勝者たちからカジュアル路線まで、前回紹介した「すでにやべーやつら」の「今」についても最後の章に!
堀口製茶 カクホリ 紅茶べにふうき
お前そんなにやべーやつだったっけ!?
ごめんなさいね農園さんご本人にも読まれる場でお前なんて呼び方、茶葉に向かって言っています。
何年か前にテイスティングしたときはピンとこなかった茶園さんですが、なんかもう今回はやばかった。
紅茶の美味しいとこ全部盛り。
香りから甘い花や果物のワクワク感、コクのある旨み、支える渋み、濃い喉越し、余韻にまだ残る甘み。
わりと「濃い」紅茶で、ワインで言うなら赤のフルボディ、ビールならアンバーやスタウト、サッカー選手なら全盛期のクリスティアーノ・ロナウドって感じです。
なお勲章としては英国はThe Guild of Fine Foodという組織がやってるgreat tasteという賞で星三つ、最高ランクがついています。
お話をうかがうと何年も出して、最初は落選したところから(エントリー料を数十£とるくせに参加賞が存在しない賞なのだ)今年やっとの三つ星だということで、その間の努力がしのばれます。
そう、この「英国での評価」ってのがおもしろい。
なぜかというとこのべにふうき、めちゃくちゃミルクに合うからです。
これは絶対に焼き菓子! スコーンとヴィクトリアケーキとクランペットで三段積みしたバカのヌン茶もペロリです、2、3煎いけるからな!
とりあえずミルクティー派は持っとけ。ミルク入れるのがもったいないか? 大量に買うんだよ!
マルヒ製茶 香駿 MB204セカンドフラッシュ
シンプルに茶をつくるのが上手い。
実は前回の追記で言及したんですけど、もしかして……この5年で腕が上がっているゥ!? 今回紹介するのは紅茶なんですが、フェスで試したお茶は全部美味しかったです。
リーフの時点から茶の香り、のどを通ったあとの余韻まで、ずーっといい香り。果実か花か、でもこれってつまり紅茶のいい香りで……
誤解されそうなたとえをすると「かわいいあの子のいい香り」みたいな、つまりシンプルに「好きになっちゃう香り」なんですよね。
しかし味はしっかり紅茶。
前回、渋みをマイナス要素っぽくとれる書き方をしたら「渋みこそが茶の醍醐味じゃろがい」という野生のコメントをいただいたんですけど、俺だって渋みは好きですよ! ものによるってだけで!
で、この香駿は舌にしっかりと渋みの爪痕を残していきます。でも飲み込んでしまったらあとは爽やかな余韻が残る、そしてもう一口のみたくなるという、しっかりと作り込まれた味わいです。
ボディがあるからミルクも合うし、たぶんお菓子はなんにでも合うんだけど、たぶん一杯目は香りに惹かれてうっかり何もせずに飲み干してしまうんじゃなかろうか?
紅茶のうまさの幸せをかみしめる、そういうお茶です。
清水園 埼玉夢紅茶 ゆめわかば1st
新星、ここに爆誕。~ねこちゃんを添えて~
特徴はミルキー、練乳とかそういう甘くて美味しそうな、かつ柔らかな香り。花に詳しい人はそういうお花と表現する人もいるかもしれません。
飲む前、そして飲んだあとも鼻に抜ける香りがあまりに素晴らしいお茶です。
味わいは甘みメインのうまみあり。人類は適度な甘みを「おいしい」と感じるものですが、まさにその「おいしい」を体現しています。
ゆめわかばは2006年に登録された比較的新しい品種で、地元・埼玉生まれです。親は緑茶用の定番やぶきたなので、緑茶用に栽培されていて、紅茶にしてここまでのレベルになったやつは清水園さんが初ではないかと思います。
”紅茶”の作り方を、“理解って”やがる…!
どっちかというとダージリンとかハイグロウンとか東方美人とか、香り高い系のストレートティーが好きな人向け、かな?
繊細なんだけど、でも決して食べ物に負けることはなく、たとえば生クリームとかの洋菓子でも合わせやすいと思います。
ところで、パッケージは3匹のねこちゃんがそれぞれ担当しているんですけれども、インスタのハイライトでは茶園でのびのび暮らすお写真が拝めます。かわいいですね。
もしかして…ねこちゃんが育てているからうまいのでは…?🤔
【おまけ】のびしろしかないやつ
やぶきたなのに、ここまで「紅茶」!?
やぶきたは先のゆめわかばの項で書いたとおり、戦後に登録されて爆発的に広まった緑茶用の品種なんですけど、普及しているんで紅茶をつくってみている茶園さんも多いんですよ。
紅茶の主力商品は別の品種だけど本業の緑茶用のやぶきたでも作ってみました的に置いていたりする。
で、だいたいやぶきたで紅茶やると、「みんなが想像してる和紅茶」になるんですよね。煎茶のようなフレッシュさか、ほうじ茶のような香ばしさか。
でもそれならほうじ茶飲めばいいじゃん、と思って俺はあんまり手に取らなかったんですが、これは……けっこうな紅茶!
職人さんの製茶技術と畑の相性がよかったのかなあ、茶師さんに話をきいてみたい。
説明を受けたところ、茶業を継ぐ人がいなかったところに若い方が入ったという、いわゆるスタートアップってやつみたいです。まだ畑を継いでから8年くらいとのことで。
この紅茶はまだうまくなるな? と直感した。
「のびしろを含めて見守りたい」とカジュアルに手に取ったお茶です。あとパッケージがめちゃくちゃおしゃれかわいい(重要)。
あのやべーやつらは、今…
やばさを増している。
井村園(「ももか」他)
公式サイトトップページ
もう賞をとりすぎてシールだらけになり、販売時は勲章を大量にぶら下げた歴戦の将軍みたいになってました。
ももか以外にもブランドを立ち上げている。すっかり壁サー(コミケ等で行列ができるため待機空間が広い壁側に配置される、いわゆる大手作家のこと)です。
俺はTip&Stalkという、普通は捨てちゃうところでつくった、ちょっと雑味というのかな、いろんな味するマニアな茶葉が好きなんですけど、「じゃあ、マニア向けにこちらどうぞ」と↓をお出しされました。
これから色々実験やるのでレポは別途!
吉田茶園(「いずみ」ほか)
ねこちゃんがいます。
おなまえはコメさん。かわいいですね!!!!!!
お茶のほうはセンセーショナルな登場以来、毎年あらゆる賞をちぎっては投げちぎっては投げという恐ろしい人気と実力を誇っています。ここも勲章だらけだ。
あれ? こちらも…ねこちゃんが作っているからうまいのでは…?🤔
畑の見学とか茶会など、イベントにも力を注いでいるようです。サウナとかやるらしい。なぜ。ともかく事業は絶賛拡大中!
千代乃園(SNOWING MOUNTAIN TEAシリーズ)
烏龍茶がはじまりました。
国産烏龍茶、といっても「中国・台湾風の、緑茶に近い」半発酵茶、流行り始めてるんですよね。やはり湿気多くて暑い国は爽やか路線が好まれるのか。
ただ、烏龍もまたとんでもねえ沼でして、俺は恐ろしくて手を出していませんでした。
じゃあ何で手に入れたのかというと、別の趣味でつながったフォロワーさんのお心遣いでした。茶寮で直接オススメを尋ねたら出てきたとのこと、ありがたい!
毎年安定して美味しいお茶を出している千代乃園さんのお茶が美味しくないはずがないんですよ。烏龍にしたってそれはおなじ!
ちなみに前回の記事で野趣のようなものを表現しましたが、その後はずっと右肩上がりに親しみやすさはそのまま、味が洗練されていまして、ぜひその年の新茶を手に入れるのがおすすめです。
フェスでは浅煎りのほうじ茶を出されていて、それもまた美味しく……
あっ、もしかしなくても、ほうじ茶も沼ですね!?
おわり
今回の話はここまでです。
これ以外に世界を含めたやべーのは年末にでも、な! まとめたいぜ!
なんか…すごくないですか、国産紅茶。
ここまでレベルが上がるとは正直思っていなかった。
ジャパニーズ・職人a.k.a.オタク気質がここまでやらせたのか!?
生産者さんと直接話せるフェスも各地で開催されているし、専門家(ものによって一般審査員もあり!)でいろいろ賞レースもやってるんで、以前よりずっと好みを見つけやすくなったと思います。
みんなのおすすめ「ヤベーやつ」がいたら教えてください!
読んでくれてありがとうございました。