TWICEのメンバーがいい子すぎて苦しい
デビューから7年たち、今年事務所との契約を更新するかしないか、K-POP界隈では結構注目されていたTWICE。このたび、メンバー9人全員が更新したと発表されていた。メンバーが来年のスケジュールについて言及するなど、スポ(匂わせ、ネタばらし)があったので、きっと更新するだろうとは思っていたが、なにせ国籍も系統も違う20代の女性が9人もいて、意見をあわせられるということ自体、高い結束力の賜物だと思った。
更新したことについて、メンバーのコメントが発表されていて、特に近年ヘルニア治療やメンタルケアの都合で離脱することが多かったジョンヨンは、メンバーへの愛を強く語っていた。「家族よりもメンバーが大切、契約というのは形式的なものだけれど、自分はメンバーと離れることが寂しい。」
あまりの愛情に、読みながら、のめりこむのではなく、若干頭を後ろにもたげてしまった。いい子すぎる。同じ年ごろの女性が9人も集まれば、喧嘩もするだろうし、超売れっ子なアイドルだから、殺人的なスケジュールをこなしているに違いない。本音は「今まで幾度となく困難に直面しました。喧嘩や不和など起こしている暇もありませんし、皆で協力しないと乗り越えられませんでした」ではないだろうか、と思ったりした。
長年、音楽の道で過ごしてきて、しかも目標がソロで音楽家として日本一になる、だった私としては、音楽をやめて10年以上たった今でも、自分の口の悪さ、思考の悪意に辟易することがある。でもやめられない。着古した服のシミみたいに、自分の脳みそにぴったりとはりついている。
とにかく、ソロとして成功しようと頑張れば頑張るほど、周りは敵であり、信頼できるのは自分の親ぐらいしかない、という状況が多々あった。特にオーディションの控室ともなれば、その張り詰めた空気の中で親を盾にして、ガンガン練習する根性も備わっていなければならなかった。嫌がらせされたり、楽器を紛失するリスクがあるので、一秒も油断はできないのである。そうなると、親とは喧嘩している余裕もなく、むしろ親と協力しないと乗り越えられない局面ばかりになるため、当時17歳とかそこそこ小娘なりに、ビジネスライクに親と付き合っていくということを悟っていたように思う。
今日は乗り気じゃない、でも親は練習しろと言っている。自分でもわかっている、練習しないとライバルに負ける、でもしんどい。まいった。休みがない。終わりもない。ある程度のところまで来ると、この先どれぐらい自分に伸びしろがあるのか、分かってくる。先生もそういう温度で接してくる。でも善良な協力者である親は自分への希望と期待をやめない。辛い。音楽が楽しいなんて一回も思ったことはない。戦いは苦しい。
そういうことを毎日考えながら、楽譜とCDに埋もれたベッドに横になる。ライバルの悪口をぶわっと言う。疲れて泥のように寝る。そしてまた朝起きて、朝練をして学校へ向かう。部屋の空気、相当よどんでたと思うよ。
近年、バイオリニストの高嶋ちさ子さんをよくテレビで見かけるようになった。「バイオリンは好きですか」という質問に対して、間髪いれずに、「嫌いです」と言っていた。それを聞いて、ちょっと救われる。ここにも悪態女性がいることに。好きだけど嫌い、という感情の肯定は初めてだった。