あすなろの手紙〜俳句を添えて〜
これは、橘鶫、aloha、鮎太が紡ぐ公開の往復書簡です。ぜひ、楽しんでいって下さい。
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霜月も終わりに近づき、日に日に寒さが増してきましたね。お二人ともお元気ですか?
前回、鶫さんから素晴らしい雀の絵をいただいてしまいました。雀の目が特に気に入っていて、澄んでていて美しいんです。僕の雀の好きなところが余すところなく描かれており、鶫さんには心から感謝します。ほんとに嬉しくて、言葉にならないとはこのことか!と思いました。俳人を目指す人間が、簡単に言葉にできないなんて言ってちゃいけませんけどね。
さて、今回も難しい質問をいただきました。
alohaさんから、「してみないけどできないことは?」
この質問には悩みました。したいことはいっぱいあるけれど、どれも絶対にできないことではないものばかり。自分が努力したり、思いがけない運に恵まれたらできるかもしれない、そんなものしか思い浮かびませんでした。でも、それはきっと、自分の中で無意識に、絶対にできないことを考えないようにしていたからだと思います。
誰だって、絶対に叶わないことを願い続けるのは辛いじゃないですか。スヌーピーは言いました。「配られたカードで勝負するしかないのさ…..それがどういう意味であれ。」と。
僕はいつしかリアリストになっていたようです。
稲刈の小昼に届く大むすび 清川鮎太
ご存知の通り、僕は農家でもありますからあまり旅ができません。でも、どこか遠くへ行きたい!そんな思いは強く昔からありました。
今回、alohaさんの質問に答えるにあたり、自分自身を見つめ直しました。
そして、出た答えは、
「宇宙に行きたい」
です。
宇宙から地球を見てみたい、月に立ってみたい。無重力を感じたい。そんな、人類史の中でもほんのひと握りの人しか体験していないもの味わってみたいのです。
そして、地球に帰ってきた僕は何を思うのだろうか、どんな俳句を詠むのだろうか。そんなことを考えました。
さて、鶫さんからいただいた質問は「座右の銘はなに?」でした。
僕の座右の銘は、
「泣くがいやさに笑い候」
です。
もともと誰が言ったのか知りませんが、この言葉を僕に渡してくれたのは、開高健です。彼は小説家で、コピーライターで、ルポライター、釣り人でした。彼はベトナムで戦争の闇を知り、その経験をもとにした小説は、そのどれもが心に響く素晴らしいものでした。そんな彼のエッセイに登場するのが「泣くがいやさに笑い候」でした。
見た瞬間に好きになりました。中学生くらいのときだったでしょうか。僕なりに辛いことあり、悩んでいた時期でした。そんな僕に、響いた言葉でした。なんだか、言葉にしてみると、とても前向きになりませんか?そんな気がするんです。
僕はこれからもこの言葉を胸に前を向いていきたいと思っています。
いつも思っていることですが、質問に答えることも難しいですが、質問することもとても難しいですね。質問に僕の人間性が出てしまうようで。
と言っても聞きたいことはいっぱいあるので質問します。
お二人の好きな俳人はいますか?note内でも構いません。ぜひ、教えてください。
ちなみに僕は、原石鼎と紫乃さんです。紫乃さんは皆さんご存知ですよね。俳句幼稚園では大変お世話になっています。大切な家族となった、鶫姉さん、アロ姉さんと出会えた場を作って下さった方でもあります。
今回の手紙は、勝手ながら僕の好きな俳人、原石鼎と卯月紫乃さんの句で締めたいと思います。
日本酒を飲みすぎて二日酔いの末っ子鮎太より
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