エルネアに離婚はない、が……
今日は少しだけ視点を変えたお話です。
さて、私はどうしてダニエルを、レディオーレの結婚相手として選んだのでしょう?
正直なところ、全く理由はなかったのです。顔が抜群に好みだったわけではないし、エルネアを始めたばかりで子どもへの遺伝因子とかも全く知りませんでした。
とにかく「恋人を作ろう」ミッションをクリアしたくて、たまたまちょうど良かったのがダニエル。ただ、それだけでした。
ミッションを順調にこなすうち、レディオーレは農場管理官となり、農場代表を目指すようになりました。その当時、ダニエルは無職で所持金は100ビー程度しかなく……
子どもも産まれた。ミルク代がいる。
第一子が一歳になれば、第二子も望みたい。
農場以外で働くためには、強い武器も買わなくちゃいけない。
とにかくお金が必要!
そう考え、ライバルに差をつけるべく、朝早くから夜遅くまで働くレディオーレ。毎朝ダニエルはラダ小屋までやってきて、「ハーブを摘みに行かない?」と誘ってくれました。
レディオーレの手には飼い葉、糞、ラダのミルクのどれかがいつもあって、返す言葉は決まって「ごめんね」です。
夕方に手が空くと、ダニーオーレを誘ってお出かけをしました。都合がつけば、ダニエルとも。
決まったローテーションは、休日も関係なく続けました。
エルブレンも無事に誕生し、農場管理官から農場世話役にステップアップしたレディオーレは、農場代表を目指して猛烈に仕事に打ち込みました。
業績は右肩上がりですが、世話役の一人が同じように業績を伸ばしていました。追い抜かれれば、農場代表になれなくなってしまいます。気は抜けませんでした。まあ結局のところ、農場代表になることなく近衛騎兵、近衛騎士団長と別の道を歩むことになってしまったのですが……
しかしここで出来た新たな趣味、ピクニック。またもダニエルを蔑ろにする日々。
エルブレンが一歳になる頃、ダニエルに仲良しを持ちかけたレディオーレ。男の子が二人続いて、そろそろ女の子が欲しかったし、子作りの限界に挑戦したい気持ちもありました。
結果は散々で、「気分が乗らないから」と何十回も拒まれました。
ゲーム的にも出来づらいとは知っていましたが、年齢的には問題がないし国民総数にも問題はありません。
この時、初めて自分の行いを省みました。
ダニエルは、子どもをレディオーレ以上に大事にしてくれている。
子どものために料理を作り、時には伴侶であるレディオーレのぶんまで料理を振る舞い、毎日「素敵だよ」と声をかけてくれ、何かあれば応援に駆けつけてくれる。
対するレディオーレは、とにかくお金を稼いで、社会的地位の高い職業に就く努力をしている。その合間に、子どもやダニエルと過ごす時間を作っている。
正直に言うと、ハーブを摘みに行こうと誘ってくるダニエルが鬱陶しかったし、「無職で暇してるからって邪魔してほしくない!」とすら思う日もありました。
傲慢だったのです。
お金は大事だし、キャリアも大事。でも、その結果が「仲良しレス」です。
子どもとの時間も作っているって、でも本当は、ツリムの殻を集めてとか、そういう時間のかかるお願いごとは断っていました。お小遣いがほしいとか、人形がほしいってお金で解決できるお願いごとを優先して叶えていただけ。
農場代表になりたかったのは、実績解除がしたいためのエゴです。
本当は農場代表にならなくても、無職でも、自給自足で事足りる世界だし、家族四人で生きていくだけの生活が送れます。
都合のいい時だけ仲良くしたがる、その傲慢さにダニエルは愛想を尽かしているのだと、自分の行いを反省しました。現実世界なら離婚ものです。
しかしダニエルは、最後まで愛想を尽かすことのない素敵な旦那様でした。
第三子を授かった後は、とにかくメリハリをつけることを心がけました。
平日は仕事をしっかりやる。ただ、夕方以降は家族に声をかけて一緒の時間を過ごす。
休日は家族優先で、家族が他のことをしている時だけ仕事をする。
もっと未来の話ですが、そういう生活を続けていたら、第四子は驚くほどすんなり産まれましたし、第五子も第三子よりすんなり産まれました。
成人した長男は、ダニエルと仲良くお出かけはしても、レディオーレをあまり誘いません。関係性が希薄だったからでしょう。
今のままの関係性だと、いつか来るレディオーレのお葬式に、長男は関係性の希薄さ故に参列はしないかもしれません。現にダニエルの弟や妹は、お姑さんのお葬式に参列していなかったのです。
あくまでゲーム内の話なので、この一連の流れもゲーム内バランスとか色々あるのだと思います。ゲームなのだから、どれだけエゴイスティックに遊んでも良いでしょう。
とは言えこのエルネア王国、ガンガンに私の倫理観を揺さぶってくるのです。
「自分」はどういう選択をするつもりなのかと、折に触れて問いかけられます。
ごっこ遊びは、想像力やコミュニケーション能力を高めたりする効果があるらしいですが、これは本当だと実感しました。
私もですよ、ダニエルさん。
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