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夏の忘れ形見、一人焼肉編

 もうそろそろ夏休みが終わる。このフレーズに焦りを覚えなくなってしまったのは何時からだろうか。夏休みの大半を寝て過ごした中学時代、課題を七月中に終わらせてそれ以降を満喫していた高校時代…別にいい意味でも悪い意味でも特に焦っていた記憶はなかったわ。

恐らく僕は「あ~ん、夏休みが終わっちゃう!!(汗汗泣泣)」なーんてあるあるを体験しないまま生涯を終えそうだ。

しかしまぁ、流石に焦るほどではないが、やり残してしまったことなら幾つかある、忘れないようにやってしまおう。

というわけでやり残したことの一つ、一人焼肉をしにいく。

 一人焼肉、それは一人遊びの頂点であり、ぼっちである宿命を背負いし人間の成れの果て…は少し言い過ぎだけど、要は夢である。
実質少年ジャンプといっても過言ではない。

思い立ったが吉日とはよく言ったもので、台風とは何だったのかと思うほどの晴天の下、低気圧で大ダウンしていた昨日の体を叩き起こして、その時を待った。

やってきたのは安安。七輪を使って焼くのと、食べ放題で有名な焼き肉チェーン店である。

平日だからか、入店したのが6時位だからか、客は殆どいなくて、一人なのに四人席に案内させられた。

いや、別にいいんだけどさ、僕の想像していた一人焼肉といえば最低でも二人用の席、つまり個室感を感じさせる場所で悠々自適に肉を焼く姿にある。それなのにまだ誰も居ない店で、四人席で一人焼肉している僕の構図は流石にいたたまれなさすぎないか?

因みに「いちいちそんなこと考えているから一人なんだよ」という感想は受け付けておりません。
言った奴らから七輪で網目の焼き跡つけます。

安安は食べ放題も魅力的だが、一人で元が取れるほどのフードファイター精神は持ち合わせてないので、単品で注文していくと同時に、食べ放題で元を取ることの難しさを検証していくことにする。

何を食べたのかというと、オクラの肉巻き、タンとトントロのセット、レバー、牛と豚のカルビそれぞれ、それとライス中。

色々振り返ると、一人前って意外と量あるなって思った。

一人でオクラの肉巻き四個も欲しいかといわれるとそうでもない(味は最高)し、一人前表記でもその本質は、同伴者とシェアする所にあるのだろうなと、レバーをモサモサ食べながら思った。

映えるかなって思ってネギ乗せた。2度とやらん。


友達と集まる時なんかじゃ絶対に食べないレバーも、ここではいっぱい食べれる。内臓を食べている時の「俺生き物食ってんだなぁ」って感情は、次のインサイド・ヘッドに出演してほしいまである。もちろんcvは僕で。

本当はホルモンも食べたかったのだが、量を想像してしまうと手が出なかった。

後はトントロ早く焼けすぎそれと美味しすぎ、過小評価されてる歌手位のポテンシャルがある。でもどうせこういうのは(こいつの良さを知っているのは俺だけ)みたいな思考の輩がゴキブリよろしく30匹以上蔓延っているのも知っている。

本当は焼けた後の写真の方がいいのだろうけど、そこまで気を使えるほど写真には拘りは無い。

ちょいちょいと弄り回すとトントロの脂が七輪の炎を猛々しく上がらせる。
火が上がったら使えと言われた氷を網に乗せようかと思ったが、辞めた。

僕の一人焼肉は肉を焼いている時間と、食べる時間と、燃え盛る炎をぼーっと眺めている時間に見事に分けられていた。

炎を見て心が落ち着くのは「1/fゆらぎ」というものを感じているかららしい。リラックスできるのはとてもいいことだが、このまま顔から突っ込んでしまいたくなるので程々にしておきたい所だ。

これだけ注文してお会計が2500円だった。
食べ放題の最安値は税込み2750円なのでわずかに届かなかった。だけどまぁ後半は惰性で肉焼いて食ってたし、サイドメニューも頼めばよかったと後悔している。

量の把握ができないのと、一人焼肉にたいして未熟だったため、悔いが残る結末だった。

けれど、自分のペースで、自分の好きなように肉を焼いて食べれたり、多人数だと頼みがちな食べ放題コースで損することも無い、炎をじっと見て落ち着くこともできる。

一人焼肉の世知辛さと良さを十分に理解できた。
いつかまたリベンジしたい。

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