二十一世紀の日本でファシズムは既に始まっている?
以下の記事は、2014年7月1日の日本経済新聞の記事からの引用になる。
政府は1日夕の臨時閣議で、集団的自衛権を使えるようにするため、憲法解釈の変更を決定した。行使を禁じてきた立場を転換し、関連法案成立後は日本が攻撃されていなくても国民に明白な危険があるときなどは、自衛隊が他国と一緒に反撃できるようになる。「専守防衛」の基本理念のもとで自衛隊の海外活動を制限してきた戦後の安全保障政策は転換点を迎えた。
引用はここまで。これから遡ること約半年前、安倍内閣は「国家安全保障戦略」を外交・安保政策の基本方針として策定した。政府は2022年12月16日、この外交・防衛政策の基本方針「国家安全保障戦略」など安全保障関連3文書を改定し、閣議決定した。これは初めての改定でこの改定によって従来の「防衛計画の大綱」は「国家防衛戦略」に改められ、「中期防衛力整備計画」は「防衛力整備計画」に改められた。
以上は第二次安倍内閣が発足した2012年12月26日以降の防衛政策をめぐる国政の動向となるが、第一次安倍内閣は小泉内閣の後を受けて2006年9月26日に発足した。その後3ヶ月で国会で防衛庁を省に再編する法案が成立し、教育基本法が改正された。第二次安倍内閣の発足後は、2014年6月20日「地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律(平成26 年法律第76号)」を交付し、教育長を地方公共団体の長が議会の同意を得て任命することが可能となり、レイマンコントロールと呼ばれる教育行政を素人の集まりによって管理する民主主義的観点が後退する法制度の変更が実施されてきた。
米国のホロコースト記念館にはファシズムの初期兆候として14項目が掲げられているとされ、それは次の様な項目になる。
1. 絶え間ない国家主義の宣伝
2. 人権の軽視・軽蔑
3. 国民統合のための敵つくり
4. 軍隊の最優先
5. 女性差別の蔓延
6. マスコミの統制
7. 安全保障強化への異常な執着
8. 宗教と政治の結託
9. 大企業の保護
10. 労働組合の弾圧と排除
11. 知識層と学問に対する蔑視
12. 警察による取り締まりと懲罰の強化
13. 身びいきと汚職の蔓延
14. 詐欺的な選挙
既に安倍晋三は他界して二年が経過した…後継内閣の岸田内閣は、防衛力強化に力を入れて安保関連三文書を改定してまで防衛費の増大とそれに伴う将来の増税に舵を切った。その後、2023年4月、2024年4月と宮古島市沖、伊豆諸島沖で合わせると18名となる偵察や訓練に従事した関係者がヘリコプター事故で亡くなっている。
拒否はできるが、各地で高校生の名簿などが自衛隊員の人員確保のために教育委員会などから提供されることも起こっている。そのことに世論の関心もそれほど高くはない…。加えて防衛省関係の不祥事も頻繁に伝えられている。2014年7月1日の閣議決定は憲法違反として指摘する憲法学者は存在しているが、2015年9月19日には参院で平和関連二法が採択され、国連の安保理決議との整合性が図られることもなく、閣議決定を後追いするかの様に現行憲法の下で集団的自衛権の行使を可能とする法律まで誕生した…
2024年7月7日東京都知事選は現職の2度目の再選との結果になり、選挙戦では候補者による政策論争は十分になされることがなかった…2006年に第一次安倍内閣の発足した年の瀬、当時の宰相は「民主主義の成熟」を口にした。以来、18年が経過しようと…つまり、その頃生まれた子どもが有権者となる時期を迎えている。子どもより大人が問題の国であることを自覚せざるを得ない…。