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安保関連三文書の改定と自衛隊ヘリ偵察、訓練中の事故に思う
2024年4月20日10時33分頃、伊豆諸島沖で海上自衛隊の哨戒ヘリSH60K(16号機、43号機)2機が、潜水艦を探知する訓練の最中に衝突して墜落した。乗っていた隊員8人のうち1人の死亡が確認され、ほかの行方がわかっていない7人は死亡したと判断された。
2023年4月6日にも、沖縄県宮古島市沖で第8師団第8飛行隊所属のUH-60JA多用途ヘリコプターが航空自衛隊宮古島分屯基地を離陸した後、海岸地形に対する航空偵察にあたる最中に宮古空港から北西約18kmの洋上空域でレーダーから消失し、のちに搭乗者10人全員の死亡が確認されている。
繰り返しになるが、伊豆諸島の鳥島の沖合で、大村航空基地所属の隊員らを乗せた海上自衛隊の哨戒ヘリコプター2機が潜水艦を探知する訓練の最中に衝突して墜落し、この調査結果として、海上自衛隊は、互いの見張り不足や指揮官の連携不徹底などが原因とする事故調査報告書を2024年7月9日に公表している。
ところで、政府は2022年12月16日、外交・防衛政策の基本方針「国家安全保障戦略」など安全保障関連3文書を改定し、閣議決定した。「国家安全保障戦略」は外交・安保政策の基本方針で、2013年12月に安倍政権によって策定された。岸田内閣において安保関連三文書の改定が初の改定となった。この改定では従来の「防衛計画の大綱」は「国家防衛戦略」に、「中期防衛力整備計画」は「防衛力整備計画」に改められた。
「防衛計画の大綱」は1976年(昭和51)に初めて作られ、これまでに6回策定された。2013年の改定では、3自衛隊を連携して運用する「統合機動防衛力」の構築が、18年では、宇宙、サイバー空間、電磁波を含む全領域の自衛隊の能力を融合させる「多次元統合防衛力」の構築がそれぞれ明記された。2022年12月の改定では、米国と同じ名称となる「国家防衛戦略」に改め、戦略的な側面が重視された。さらに、防衛装備品の5年間の調達計画を定めた「中期防衛力整備計画」は対象期間を10年間とし、名称を「防衛力整備計画」に変更された。
宮古島市沖と伊豆諸島沖で繰り返された多用ヘリの航空偵察中の事故と2機の哨戒ヘリの衝突事故は、岸田内閣において安保関連三文書の改定後に続けて起きてきた。この因果関係は未だ定かではない。しかし、この様な観点で報じる報道が極端に少ない様に思われる。人は忘却する。既に安保関連三文書の改定から2年足らずで18人の関係者が死亡する偵察や訓練の最中の事故が起きている。政府はこの責任を問われて然るべきではないのだろうか…。