『審判』カフカ著 感想

『審判』カフカ著 池内紀訳 (白水社、2006年)

おすすめ C
読み始めてからのスピード A
読み返したい C

総合 B-

あらすじ 銀行員ヨーゼフ・Kは、ある日、突然逮捕される。彼には何ひとつ悪いことをした覚えはない。いかなる理由による逮捕なのか。その理由をつきとめようとするが、確かなことは何ひとつ明らかにならない。不条理にみちた現代社会に生きる孤独と不安をいちはやく描いた作品。
背表紙より

感想 記念すべき初カフカは、あえて『変身』ではなく、『審判』を選んでみた。この小説に通底しているのは、どんなに手を尽くしても、あらがっても、事態が進展しないということだ。事態が進展しないだけでなく、Kがその事態を完全に理解できないというところに、この小説が読者に与えるやるせなさがある。巨大な管理社会に支配されて、その中でわけもわからずもがくK。不穏な小説なので、実生活がうまくいっていない時期には読まない方がいいと感じた。ただ評価が少し低い理由は、読みづらいということ。全体が把握できないというのは、もちろん著者が意図していることとしても、細かい部分で理解できないところが多くある。(急にKがビュルストナー嬢にキスするシーンなど)さらに、平成になってから出版されたはずなのに、語訳に古めかしい単語が使われるなど、他のひとに薦めるのは少し難しいかなと感じた。

注釈 評価の尺度
おすすめ:
たくさんの人に薦めたい A
最低1人は薦めたい人が思いつく B
薦めたい人が思いつかない C

読み返したい:
3年以内に読み返す A
死ぬまでに読み返したい B
もう読み返さないかも C

読み始めてからのスピード:
数日以内に読み終わる A
1週間以上1か月未満 B
1か月以上 C

総合評価
上の3つの評価を平均したもの。

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