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『悪いことはなぜ楽しいのか』を読む

悪とは何か?倫理学への新たなアプローチ

良いとは何かではなく、悪いとは何かという切り口から、倫理学に新たに踏み込む人のための入門書です。「悪いことはなぜ楽しいのか」というタイトルに惹かれ、この本を手に取りました。戸谷洋志の「友情を哲学する」よりも読みやすく、倫理学や哲学のビギナー向けかもしれません。

ショーペンハウワーの倫理感

ショーペンハウワーの倫理感についての記述が特に面白く感じました。

「ショーペンハウアーの倫理学の特徴があります。彼は、道徳的な行為は本人が自由に選べるものではなく、その人の性格によって制約されている、と考えるのです」

悪いことはなぜ楽しいのか

道徳的な行為が性格によって制限される場合、その性格を変えることは難しいですが、外部に表出する部分、つまり行動や言動をコントロールすることはできるでしょう。

悪についての倫理学

戸谷は悪についての倫理学を書いているので、そちらも読んでみたいと思いました。また、エゴイズムと悪意が区別されるという点も、知らなかったので興味深かったです。

自傷行為とカントの自律の考え方に関する洞察

本書では、自傷行為は悪なのかという問いからカントの「人を道具として扱うのはよくない」という自律の話に展開していきます。カントの自律については、同著者の『友情を哲学する』にも登場していたので、異なる切り口から再度読むことで新たな理解を得られたと思います。

理解した気にならないために、哲学書選びの注意点

こうした読みやすく、わかりやすい哲学や倫理学の本を読むのは好きですが、あまりにもかみ砕いた哲学書に惑わされて「わかった気持ち」にならないよう、気を引き締める必要があると感じました。

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