21-22シーズン 第10節群馬戦振り返り ~敗因は審判じゃないよ、という所~

はじめに

どうも皆さん、砂漠のひろしです。
普段はシーホース三河関連のnoteを書いていますが、信州ブレイブウォリアーズvs群馬クレインサンダーズの試合を観て、群馬の凄さを目の当たりにしてnoteを書いてみようと思い、執筆しました。

試合の流れ

信州は熊谷選手、ホーキンソン選手。さらには試合中にマーシャル選手を欠き、群馬もエースであり、ゲームメイカーのジョーンズ選手を欠いた中での試合になりました。
試合は3Q中盤に 信州が最大11点リードを奪うなど終始信州ペースに進んでいましたが、群馬がゾーンディフェンスを敷くことで流れが一変。
インサイドを攻められなくなった事で信州の得点が停滞。
群馬はフリースロー1本成功→フリースロー失敗もリバウンド確保→スリーポイントシュートのバスケットカウントで4点プレイ。
本来は1得点で終わる所を、リバウンドから一気に5得点という形で盛り返すと、その後は老獪な攻めで信州のインサイド陣をファウルトラブルにすると、その後もボーナスの状況を活かし強気に攻め続け、4Q残りに逆転し見事な勝利を掴みました。

さて、この試合の勝負を分けたポイントは2つあります。

・ペイントエリアからのシュート数
・誰にシュートを打たせるか

この2つについて、見ていきたいと思います。

ペイントエリアからのシュート数

群馬:34
信州:22
この数字は、GAME2におけるペイントエリアからのシュート試投数の数です。
実は群馬と信州のペイントエリアからの試投数はシーズン平均では群馬は31.4回、信州は31.6回とほぼ同数です。
にもかかわらず、この試合では12本もの差が生まれています。
この差こそが、勝負を分けたポイントの様に思えます。

ではなぜ、こんなにも差が生まれたかというと、審判の笛にアジャスト出来た群馬と、そうではなかった信州と言えそうです。

この試合を裁いた審判の笛は他の試合と比べると、軽くは感じました。
普段は取らないであろう、軽度の接触でもファウルをコールするのは選手にとっては違和感を覚えたのではないかと思います。

が、リプレイで見てみるとルールブック通りのコールをしているのがわかります。

むしろ、群馬サイドからすれば「リバウンド争いの際に信州の選手が手で押しているのになんで笛を吹いてくれないんだ?」と思っていたかもしれません。
2試合を見た感じこの審判団は

・ボールマンに対するハンドチェックは厳しく
・ボールの無いところのディフェンスやリバウンド争いは緩く

と一定の基準を持って裁定していた様に感じました。

GEMA1と基準が変わってしまう審判もいる中で、2日間一定の基準で裁いてくれたこの試合の審判は言い方は悪いですが当たりの審判だと僕は思います。
GAME1とGAME2。或いは、前半と後半で基準が変わってしまう審判の場合、それこそまともな試合になりませんから。

群馬はこうした審判の笛を理解した上で、徹底したインサイドアタックによりファウルを引き出しました。

ファウルを貰ったプレイはペイントエリアからのシュート数に含まれませんので、実質の数としては34回以上群馬のペイントエリアからのシュートがあったとも言えます。

それを信州もわかってか、ペイントエリアの守りを固めて応戦します。
結果、得点確率が高いと言われるペイントエリアからのシュート成功率を47.1%と抑える事に成功しました。

ただ、この日の審判は少しでもシリンダーから手が出てしまうとファウルを取る事から、群馬の外国籍を止めなければならいという肉体的なプレッシャーと、少しでもシリンダーから手を出してはいけないという精神的なプレッシャーから動きに戸惑いが出てしまい、群馬の思惑に嵌る事になってしまいました。

また、信州はオフェンス面においても群馬のゾーンディフェンスに手を焼きました。

3Q中盤までは信州もマクヘンリー選手や岡田選手のインサイドアタックにより、ペイントエリアからの得点を積み上げました。
得点が止まりだしたのは、群馬が2-3のゾーンディフェンスを敷きだしてからでした。

これにより、インサイドにボールが入らなくなった信州はスリーポイントシュートを打たされる形になり、結果としてインサイドにアタックする事ができず、ファウルが貰えないという形になりました。

マイケルHCもこれを嫌がったのか、岡田選手、前田選手、三ツ井選手を同時起用し、純粋なPGをコートに立たせないラインナップを組みました。

これは岡田選手や前田選手の突破力に期待をしていた側面もあると思いますし、群馬のパーカー選手、キーナン選手、バローン選手のビックラインナップに対抗する為の三ツ井選手起用ではありましたが、このラインナップにした理由は他にもありました。

それは、群馬のゾーンディフェンスの解消を狙っての事です。

どういう事かというと、岡田選手と前田選手はハンドラーとしては未熟な面も多く、ターンオーバーの多い選手とも言えます。

ハーフコートにボールを運ぶことすら怪しいシーンも多く、そこを狙われるケースもこれまでのシーズンでは往々にしてありました。

おそらくマイケルHCは、岡田選手と前田選手が苦手とするボール運びをしなければならないシチュエーションをわざと作り、ボール運びのところで群馬にスティールを狙わせる=群馬がゾーンディフェンスを崩す事を意図したのだと思われます。

しかし、群馬は一貫してゾーンディフェンスを敷き続けました。
普通、ボール運びが苦手そうな選手が運んでいれば「ここでボールを奪って得点を狙おう」と気が逸ってしまいそうなのですが、そんな兆候は一切ありませんでした。
誰が相手だろうと、どんなラインナップだろうと3Q中盤~4Qまでゾーンディフェンスを敷いた群馬に対し信州は、終ぞ攻略する事は叶いませんでした。

誰にシュートを打たせるか

また、試合終盤で群馬にオフェンスリバウンドを献上した事も信州の敗因の1つであり、群馬の勝因でもあります。
試合前にホーキンソン選手の欠場があり、また、試合中にマーシャル選手が怪我をしてしまい、信州のインサイドは手薄なんてモノではありませんでした。

更に追い打ちをかける様に、群馬は徹底したインサイドアタックやアキノ選手の悪癖(オフェンスでもディフェンスでも左腕を使ってしまう)を引き出し、井上選手とアキノ選手をファウルトラブルに追い込み信州のインサイドをほぼほぼ無効化させました。

信州が3番ポジションが本職のジェミン選手をインサイドに使わなくではならなくなったところで、群馬は徹底してマクヘンリー選手がマッチアップしている選手にシュートを打たせました

パーカー選手、キーナン選手、バローン選手とビックラインナップを敷いている群馬に対し、唯一高さで対抗できたマクヘンリー選手がシュートチェックに入ってしまい、リバウンド争いに絡めなくなる。それではゴール下では群馬に勝てません。

実際、4Qのマクヘンリー選手のリバウンド数は0ですし、チームとしてもディフェンスリバウンドは3つしか獲得する事が出来ませんでした。

ゾーンディフェンスに苦戦した信州ですが、リバウンドを確保してからの展開に持ち込めば、群馬がゾーンディフェンスを敷く前に攻める事が出来ますのが、それが出来なかった事も大きな要因でした。

マクヘンリー選手がシューチェックに入らせない為の方策としてはゾーンディフェンスも有効だったかもしれませんが、シーズン中全くと言っていいほどゾーンを使わない信州が苦し紛れにゾーンを敷いたところで効果があったかはわかりませんし、「上手くいくかもしれない」という不確定な要素を信じて手を打つのはマイケルHCの信条に反するところでしょう。

いずれにせよ、徹底したインサイドアタック、審判の笛を頭に入れファウルを引き出すプレイ、そして最後のオフェンスリバウンドを掴む流れを生み出した群馬の遂行力と、リバウンドやルーズボール争うで魅せたエナジー溢れるプレイは見事と言う他ない試合でした。

さいごに

GAME2は怪我人を抱える信州が不利な状況の中で両日とも、1ポゼッションの差での敗戦は惜敗とも言えるかもしれません。
しかし、遂行力とエナジーの信州が絶対に負けてはならない要素で上回られた事による敗北は、惜敗ではなく完敗なのだと思わされた試合でした。

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