21-22シーズン 第23節北海道戦 ~殴り合いを制す~

はじめに

どうも皆さん、砂漠のひろしです。
最近は何かと忙しくまともに試合すら観れていない日が続いていましたが、この試合は何とかリアルタイムに見る事が出来ました。
今回は信州ブレイブウォリアーズがアウェーに乗り込んでのレバンガ北海道戦の振り返りをしていきたいと思います。

試合前の状況

信州は前節GAME2でコンディション不良で欠場していた熊谷と栗原が復帰。
北海道は長い中断明けで試合勘こそ不安でしたが、こちらも欠場者無しという状況。
試合前の時点では、両チームともベストメンバーでの戦いが出来る状況となっていました。
そんな中、信州の注目選手に挙げられたのは岡田。それに加え、バスケットLIVEの実況では熊谷、前田と信州の誇る若手三銃士が注目されていました。
対する北海道の注目選手はショーン・ロング。試合前の時点でリーグ得点ランキング2位に位置し、前回対戦の時は27点と大暴れをした選手でした。

以上の情報を踏まえ、僕は両チームが相手チームの強みをどう打ち消すか?というのに注目して試合観戦に臨みました。

第1Q

このQを支配したのは岡田でした。
フル出場し、スリーポイントシュート3本を含む15得点でチームを牽引。
自らがフィニッシャーとして活躍するのではなく、いい形からのドライブで熊谷のスリーポイント2本をお膳立てするなど、攻撃面で信州を引っ張りました。

ただ、対する北海道の攻撃を抑えられたかと言えばそうではなく、ブルックスがシュートミスなく10得点を上げ、注目のロングも8得点と続きチーム合計で23得点を上げており、信州サイドからすると29点も取っているのに点差は6点しかないという状況でした。

第2Q

1Qフル出場だった岡田をベンチに下げると展開は一転。
北海道の出場した9選手全員が得点を記録するなど、的を絞らせない攻撃により信州のディフェンスが崩壊。

オフェンス面でも大崎、三ツ井というハッキリ守備型の選手を並べている状況でのオフェンスは苦しいものとなりました。

1Qは10本の試投で7本成功していたスリーポイントシュートもこのQでは8本の試投で2本の成功(成功した2本も熊谷、岡田とスターターの選手)に留まりオフェンスが停滞しました。

それでもリードを許すまいと粘る信州でしたが、最後は北海道の特別指定選手の松下に逆転のスリーポイントシュートを決められ、1点ビハインドで試合を折り返しました。

前半を終えて

岡田の大爆発があったものの、逆転を許してのハーフタイム。
2Qのオフェンスの停滞については、ある程度の許容範囲内です。
というのも2Qに出場したメンバーのほぼ半分が既存メンバーの出場でオフェンスというよりはディフェンス重視のメンバーでした。
その中で問題になるのはディフェンス重視のメンバーを出しながら、25失点を許した守備。
そういう意味でも、このQでディフェンスメンバーの大崎、三ツ井の起用が後半はどうなるのか?というのは気になるポイントでした。
先に言ってしまうと、この2人の後半の起用はありませんでした。
理由は簡単で守備型のメンバーで守れないなら攻めれるメンバーを外す理由がないという事に尽きるかと思います。

第3Q

後半開始早々、北海道のディフェンスに変化がありました。

1Qの立ち上がりによく見られたボールマンがペイントエリアにアタックし、ディフェンスを収縮させてコーナーにキックアウトという一連の流れが機能しなく鳴って来ました。

それは数字にも表れていて、前半では18本の試投があったスリーポイントシュートも後半では6本。それも半分以上が岡田のプルアップスリーと前半とは違うオフェンスを強いられる事になりました。

ただ、それでオフェンスが停滞したかと言えばそうではなく、岡田のプルアップスリーや前田のアタックとスリーポイントシュートよりもインサイドアタックを重視する方針に変換しま攻略しました。
また、1Qにノリにノッていた岡田対策は3Q序盤は機能しました。

ただ、ターンオーバーからのプルアップスリーをヒットすると気持ちよくプレイできるようになったか、それ以降は殆どが岡田起点のオフェンスになり再逆転して勝負の4Qに臨む事になりました。

第4Q

4Qのスタートは西山、前田、ジェミン、マクヘンリー、ホーキンソンとこの試合当たっていた岡田熊谷をベンチに下げます。
明らかに疲労困憊の岡田と、前節の影響からかプレイタイム制限があるであろう熊谷には無理はさせられません。
ただ、試合展開的にフル出場は無理でも、4Qオフシャルタイムアウト明けからは出したいな、という状況でした。
つまり、4Qのスターターの課せられた役割は「岡田熊谷が戻ってくるまでリードを維持する」というモノでした。
しかし、特にジェミンがステップアップし、岡田熊谷不在の時間帯にリードを拡げ、ほぼほぼ試合の趨勢を決めます。
展開によっては岡田の投入が早まった可能性も有る事を考えると、このユニットで試合を優位に進められたのは今後のシーズンを考えても大きなポイントになりました。

総評

試合前の注目ポイント両チームが相手チームの強みをどう打ち消すか?という点に関しては、お互いに手は打ったものの、打ち消す事は出来ませんでした。
その中で、他の要素で上回るポイントを見つけた信州が北海道を押し切るという試合になりました。

紹介したいオフェンス

1つ目はバスケットLIVE22:14(1Q残り4:37)のプレイについてです。

先ずは前田とホーキンソンでPnRを始めますが、その場所は通常信州が始めるトップの位置ではなく、ウイングの位置。

注目して欲しいのは逆サイドのジェミンの動きです。
前田がホーキンソンのスクリーンを使うのと同時に、ジェミンが岡田をフリーにすべく、マッチアップしていた中野にオフボールスクリーンをかけます。

それを使ってフリーになった岡田がスリーポイントシュートを決めます。

このプレイに関しては信州のタイムアウト明けオフェンスの為、用意したプレイだったとは思います。

ジェミンが前田がスクリーンを使う前から中野に意識が向いている事と、スクリーンをかけに行く瞬間に前田に対し明確に岡田を指で示すコーチングをしていた事がその証拠でしょう。


2つ目はバスケットLIVE1:28:15(3Q残り5:29)からのプレイ。
エンドインバウンズから始める流れです。
ボールの入れ方は信州がよく使う、コーナーの選手に預け、その選手がトップの外国籍選手に渡すという形。
今回は西山→前田→マクヘンリー→ホーキンソンという流れ。
西山がこのままトップまで上ってボールを貰ってPnRを始めるのが通常の流れです。
ただ、今回はここにちょっとしたアレンジを加えていました。

西山がトップに上るふりをしながら、前田にマッチアップしていた山口にスクリーンをかけ、前田がゴール下に走りこむ。
ホーキンソンはフリーになった前田にパスを通しイージースコアを演出しました。
更には前田にスクリーンをかけた西山も完全にフリーになっており、前田へのパスが難しかった場合はスリーポイントシュートも狙える形になっていました。

この2つのプレイに共通するのはオフボールスクリーンを効果的に使えていた事です。
信州のPnRの技術は高く、それが武器になっている反面、ここまではオフボールスクリーンを使った展開は少なかったのも事実してありました。
今回取り上げたようなオフボールスクリーンを使った得点パターンが増えてくると信州のオフェンス力は更に向上するのではないでしょうか。

紹介したいディフェンス

ディフェンスで紹介したかったシーンは2つ。
ロングのポストアップをどう防ぐか?という点で成功したシーンと失敗したシーンを紹介したいと思います。

成功したのはバスケットLIVE28:25(1Q残り0:18)からのプレイ。
ロングにマッチアップしたのはマクヘンリー。
体格のミスマッチがある中で、ロングのオフェンス全てを守れない中で、マクヘンリーはある程度割り切った守り方をしました。
ポストアップしたロング選手の左側からボールを奪うしぐさを見せ、これによりロングに対して左にはターンできないよね?という守り方を見せました。
ただ、左にターン出来ない様に厚く守るという事は逆に言えば右には出来るという事。
当然それをわかっているロングは右にターンする事を選びました。
しかし回った先にはマーシャルが待っておりロングはシュートまで持ち込むことが出来ませんでした。

おそらく、マクヘンリーがロングのポストアップを守る時の守り方としてターンさせる方向を誘導させる為にわざと空けておくというのがルールだったのではないかと思います。

その証拠に、マーシャル選手がスピンターンの瞬間に寄るのと同時に、西山が北海道のミラーをフリーにさせない為にヘルプディフェンスをしていたからです。

逆に失敗したのはバスケットLIVE1:57:33(2Q残り2:59)からのプレイ。
ここでもマクヘンリーはロングのポストアップに対して右へのスピンターンはされても良い守り方をしており、マーシャルの役割をジェミンが果たしていました。
しかしここでは寄せるタイミングが遅く、マクヘンリーとジェミンの間を抜かれてスコアを許してしまいました。

ある意味、これがマーシャル選手のディフェンスIQの高さを示すものであり、ジェミンの成長しなければならない点なのかもしれませんね。

選手寸評

信州のnoteで採点をするのは初なので、基準がわからない方は↓の記事の採点の項目を見て頂けると基準がなんとなくわかるかと思います。

ジェミン:6.5
後半だけで13得点。さらにはポストアップから攻撃の起点となるなど、積極性を見せた。
ただ、一番評価したいのは岡田の活躍で追い上げ逆転した後の働き。
3Qフル出場し、膝に手を当て肩で息をするほど目に見えて疲れが出てきた岡田を休ませたい時間帯でのジェミンの役割は「可能ならリードを溶かさない事。最悪、北海道に逆転を許したとしてもリードを拡げられない事」。
しかし、実際は岡田選手を休ませている状況でもリードを拡げる事に成功した中で、原動力になっていたのは間違いなく彼の働きが大きかった。

西山:6.0
前節でコンディション不良だった熊谷にプレイタイム制限があったと思われる中で、18分弱の出場時間を確保。
スリーポイントシュートこそ1/4で不調だったものの、アシストを4つ記録し、ターンオーバーは0。
ディフェンスではミスもあったが、熊谷のバックアップとしては完璧な仕事をこなした。

熊谷:6.5
16分弱の出場時間ながら14得点。
代表合宿後に出場した4試合では全試合で2桁得点となる平均12.2得点を記録し、がスリーポイントシュート成功率も58%を記録するなど日本屈指のPGになりつつある。

栗原:-
出場時間が5分未満の為採点はなし。
コンディション不良から復帰できたのは何よりだが、シュートは1本打ちたかった。

マシュー:-
出場なし。

前田:6.0
後半14得点を含む17得点はチーム2位。
3Qの追い上げ、4Qの突き放す活躍と三銃士の一角として十分な働きもフリースロー1/5はマイナス評価。
ディフェンス面では北海道の要求したタイムアウト明けのディフェンスで、バックコートバイオレーションを誘発するなど相変わらずの働き。


大崎:-
出場時間が5分未満の為採点はなし。
守備的な選手なのでオフェンス面でのマイナスは考慮しないが、ディフェンス面でやられすぎた。

ホーキンソン:6.0
マーシャルのトラブルの為、後半はフル出場ながら最後まで走り切る献身性は流石。
ディフェンス面ではロングにマッチアップしなければならないタフなシチュエーションだったが、いくら何でもやられすぎた。

三ツ井:5.5
大崎と同様に守備的な選手なのでオフェンス面でのマイナスは考慮しないが、ディフェンス面でやられすぎた。
ジェミンが今後もこの試合のクオリティを保つ様な事があれば、三ツ井の出場時間は更に減ってしまうのでオフェンス面でも貢献を示すか、現時点でも十分なディフェンス面でさらに突き抜けた存在になるか、いずれにせよ成長は必須。

マーシャル:5.5
後半は欠場も、前半はロングに対してタフに守る。
怪我が重くない事を祈るのみ。

マクヘンリー:6.5
後半はフル出場。
前半はシュートを5/8で成功させたブルックスに後半はシュート2/9と仕事をさせなかった。

岡田:6.5
文句なしのPlayer of the Game。
キャリアハイの34得点とチームを牽引。ディフェンス面でも大きな穴になる事もなく。
彼の場合はオフェンスの調子が良いとディフェンスも良くなってくるのが不思議な所。

いいなと思ったら応援しよう!