21-22シーズン 第2節琉球戦振り返り ~点が取れないなら守れば良いじゃない~
はじめに
我らがシーホース三河は、西地区優勝候補の琉球ゴールデンキングスをホームに迎えての一戦は1勝1敗と星を分ける結果に。
大阪、琉球との強豪2連戦はイーブンで終える事が出来たのはまずまずのスタートと言えるのではないかと思う。
さて、そんな琉球戦の振り返りをGAME2を中心にポイントを絞ってやっていく。
という訳で、琉球戦のポイントはこちら↓
・点を取れないなら守れば良いじゃない。
・0-8のランをされたのなら14-0のランをすれば良いじゃない。
点を取れないなら守れば良いじゃない。
金丸、川村が退団した三河はどうしたって火力は昨シーズンに比べれば見劣りするというのは紛れもない事実で、じゃあどうしようと言ったら守るしかないよね。というのは当たり前の話。
そういう意味では、GAME1の90失点というのは、ディフェンスをテーマに掲げる今季ではあってはならない事態だったのです。
とはいえ、90失点という数字を見ればディフェンスのすべてが崩壊している様に思えるのだけど、実際はそうではなく通用している部分も確かにあったのです。
昨シーズンはCSの舞台で一度だけ見せたゾーンディフェンスを敷く時間帯は琉球も攻めあぐねてたし、趨勢が決した場面でも前から当たる姿はやはり昨シーズンになかった光景でした。
さて、そんな中でGAME2ではどういう戦い方をどうするかを注目していたが、三河はスターターを変えて臨むことに。
3試合いずれもスターターだったガードナーを外し、ユトフを先発起用。
セオリーで考えれば、琉球の核となるクーリーへのマッチアップは同じ体格のガードナーを当てるのだが、GAMW2はシェーファーがクーリーとのマッチアップをする事に。
この起用の意図は、クーリーにガードナーをマッチアップさせても結局はPnRでズレを作られるから、そこを防ぐために機動力のある2選手でズレを作らせないようしようね。リバウンドは全員で頑張ろうね。という所でしょう。
オフェンス面では、ガードナーとクーリーの起用時間をずらす事によりガードナーのポストアップを活かそうというのが意図だったと思う。
ただ、琉球もクーリーを開始3分という早い時間で下げ、ガードナーの出場に合わせてクーリーをぶつけようと対応してきたのだが、そもそも琉球側には開始3分でクーリーを下げるというプランは無かったはずで、鈴木HCは琉球のベンチを動かし、ゲームプランを変えさせることに成功したのが1つ目のポイント。
昨シーズンの三河は相手に関係なく自分たちのベストメンバーを起用し、横綱相撲の様な感じで相手を押し切る戦い方をしていて、先発メンバーが変わる時というのは、普段の先発メンバーが調子を落としていたというネガティブな変化だったのだが、この試合の変化は、自チームのゲームプランを遂行する為に、相手のゲームプランを乱すという意図をもっての起用であるので、先発を外されたガードナーにとってもポジティブな変化だったのだろうと思う。。
もう1つの変化点は、GAME1に機能したゾーンディフェンスの徹底。
この試合で、ユトフ、シェーファー、ガードナーのいわゆるビックラインナップを形成している時間帯に三河はゾーンを敷くシーンが多かった。
形自体はオーソドックスな2‐3ゾーンで上側の2人は、長野・細谷・西田の様な動ける選手配置し、下側の3人はユトフ・ガードナー・シェーファーを配置する形。
こうしてみてみると、やはり下側の3人のサイズが強調されている。
ゾーン自体は昨シーズンのCSでの千葉戦でも見せていたが、その時の下3人は金丸・シェーファー・ガードナーなのでその時よりサイズアップが出来ているし、千葉戦時にはゴール下にシェーファーを配置しているのに対し、今年の2-3ゾーンはガードナーをゴール下に置く様に少しアレンジを加えていた。
ディフェンスで動けないというネガティブな点を逆手にとったこの形で、ガードナーはゴール下から動かないゴール下の番人として鎮座。
そして両サイドのシェーファーとユトフはサイズと機動力を活かしてコーナースリーにもしっかりとコンテストしていました。
琉球のシュートタッチが悪かったのもあり、ペイントを攻めたくともゴール下のガードナーが気になり、上手く攻められない状況を作り、試合を通して三河が守備でイニシアチブを握る展開になり琉球を52点に抑えきる事が出来た。
とは言っても、「今年の三河はディフェンスで勝負できるんだ!」という事もなく、これまではまともにディフェンスをしない状態で戦っていたので、急に頑張る様になった三河に相手が戸惑ってくれているだけとも言えるのでこれに気をよくしていると次節の群馬戦で攻略される可能性も有るので、気を引き締めたいよねという話にもなったり。(まあでも、群馬にもゾーンは結構有効じゃないかなとも思ってる)
一口にゾーンと言っても、様々な形はあるのでアレンジした姿を見たいし、ユトフではなくコリンズワースを起用した場合は1-3-1の形や、3-2にするなど色々試せそうだし、これからの不安もあれど、ディフェンスでここまでワクワクさせてくれるのが先ずは大きな収穫でしょう。
0-8のランをされたのなら14-0のランでお返しすれば良いじゃない。
前半をロースコアの展開に持ち込み、3Qも残り3:49の時点で西田のスリーが決まり、40-36と抜け出しにかかったところまでは三河の理想通りの展開だったんだけれども、その直後に田代がタフショットを沈め、さらには同じく田代の2本のフリースローで同点となると流れは一転琉球に。
3Q残り1:59の場面でダーラムのワンハンドダンクが決まり、4点差(リード)が4点差(ビハインド)に。
このままズルズルと引き離されそうになったところで奮起したのは、この試合大当たりのガードナー。
7連続得点で再度逆転し3点リードで最終4Qに突入すると、ユトフのスリーポイントシュートを身体の厚さを活かしてアシスト。続けてアウトサイドからの難しいシュートを沈め、最後はユトフが得意の片足フェイダウェイを沈め、再び逆転した三河がリードを10点に広げたところで琉球がタイムアウト。
三河は直前に0-8のランをされながらも、14-0のランで再逆転に成功し試合の趨勢はほぼ決した形に。
その後は三河が15得点と順調に得点を積み上げるのに対し、琉球は8得点と攻撃陣が沈黙。
注目すべき点は、14-0のランに積み上げた14得点ではなく、3Q1:39にダーラムにダンクを決められてから、4Q6:15にエバンスに得点を許すまでの5分余りの間、琉球の攻撃をシャットアウトした点。
ゾーンが効いていた事、琉球のシュートタッチが悪かった事、2つの要因はあれども、ここまで三河のディフェンスが機能していた事がここ2シーズンあっただろうか。いや、ない。(反語)
という訳で、やはりこの試合はディフェンスでつかみ取った勝利とみて間違いないでしょう。
採点
恒例行事にしていきたいこのコーナー。
本当は試合ごとにやりたいんだけども、やはり手間がかかったりするのでGAME2だけの採点です。
柏木:5.5
短い時間ながらもゲームをコントロール。ショットクロックが短い中、上手く相手の腕をひっかけさせてスリーポイントのファウルを貰うなど老獪さを見せた。
細谷:5.5
移籍後最多のプレイタイムを得て、秋田印のスティールなどディフェンス面で活躍。もう少しオフェンス参加を。
コリンズワース:5.5
9リバウンドと持ち前のリバウンド力を発揮。ハーフコートオフェンスが整備されてくれば彼のアシストも伸びるか。
長野:6.0
相も変わらず数字以上の活躍を見せてくれた。PG陣の中では最年少にもかかわらず、最も安定感があると言っても過言ではない。クロージングは彼に任せておけば問題ないという雰囲気を醸し出してきた。
ユトフ:6.5
チーム最多の36分以上の出場。後半はフル出場だったが、むしろ後半の方が動きにキレが出ていた。
ビックラインナップ時は3番として起用し、金丸用使っていたセットを彼に流用しているシーンもあり、チームとして彼を活かそうとする姿も。
根來:-
出場無し。
角野:5.5
オフェンスリバウンド3つを含む5リバウンドを示すように、リバウンドの意識は◎。ただ、あまりにもシュートタッチが悪すぎた。
西田:6.0
マンツーマンでもゾーンでもディフェンスの動きは文句なし。さらにはチームに勢いをつけるバスケットカウントをもぎ取り攻守に躍動。
橋本:-
出場無し。
シェーファー:6.5
クーリー・エバンス・ダーラムといった外国籍選手へのタフなディフェンスでロースコアゲームに持ち込めた要因。特に1Qでクーリーに簡単にやられなかった事で三河のゲームプラン通りに試合が進んだ。
実は彼がコートにいる時の+/-はチームトップの21を記録していた。
シュート確率さえ挙げればPlayer of the Gameに選出していた。
ガードナー:6.5
本日のPlayer of the Game。ベンチからの出場ながらゲームハイの28得点。
ディフェンスではゾーンディフェンスの中核として存在感を発揮し、動かされなければ彼は優れたディフェンダーになることを証明。
マンツーマンディフェンス、でも今までなら諦めていたであろう相手のオープンシチュエーションでも諦めずにコンテストをするシーンがあったようにディフェンス意識が明らかに変わっているのがわかった。
首脳陣:6.5
前日の敗戦から見事にステップアップ。ディフェンスで勝利を目指すゲームプランは、生まれ変わりを目指す今シーズンの姿勢を確かに示してくれた。
審判:5.0
ガードナーに対するダーラムの椅子引きムーブをファウルにしたシーンが象徴するように雰囲気で吹いている様な笛が多かった。やや三河よりの笛だったか
琉球について
やはりピュアシューターがいないとゾーン攻略は難しいよね、と。
クーリーがいる事で、シュートが外れてももう1度攻められる権利が往々にして発生するけど、それはあくまでもオプションでありおまけの様なモノだと僕は思っていて、それを主軸にして戦うとちょっと苦しいのかなと、余計なおせっかいながら思ってしまいました。