21-22シーズン 第1節大阪戦振り返り ~7.8得点→24得点~
はじめに
Bリーグ開幕、シーホース三河の相手は昨シーズン2位争いを演じた大阪エヴェッサ。
ニュービル選手を中心としたオフェンスに三河の大嫌いなファストブレイクを繰り出すチーム。
なおかつ、昨シーズンの対戦成績は1勝3敗(しかも1勝は大阪の主力の大半はお休み)という事を考えれば、2敗も止む無しという姿勢で試合観戦をしていたのが正直なところ。
が、結果は1勝1敗という結果に、1試合目も終盤に追いつくなど、惜しくも敗れるという試合であったことを考えれば、上々のスタートを切れた。
1試合目は若手選手、特に角野が堅かったという印象もあり、本来の姿を見せたれなかったという事で、今回は2試合目のレビューを中心にお届けをしたいと思う。
試合推移
1Q 三河24-17大阪
前日硬さのあった角野がシュートフェイクからのミドルジャンパーで幸先良く先制。
続いての得点は、こちらも前日の硬さが取れた西田がサイズを活かしたポストアップからのフェイダウェイを沈め、前日の不安を2人ともファーストシュートを決められた事で払拭し、今日は違うという姿を示す事が出来たのではないかと思う。
1Q残り2:57秒に角野からのタッチダウンパスがコリンズワースに通り逆転に成功すると、その直後の2:37秒には今度はコリンズワース選手のタッチダウンパスが角野選手に通り、スリーを沈めリードを拡げる展開に。
その後もコリンズワース→角野のアシスト。角野→コリンズワースへのアシストと良い流れの得点を量産。
角野の11得点。そしてコリンズワースの5アシストで主導権を握ることに成功した。
2Q 三河16-18大阪
2Q序盤も角野スリーで流れを掴みかけたが、角野がベンチに退くと徐々に大阪の流れに。
ガードナーには機動力でアドバンテージがあるでハントを中心に追い上げを図る大阪に対して、三河は細谷、根來を中心とするセカンドユニットで対抗。
結果的に2点の差を詰められたが、この日のキーマンである角野を休ませる事が出来たのは細谷、根來の踏ん張りがあったのは間違いなくあった。
また、大阪のキーマンのニュービルに対してはコリンズワース、西田がマッチアップ。前半の時点で2得点2アシストに封じる事に成功していた。
3Q 三河21-20大阪
スタートのメンバーに戻した3Qはガードナーのスクリーンを使った角野のミドルジャンパーからスタート。
2Qで休養十分のコリンズワースも6得点3アシストと躍動。
ここまで前半6得点と大人しかったガードナーもこのQだけで6得点を挙げ、エースとして存在感を発揮。
ただ、前半は5つに抑えていた大阪のオフェンスリバウンドをこのQで4つも奪われ、そこから6得点につなげられ、流れを掴み切れない展開が続く。
4Q 三河29-17大阪
残り9:15にドンリーのオフェンスリバウンドから獲得したフリースローで、3Q終盤から4Q序盤にかけて大阪に0-9のランを作られる展開となる、嫌な流れが漂い始めていた。この時点で、三河61-59大阪と2点差に詰め寄られ、流れは完全に大阪にあった。
逆転負けの空気も漂い始める中、重い空気を打破してくれたのは、ユトフとガードナー。そして対ニュービルという難問を課された西田だった。
先ずはユトフのドライブに竹内とエリスが集まったところで、コーナーで待ちかまえていたガードナーにキックアウトのパスを通し、完全にオープンを演出。
ガードナーがこれを確実に沈め、これでリードは5点差に。
その後の大阪の攻撃で2度のオフェンスリバウンドを献上し、3度にわたる波状攻撃の最後にニュービルのオープンスリーを打たれるも、これが外れ命拾い。
ここで差を広げたい三河はガードナーのポストアップを選択。
エリスと竹内に寄られたガードナーはユトフにボールを預け、ユトフはスリーのチェックに間合いを詰めてきた竹内をカウンタードライブで抜き去りエンドワンを獲得。その後のボーナススローもきっちりと沈め8点差にリードを拡げる。
掴みかけた試合の流れをしっかりと握りしめたのは西田。
ニュービルのドライブに対し、フィジカルを活かし守るとルーズボールの取り合いに。
これを奪った角野がこの日21得点目となるレイアップを沈め10点差に。
金丸さんに持っていないものを自分は持っている。その言葉を見事に西田は体現して見せた。
最後はトップから放たれたユトフのプルアップスリーで仕上げ。
大阪に0-9のランを作られた直後に、11-0のランで流れを掴んだ三河がその後も着実にリードを拡げ、90-72で嬉しい今シーズン初勝利を収めた。
この試合のポイントは大きく分けて2つ
・Stop the ニュービル
・24点を積み上げ、6失点と抑えたスタッツ。
この2つを軽く解説したいと思う。
Stop the ニュービル
中村、合田というPGを欠いた大阪は、どうしたってニュービルから始まるオフェンスがほとんどになる。
三河にとってはこの人をどう抑えるかがキーとなる中で、マッチアップは主にコリンズワースと西田が担当。
1試合目は20得点を許すも、実はスリーポイントシュートは3/11で27.3%とある程度の抑え込みに成功していた。
2試合目に至っては、0/5とスリーを1本も決める事が出来ず、という結果に終わっている。
マッチアップした2人が優れたディフェンダーというのもあるが、コリンズワースも西田もファウルを厭わない姿勢でニュービル守り、フラストレーションを溜めさせたというのもこの結果に繋がっていると感じた。(もっとも、激しく当たりにいった弊害でスリーポイントシュートのファウルを2回もコールされているが)
また、去年の編成ではコリンズワースのファウルがファウルトラブルになった際、他に守れる選手がいないという事情もあり激しく守れなかったが、今年は外国籍ガードを守れる選手として西田もいるのもあり、ファウルトラブルを気にせず戦えたというのも大きかった。
24得点6失点
24得点というのは、この試合で三河がファストブレイク、いわゆる速攻でが積み上げる事が出来た点数。
昨シーズンまでの三河は、ファストブレイクによる平均得点は19-20シーズン8.5得点、20-21シーズンには7.8得点とお世辞にも速い攻撃が得意という訳ではなかった。
この2シーズンで20得点を超えたのは1試合(対宇都宮の20得点)のみという事を考えても、この試合で記録した24点がいかに抜きんでた数字だという事がわかると思う。
得点の仕方としては、大阪の得意な形でもある、リバウンドを取った選手が長いパスを前線に供給して得点を狙う形や、シュートを決められた直後に素早いリスタートから4秒でシュートまでたどり着くなど、今までのハーフコートオフェンスによる展開だけではない攻めの形を見せてくれた。
また、この試合でファストブレイクからは6失点しかしておらず、大阪に対しては平均22.3失点(主力の多く出場していた3試合に限れば25.7点)とファストブレイクから点を取られていたのを考えれば、大きく改善された様に思える。実際、タッチダウンパスで大阪が速攻を狙うシーンもお世辞にもディフェンスが良いとは言えない角野が素早い戻りで守った場面もあるなど、意識の高さを感じさせた。
とはいえ、速攻を意識しすぎるあまりリバウンドが取れなかった側面もあったので、次の対戦相手である琉球に対してはファストブレイクを生み出す事よりも人数をかけてリバウンドを取る意識が重要かもしれない。
とはいえ、この試合はオフェンスリバウンドを取られながらも70失点、72失点とディフェンス力の向上を感じさせる試合だった。つってもリバウンドを取るところまで含めてディフェンスだが。
採点
では、最後に敬愛するNackyさんの書かれた以下noteを参考に、選手ごとに大阪戦GAME2の採点をする。
note内ではFE名古屋の選手で例を出しているので、三河の選手に置き換えると、
8.0の項目は、リーグ記録となる4試合連続トリプルダブルを達成した2021年5月1日のコリンズワースや、45得点にリーグ記録の11本のスリーポイントシュートを沈めた2020年3月15日の金丸選手に付け、7.0~7.5の項目で言えば、2021年3月21日の千葉戦で、金丸・川村の両ウイングを怪我で欠きながら、37得点を挙げて勝利に導いたガードナーに付ける。
という風に、7.0~8.0はよほどの事が無い限り付けないと思われる。
柏木:-
出場無し。
細谷:5.5
短い出場時間で長野、コリンズワースを休ませる時間帯を作るも、3P0/1に1TOでは厳しいか。ニュービルにマッチアップさせたいという都合上、鈴木HC大好物ツーガードは無かったが、次節の琉球戦では並里、岸本のラインナップに対する長野、細谷の同時起用は十分にあるので、本来の姿を見せて欲しい。
コリンズワース:6.0
シュートミスなしの10P(FG5/5)に1R、8AS、0TO、1STとマルチに活躍。
ディフェンスではニュービルとマッチアップし、仕事をさせなかった。
長野:6.0
ベンチからの出場で10P、2R、3AS、1TO、3STを記録し、チームの流れを生み出した。
また+/-で+22を記録。
特に長野選手がいない時間帯ではチームとして-2を記録するなど、チームの核とも言っても過言ではない。
彼がコントロールしている時間が一番安心できた。
ユトフ:6.0
こちらもベンチからの起用でありながら17P、12R、3AS、1TO、1ST、3BSと攻守に活躍。
広いシュートレンジにドライブ力も兼ね備え、ディフェンス面ではリバウンドも10を超え、ブロックも3つお見舞い。
文句を付けるとすれば、速攻のシーンで外した事くらいか…?
シェーファー、ガードナーとの同時出場では3番ポジションもこなすなど起用法にも幅が広がりそうな予感がした。
根來:5.5
外国籍選手を休ませる時間を作った。が、厳しく言えばそれだけとも。
オフェンス参加が全く無いのは物足りない。
角野:6.5
チームハイの23P、1R、3AS、5TO、1ST、1BSとオフェンス面でチームを引っ張った。
1Q、3Qの立ち上がりでミドルシュートを決め、流れに乗った。
+/-で+22を記録するなど、彼の出場時間中に流れを掴むケースが多く、金丸の穴はここで埋まりそうな気配も。
この試合のPlayer of the Gameになってもおかしくない。というか西田がいなければ間違いなくPlayer of the Gameに選んでいた。
選ばれなかった要因は、5つを数えたTO。もう少し減らそう。
西田:6.5
この試合のPlayer of the Game。
15P、1R、1AS、2TO、1ST、1BSのスタッツだが、評価ポイントの殆どをニュービルへのディフェンスで稼いだ。
ニュービルを止め、その後の速攻を演出したシーンがこの試合のハイライト。
この試合のポイントである、Stop the ニュービルを遂行した時点で6.0評価は固く、オフェンスでも貢献を見せたので6.5点。
角野と悩んだものの、Player of the Gameは西田に。
橋本:-
出場無し。
シェーファー:5.5
8R、2BSと守備面では高評価も、オフェンスで無得点では物足りない。
ガードナー:6.0
15P、7R、7AS、1TO、1STと活躍。
4Q、2点差に詰め寄られた場面でのスリーポイントは大きかった。
7ASを記録するなどコートビジョンも良く、オフェンス面では文句なし。
ディフェンスでは動けないなりに頑張るも、ハントのフットワークに全く付いていけなかった。
首脳陣:6.0
4Q終盤のラインナップが2日とも違った事から、去年のゲームクローズのメンバーとは違い、調子の良いメンバーを出していくという姿勢を感じさせた。
さいごに
採点の項目で、6.0の選手に最初は6.5をつけてしまう甘々採点だった。逆に言えばそれくらい活躍した選手が多かったという事。
ただ、細谷・根來・シェーファーはやや辛口の採点となるなど厳しい評価もしているが、次節の琉球戦では見返すほどの活躍を期待したい。