【下書き】「THE合体マイトガイン」から考える「思い出」と「今」

べつに玩具レビューの記事ではないです。合体や見た目の解説をお求めの方はどうヲタファさんのYouTubeチャンネルにでもどうぞ。
さて、全く無知の方のために、「勇者特急マイトガイン」の説明から。本作は1993年に放送された子ども向けヒーローロボットアニメです。勇者シリーズと言えば知っている方も多いでしょうし、30代以上の方は昔観てたという方も大勢おられると思います。列車をモチーフとしたロボの活躍を描く爽快なアクション活劇となっています。
そして「THE合体」。これはグッドスマイルカンパニーから発売される「合体ロボットおもちゃ」のブランド名になります。おもちゃといっても15歳以上向けのハイターゲット商品となっていて、後述しますがお値段も繊細さも子ども向けのそれとは結構違います。基本的には昔の作品のロボを立体化するブランドで、93年放送の「マイトガイン」のほかは92年「ダ・ガーン」、85年「ダンクーガ」などとなっています。
そんな中、2023年9月にマイトガイン、24年4月にマイトカイザー、5月にマイトガンナー+パーフェクトオプションセットが発売され、主役ロボたるマイトガインの最強形態「グレートマイトガインパーフェクトモード」への合体が完遂されました。正直言って、どれもこれも名品で困ります。総額75000円と言われてもほぼ1年かけて払ったのでそんなに圧迫感がなく実感が湧かないです。とにかくこの「物の良さ」だけを感じています。
ところが、他の人の感想を漁ってみると「あの時の思い出が」「子どもの時の自分が」「見せてあげたい」と言った投稿がドバドバ出てきます。これは要するに、当時マイトガインを好きだった/好きでい続けている人たちです。購入の動機が私とは全く違うと感じました。先にも挙げた玩具レビュワーのヲタファさんはTwitterで「古い作品の玩具を買う時は何かというと思い出を買っている」と仰っていました。物の良さと同時にマイトガインと共に過ごした1年間の思い出も買っているというのは私にはできない芸当です。なぜなら私は2004年生まれのピチピチティーンだからです。93年は多分両親が出会ったばかりとかそれくらいだと思います。
私が75000円も払ってマイトガインシリーズを揃えることを決意したのは、私がおもちゃオタクだからです。おもちゃとして、昔の商品で歪だった部分がリファインされ、これは二次元の嘘だろうと納得されていた部分が立体として実現するブレイクスルー、ただそれだけでバイト代を全て注ぎ込める程度にはおもちゃが大好きです。あえて性の悪い言い方をすれば、私にとってマイトガインという作品を観ることは、この商品を手に取る正当な理由を作るための踏み台にすぎなかったんです。そこに30年分の時を越えるような想いは当然ないです。(もちろんマイトガインという作品は大好きですけど)
このような遍歴があるために、いざ他のユーザーの感想を目にすると「あぁ、勝てない」と思ってしまうわけです。私も子どもの頃からのおもちゃ好きなので、語られる思い出に共感はできます。マイトガインだけは買ってもらえた、全部揃えた、友達と遊んだ、失くしてしまった…など。同じだけど、当然時代が違います。時代が違えば環境も違います。マイトガインという一つの作品が持つ時代特有の雰囲気と共にTHE合体という現代のおもちゃを触ることができるという感慨に、私は深く深く憧れます。
マイトガインといえば、最終話の演出。これついては有名な話なので知っている方も多いと思いますが、まあ「え!?そういうことにしちゃうの!?えぇ…」という風な、爽快な作風には似合わない後味が複雑なオチだったわけなのですが、これも文献や監督のツイートなどを見ているとどうもバブル崩壊と世紀末に挟まれた時代感特有のものだったらしく、このへんの空気感というのはどうやっても感じることができません。感じたいかと言われれば現代はその頃よりずっと不景気なのにそれもな…と思わなくもないですが、私はどうやっても手に入らないものに執着しがちで、なんだかとっても煌めいて見えます。


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