遊戯王ゲートボールイベントにおける過去裁定引用の難しさ
こんにちは。さばえです。
先日のリアルアラサー杯にて、記事のカバー画像並びに下記のような状況が発生し、参加者全員で悩む事態が発生しました。
最近も、1103環境イベントにおける《血の代償》の同一チェーン上での発動回数や手札枚数との兼ね合いなどが話題となりました。
※ Revival Cup様 Xポストより引用
当時のルールを尊重したゲートボールイベントにおいて、現在では当時の公式のルール参照が物理的に不可能であり、遊戯王wikiや個人ブログ、当時をよく知るプレイヤーの経験談から判断・対応することしか出来ません。全ては運営側の匙加減となっています。
その個々の情報ですら、昔のゲートボール環境になればなるほどネット環境も黎明期となり、各情報の正確さが曖昧で、個人ブログも9割方消滅し、もはや文献ソースやログが無く判断がつかなかったり、一部の声の大きな○○さんがこう言ってたからこうなんだ!などといった状況なりがちです。
※実際に〇〇さんはおりません。あくまでも例です。
今回発生した例は、使用率の高いカード同士でシンプルであり、現行ルールを知っていれば一見分かりやすくも見えますが、当時をよく知るプレイヤーの知見・意見も踏まえると、なかなか面白い例となっているため、少し取り上げてみようと思います。
前提条件
ターンプレイヤーA
▶前のターン以前にセットされている《激流葬》1枚、《サイクロン》1枚 計2枚のカード
非ターンプレイヤーB
▶前のターン以前に既にアクティブとなっている表側表示の《王宮のお触れ》1枚、前のターン以前にセットされているフリーチェーンで発動できるセット状態の《王宮のお触れ》1枚 計2枚のカード
実際に起こったアクション
※記載した事柄以外の優先権の細かなパスは事象に影響が無いため省略します
ターンプレイヤーA(以下A)
非ターンプレイヤーB(以下B)
※Bのフィールド上には《王宮のお触れa》適用中
A:モンスターを攻撃表示で召喚。
A:自分のモンスター召喚に対し《激流葬 チェーン①》を発動
B:チェーン無し
A:自分の《激流葬》にチェーンして《サイクロン チェーン②》発動。対象はBの既にアクティブ状態の《王宮のお触れ》対象。
B:Aの《サイクロン》にチェーンして2枚目の伏せてあった《王宮のお触れb チェーン③》を発動。
《王宮のお触れa》適用中
チェーン1:《激流葬》
チェーン2:《サイクロン》対象《お触れa》
チェーン3:《王宮のお触れb》
Q:上記の場合、ターンプレイヤーAの発動した《激流葬》の効果はどうなりますか?
実際のその場での意見・Xでの意見
●2枚目の《王宮のお触れ》発動時には既にアクティブとなっている1枚目の《王宮のお触れ》により場に定着する事が出来ない?
⇒大昔の裁定で、発動時に無効になった永続罠は場に残らず墓地に送られるルールであった時期あり
●あるいは無効にされた状態でチェーンの解決処理を進めるのでは?
⇒最終的にプレイヤーAの《激流葬》が有効になる?
●永続罠は発動時に場に定着しなければ効果は実質的に無効になるから……発動時に《サイクロン》で無効になるってそういうことだっけ?あれ?
●《サイクロン》で1枚目の《王宮のお触れ》を破壊したら2枚目が有効になる?
でもそもそも2枚目の《王宮のお触れ》のチェーン処理時には1枚目によって無効になってるから……あれ?
アンサー
有識者数名に確認を行うと共に、類似する当時の裁定を可能な限りで確認しました。
その結果、もし私が運営側であったりジャッジを行う立場であれば、
現代裁定同様、プレイヤーAの発動した《激流葬》が無効となる、を正しい処理とする、が結論となりました。
チェーンの段階に分けて整理します。
《王宮のお触れa》適用中
チェーン1:《激流葬》
チェーン2:《サイクロン》対象《お触れa》
チェーン3:《王宮のお触れb》
最後に発動した《王宮のお触れb》は、チェーン3・2の2段階では効果は無効になっているが、チェーン1を処理する段階では効果が無効にはなっていない。
チェーン1の処理前には、既に先にアクティブ状態であった《王宮のお触れa》の効果が失われ、チェーン3で後から発動された《王宮のお触れb》の効果が勿論チェーンブロックを作らず即座に適用される為、チェーン1の処理時には罠カードの発動は無効にしないが、効果を無効化する。よって、《激流葬》の効果は不発となる。
※現代裁定も上記と同様です。
※《王宮のお触れ》適用可で《スキルドレイン》を発動した際の類似した挙動に関する2005年前後の裁定の記録あり。
一見簡単そうなカードの組み合わせに見えて、
①当時裁定の関連情報が殆ど残っていないこと
②実際にエキスパートルール、新エキスパートルールと、ルールが整備されていく工程の中で、発動時に効果が無効となった永続罠が墓地へ送られるという処理を行っていた時期が実際にあり、それがいつからいつまでの時期か誰も判断がつかない、あるいは場に定着する、しないの概念も不明瞭である事
③2000年代後半~現代裁定では《激流葬》が無効になる裁定である事
④当時裁定もとい、2000年代前半の 古代王 遊戯王は裁定がどれもあやふやなこと、カード毎に矛盾する点も多い
上記の要素が大きいでしょう。
当時を知る有識者のお言葉を一部引用させて頂きます。
『そもそも、当時裁定が本当に正しいか誰にも分からない。』
たぶん当時のルール開発者も、事務局スタッフも、遊戯王出版物担当者も、誰も遊戯王を真に理解出来ていないでしょう。だって20年経ってもこの有様なんだものね。
結論
カードが違います。カードによって異なります。
非公式であれど大会等であれば、その場のジャッジや運営に従うのが定説であり、正しいものとする事が絶対です。(勿論運営側も可能な限り間違わないことが前提です)
しかし、当時を懐かしみ、当時のルールを尊重して行うことゲートボールにおいては、今回のような事象がどうしても時折発生してしまいます。
そして、その答えは100%の精度では、今となっては確認するすべも無く、誰にも分かりません。
私は自分が主催、ないしは良くして頂いてるイベントにおいては、可能な限り当時を尊重したルール整備を実施、または協力したいと考えています。
しかしながら全てを把握することは前述の通り困難であるため、ある程度の目安を付け、線引きを行うことが大切だと考えます。※有識者のお言葉も一部引用
★ある程度有名であり、複数カード単位で現在と処理・裁定が異なる、あるいはデッキやコンボが成立する当時裁定はそのまま採用し、尊重する
例:0503環境における《デスデーモンドラゴン》+《幻想召喚師》など
★ゲートボールイベントには有識者がある程度揃うのが通例だが、それでも解決しなかった場合は、以後現代裁定に随時置き換えていく、あるいは現代裁定をもって処理を進める方針とする
★当時を完全になぞるよりは、不便な裁定やカード単位で統一性のない釈然としないルール周りは運営でアレンジし、必要に応じて事前に周知しておく
こういった方向性で進めていくのが健全で良さそうです。
あくまでもさばえ個人の意見がおおよそを占めているため悪しからずや。
終。