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KFCフライドチキンを完コピする。

日本でクリスマスにチキンを食べる習慣は、大手フライドチキンチェーンのキャンペーンが起源である。バレンタインデーのチョコレートと一緒ですな。

もうちょっと遡ると、1860年代のアメリカで、ヨーロッパからの移民が食糧難で冬を越せそうになかったとき、先住民が七面鳥(ターキー)をプレゼントしたことから・・・だそうだ。本当かぁ?
アメリカってこういう都合のいいほのぼのストーリーを作るのうまいからなぁ。
本当はもっとひどい話だったりして・・・と、
ワタシの懐疑心がムクムクと湧き上がるのですな。スンマセン、性格悪くて。

とにかくクリスマスはキリスト教と共にもっと昔からヨーロッパにあったわけで、そちらの本場では、国や地域それぞれで「ごちそう」とされる料理がクリスマスディナーだ。七面鳥をメインとしているのは味オンチのイギリスくらい。
たぶんゴーカに見える丸焼きのビジュアルで定着したんでしょうな。
それがアメリカ建国初期のイギリス系移民によって代々受け継がれているとみるのが順当なところ。

クリスマスの習慣が日本に入ってくるのは明治以降で、定着したのは1970年代の高度成長期だ。七面鳥は手に入りにくいので手頃なところでニワトリになった。
ワタシなんか骨つきのモモ肉に手で掴めるようにアルミホイルなどでラッピングしてたのを思い出す。手頃な骨つき肉がクリスマスの特別な料理にふさわしいとするのはイギリスのメンタリティと同じ。見た目ゴーカでも実質は貧乏くさい。
だからいまはあまり見かけませんね。

そんな名残りというか流れでクリスマスにはフライドチキンになったわけだが、
我らが日本には鶏料理として世界に誇る唐揚げという文化がある。
しかし、クリスマスに唐揚げとならないのは、やはりどこか欧米の気分が欲しいからでしょうね。だから唐揚げではなく、どうしてもフライドチキンとなる。

このフライドチキン。日本に登場したのが1970年の大阪万博の年だ。
だからもう50年以上の歴史があるわけだ。唐揚げ文化をはじめ鶏肉料理がこれほど成熟している日本で現存している理由はやはり唯一無二だからだろう。
旨い不味いを超越しているのだ。
というか、やはり素直に旨いのですね。
食べ物は不味かったらあっという間に淘汰されるし。
わたしも定期的に食べたくなるし。

ケンタッキーフライドチキンの最大の特徴はあの衣にある。
あの剥がれやすいスパイシーな衣だけを好きなだけ食べたいと思ったことはありませんか?ワタシはあります。そのくらいあの独特の味わいは衣に集中している。
これがまた冷えたビールによく合うんですな。
あれ、どうやって作っているんだろう。
ケンタのレシピはコカコーラと同じく謎めいていて興味がわく。
こんな時は相棒の施さんに訊くのが手っ取り早い。
早速、ラインで質問すると怪しげな1枚のレシピ表が写メで送られてきた。
その内容はこうだ。

施さんがどこからか入手した怪しげなレシピ表

「あのさ、つまりケンタッキーフライドチキンはお家でも再現できるの?」
「できるよ」
「でもさ、1日牛乳につけるなんて大変じゃん」
「あ、それ20分でいい。実際に忠実に実験してみたから」
「どこで?」
「ある会社の商品開発で遊んだの」
「じゃあ、まったく完コピに近く再現できるのね」
「うん、ほぼ一緒。衣の食感なんて本物以上に本物」
「本物以上に本物ってなんだ!(笑)」
というわけで、ケンタッキーフライドチキンをお家で完全再現します。

【ケンタッキーフライドチキン】

【材料】1人前
鶏もも肉 250g(1枚)
玉子 1個
※バター 10g(お好みで)
サラダ油(揚げ油)500cc

マリネ液
水 50cc (別に氷2個)
牛乳 50cc
ローリエ 1枚
塩 小さじ1
砂糖 小さじ1

スパイス
小麦粉 80g(大さじ山盛り3杯)
コーンスターチ 20g(大さじ山盛り1杯)
オールスパイス※ 小さじ1/2
ブラックペッパー 小さじ1/2
ホワイトペッパー 小さじ1
ガーリックパウダー 少々
パプリカパウダー 少々
チキンブイヨンパウダー 1個(固形ならパウダー状に砕く)

※オールスパイスとは、シナモン、クローブ、ナツメグをミックスしたような深みのある香りのスパイス。ミックススパイスではなく単品スパイス。

●マリネ液を作る。ミルク以外の材料を入れ鍋で一煮立ちさせ、少し冷ます。

●マリネ液にミルクと小さな氷2個ほどを入れる。(温度を下げるためです)

●鶏モモ肉1枚をふたつに切る。

※大きさはお好みだが、フライドチキンはでかいほうが良い。

●切った肉をマリネ液に皮面を上にして浸し、ラップを肉の表面とボウルにかけ、冷蔵庫で20分置く。

ラップは肉の表面とボウルで二重にかける。

●スパイスを調合し、ポリ袋に入れてよく混ぜ合わせる。

怪しげな表ではなく、上記したスパイスのレシピで!

入手したスパイスの調合表から施さんが手っ取り早く合理化したそうだ。
味はほぼ変わらない。ポイントはコーンスターチで、これによってあの皮の食感になる。謎の表には小麦粉の分量がないが、これも最適値を施さんが導き出した。

●肉をマリネ液から出し、溶き玉子に絡ませ、スパイスを両面につけて揚げる。

2度漬けが最大のポイント!この手順だけは絶対に厳守してください!

卵液から粉へ。これを2度繰り返す。
しっかりと粉が付く状態にするのがポイント。

●強火で180度に熱した油に肉を入れる。すると温度が下がるので、
ここで中火にする。
すると160度にキープされるので、この状態でしばらく揚げる。
泡が細かくなってきたら今度は強火にし、一気に180度まで上げる。
シューっと音が変わったら揚がった合図なのでバットに移す。
目安は160度4分、180度4分くらい。合計で揚げ時間は8分!

この方法だと温度の違う油で2度揚げしたのと同じ効果になる。

肉を入れて温度が下がったら、最初は中火にして160度キープで4分間!
泡が細かくなってきたら強火にして180度にする。これでまた4分間!
もうあの例の皮になっていますね!

●揚がったらバットにあけ、皿に盛り付けてできあがり。

本来フライドチキンは骨つきの肉であるべきだと思う。
フライドチキンに限らず鶏の唐揚げは骨つき肉だと縮まないので上手に熱が入るし固くならない。これは鶏肉に限ったことでもない。肉は骨つきがおいしいのだ。

施さんはたまにこうしてイタズラをする。
ほとんどの友人が買ってきたものだと騙された。特にみんな驚くのが衣だ。
あの店の特徴が凝縮しているあの衣と、色、見た目、食感、もちろん味もそっくりだからみんなびっくりする。
「え、作ったの?」と驚くと施さんはキッチンでひとりニンマリと笑うのだ。

このフライドチキンが真価を発揮するのは、出来立てではなく、程よく冷めた頃合いだ。(当然出来たての方がおいしいが)つまりお店から買ってきたり配達されたりする時間を考えると、皆さんは冷めて常温になった頃に食べているからです。


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