ないに越したことはない、そんな日もある。
「たいふうがこわい」と娘が言う。
明日は家にいるから大丈夫だよ、と何度言い聞かせても、そわそわして、長く寝付けずにいた。
最近は雷も怖がるようになった。壁越しに聞こえる洗濯機の音を「これ、かみなりのおと?」とやたら確認する。
まあ、「家にいるから大丈夫」は本当に大丈夫かさすがにここまで気候変わるとわからないんだよなあ。
大丈夫だと思うから、無事を祈りましょう、としか言いようがない。
地震もそのうち怖がるようになるだろうし、火事は怖がってもらわねば困る。この際、親父はどうでもいい。
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「従業員の安全の確保だなんだって言われてしまうけれど、一人でもうちで過ごす時間を必要として来てくれる人がいたら……と思うと開けておきたいんですよ」
台風の進路が悪そうだと話をしていた今週の前半、カフェでコーヒーを飲みながらマスターの話を聞いてハッとなった。
そうだ、そういうのある。そして自慢じゃないけど雨の中ずぶ濡れになってお店の入り口をくぐる、そういう客になりがち、わたし。
お店での時間を求める人を思ってマスターがお店を開けることをわたしは否定しない。
まあ仮に明日お店が開いたとして、娘が「おかあさん!いっしょにいて!!」ってな具合に泣き叫んで大変だろうからわたしはたぶん行けない。
ただ、「どうしても行きたい」と思うほどに心が暴風域に入ってしまった人がいないと良いな、と思う。
その結果がお客が来ないなら、それはそれで良いのだ。いや、ノーゲスは全然良くない、良くないけど。明日みたいな日は、それが良い。