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映画感想文「○月○日、区長になる女。」杉並区岸本聡子区長誕生物語。秀逸なドキュメンタリー映画

47万人の有権者がいる中で、187票差。

こんなに痺れることがあるだろうか。12年やってた現職区長を押し除けての僅差の勝利。神がかってるとしか思えぬ、杉並区長岸本聡子氏。2年前の出来事だ。

正直言って、ニュースで見た時、あまり印象はよくなかった。

海外で働いてたバリキャリで研究者。おまけに、スタイル良くて美人。なんだか鼻につく。それが庶民としてのチープな感想。

しかし、このドキュメンタリー映画を見て変わった。

ほぼすっぴんでの寝起き姿。街頭演説での黙っておけばいいのについつい口論(ディスカッションともいうが)、深夜に支援者と飲みながらの愚痴大会。

なんていうか、人間らしいのだ。

監督のペヤンヌマキ氏は杉並区在住の劇作家。ある日、20年住んできた家が区の取り決めで道路拡張で取り壊されると知り、区政に興味を持ったという。

その冒頭からなんだか他人事じゃない気がして引き込まれる。

その後、前述のさらけ出しの岸本氏の姿。

でもなんと言っても胸打たれたクライマックスは岸本区長誕生のその後の物語だ。彼女を見て支援者だった女性達が変わっていく姿。「私たちでも変えることができる」と自信となり、ひとり、またひとりと、次々と区議会議員に立候補。

さざなみのように、少しずつ広がっていく輪に熱いものが込み上げる。

1人の行動がみんなに勇気を与え変化を起こす。その真実に胸打たれた。作り手の思いが伝わる、秀逸なドキュメンタリー映画である。

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