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喫茶ポンパドールの朝
登場人物
桜沢佑(30) 元舞台女優
桂 継子(35) 喫茶ポンパドール店主
【喫茶ポンパドールの朝】
ナレーション
「ここは夢乃崎町にある喫茶ポンパドール。夜はスナックボンヂュールに変わるお店です。何も起こらない夢乃崎町。今日のポンパドールはいつもと少し違うようです」
ケイコ「はい!ユウちゃん今日からよろしくね!」
ユウ「は、、、はい。」
ユウ眠そうにうつらうつらしている
ケイコ「昨日飲みすぎたの?はい、ウコン。とりあえず朝の仕込み終わったら家で一眠りしても良いよ。でも昼頃にはランチタイムがやってくるから戻って来てね」
ユウ「え!?ランチもやってるんですか!?」
ケイコ「まぁ~実際には近くのおじいちゃんおばあちゃんのご飯支度みたいなもんだけど。そんなんでもケーキの販売と一緒にやるのはなかなか手間なのよぉ」
ユウ「そうなんですか、、、。」
ケイコ「とりあえず朝はさっぱりクリームのフルーツケーキと柑橘ゼリーそれに菜の花のキッシュ」
ユウ「菜の花、、、あ~キッシュって黄色いですもんね。お野菜入れたら黄色と緑で菜の花っぽいのか」
ケイコ「え?何言っているの菜の花普通に入れるよ」
ユウ「え?食べるんですか?食べられるんですか?」
ケイコ「そりゃそうよ」
ユウ「え?あの黄色いやつですよ?」
ケイコ「そうよ、黄色い可愛いやつ♪」
ユウ「えぇ、、、かわいそう」
ケイコ「えぇ~かわいそうって~お花が出る前の状態だよ」
ユウ「えぇ、、、より一層かわいそうじゃないですか?花をつける前にそんな」
ケイコ「そんなん言ったらラム肉もそうだし、タケノコも竹になる前のやつだし、むしろ卵も孵る前のやつだし」
ユウ「わぁ、どれもかわいそうな気がしてきた、、、」
ケイコ「まぁ命を頂くという事で言えばどれも同じだと、私は思うけどね。
ほい!なんでも経験!残りもんで悪いけど一口どうぞ」
ユウ「…。うぅん。」
ユウ悩みながら口に入れる
ユウ「もが!!美味しい!ほろ苦あまい美味しい!」
めっちゃ食うユウ
ケイコ「私が作ったからねぇ~」
ユウ「え?もうないんですか?」
ケイコ「えー?調子いいんだから。あとは作ってからね。ここ夢乃崎町は菜の花が特産なのよ。この時期はあちこちで美味しい菜の花メニューが食べられるから行ってごらん。と、いっても今日は働いてもらいますけどね!」
ユウ「そうでした!」
ケイコ「はい!それでは食材から用意しますよぉ~!小麦粉そこにあるから測ってぇ!」
ユウ「はいぃ!!」
ユウ小麦粉の入ったボウルに手をかける
勢い余ってボウルが跳ねる
厨房に美しく弧を描きながら宙に舞う小麦粉
ナレーション「喫茶ポンパドール、今日は開店なるか」
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