【桜と蝶々と風呂とかげろう 前編】
登場人物
ゲン…橘源三郎（37）風呂屋
キョウコ…笹本恭子（41）芸人
イツキ…笹本樹（1歳）恭子の息子
野々原 かげろう（57）…美容師
ナレーション「ここは夢乃崎町日の出湯、今日も何も起こらない夢乃崎町。ここいらでどうぞひとっ風呂。今日はどんな物語が起こるのか起こらないのか。」
ゲン「はぁい、いらっしゃあい！お！樹君今日も元気だねぇ！」
イツキ「てょ～！てょ～！」
ゲン「てよ～？」
キョウコ「あ～！今朝かっちゃんと散歩してて初めて蝶々見たらしいのよ！もう1日ずっと、てょ～！てょ～！」
ゲン「あらぁ、よかったねぇ！」
キョウコ「樹だけならわかるけど、かっちゃんがまたずっと蝶々とイツキの出会いの話をね涙ながらに語ってるわけ」
ゲン「そうなの！？」
キョウコ「うちのこ天才だ、絵の蝶々と本物の蝶が同じだってわかるんだとか言ってるけどテレビでも見てるっての」
ゲン「親ばか大爆発だねぇ、で、その肝心のかっちゃんは？」
キョウコ「昨日は一人でイツキみてたから寝れなかったらしくて、嬉しそうに泣きながら眠り込んじゃってる」
ゲン「そっかぁ。良いパパだね」
キョウコ「本当に。ありがたいよ。」
ゲン「うんうん。」
キョウコ「ところでゲンちゃんこの桜どうしたの？」
ゲン「え？あーこないだケーちゃんが持ってきてくれたのよぉ！」
キョウコ「あぁ、そうなんだぁ、、、ていうか、桜って短冊つけるもんだった？」
ゲン「枝がありゃなんか結んで置きゃ良いかなと思って」
キョウコ「乱暴だなぁ。みんなもいろんな事書いて貼ってるけどなんにも疑問持たないのね。」
イツキ「てょ？」
キョウコ「あぁ、蝶々描いたの？じゃあ結んでおこうか」
ゲン「あんたも結んでんじゃないのさ」
キョウコ「子供には勝てないわよ」
ゲン「あれ？かげろうさん？大丈夫？」
キョウコ「え？あぁ！美容室野々原のかげろうさんじゃない？最近見なかったけど元気？」
死んだ目をしたかげろうが入ってくる
桜の枝からはらりと落ちた花びらがかげろうの頬に降りる
ナレーション「何も起こらない夢乃崎町に現れた謎の女かげろう、一体どんなドラマが繰り広げられるのかられないのか。夢乃崎町の明日はどっちだ。」
後編はこちら
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