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『タカヤナギとヒライズミ』
老人男性二人が低いテーブルを挟んで差し向かっている
タカヤナギは新聞を読んでいる
ヒラ「なぁ、タカヤナギさん、僕ねぇ、一昨日から、クラプトンが聴きたくてねぇ」
タカ「あぁ?なにぃ?」
ヒラ「いや、ほら、あの曲だよー、人の奥さんに岡惚れする曲ー、れぇーいわぁー♫ってやつ」
タカ「、、、。」
ヒラ「ねぇ?タカヤナギさんったら!れぇーいわぁー♫新しい元号の令和にかけたんだよー!令和とレイラ!レイラと令和!あっはっはっは!ねぇ!」
タカヤナギ「、、、。」
新聞をめくっている
ヒラ「やだねぇ、お互い年取ると耳が遠くなるんだねぇ。はっはっは。さて、文旦切ったやつがあったから食べようかな。」
タカ「おう、悪いな頂こう文旦」
ヒラ「あぁ、聞こえなかったんじゃなくてどうでもよかった方の沈黙だったんだね。そうかそうか。」
タカ「新元号ねぇ、どうだい、なんか物珍しいかい」
ヒラ「まぁ、今更どうと言う事もないけど、めでたい感じはするんじゃないかい?」
タカ「めでたい事なのかい?」
ヒラ「今回はご崩御に伴う改元でもないし、めでたいんじゃないのかなぁ?」
タカ「めでたいわけでもないけど浮かれたいだけなんじゃないかねぇ」
ヒラ「タカヤナギさんは難しい事を言うねぇ」
タカ「みんな浮かれたいんじゃないかぁ?騒げそうな事があると群がるだろう。渋谷のハロウィンとかなぁ。今こそ阿波踊り!、、、と思うけどアレも揉めてんだってな。もう踊り念仏でも始めて渋谷からずっとお練りでもやってりゃ良いんじゃないかい」
ヒラ「いやぁ、タカヤナギさん、そりゃ、あながち真理かもしれないねぇ。災害も続いたし、僕達の世代から考えても供養したい御霊はたくさんある事だよ。」
タカ「、、、。」
文旦を頬張っている
ヒラ「あれ?今のもどうでもよかったかねぇ?」
タカ「あ?なんか言った?」
ヒラ「あぁ、ふつうに聞こえてない方のやつね。そうかそうか。」
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