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花ケラトプス

シナリオスクールの時の課題作品です

恐竜が日常生活の中にいる世界線のお話でトリケラトプスが被差別階級の人々が食用として育てており主人公はそこの出身という設定

主人公の八重樫奈々子は婚約者が上流階級の人で、両親は早くに亡くしたという嘘をつき出自も隠してまでこの縁談と状況にしがみついていた

そんなある日、奈々子は彼の母親に友人達とのランチに呼ばれる。いわば奈々子の品評会。山場だ。

しかし、そんな時に一本の電話が…

登場人物

八重樫奈々子(24)秘書
八重樫奈々子(7)小学生
八重樫静(58)奈々子の義母
藤野ももか(7)小学生
外野美智子(58)主婦
高山綾子(58)主婦
多々良たみ(58)奈々子の母
女性客

〇カフェキルフェボン・外観
   真新しい白い木調のコテージ風カフェ。タキシード姿のドアマンが付いている。
   
〇同・中庭
 緑のあるオープンカフェで50代くらいの品の良い婦人3人が食事中。そこに一人だけ若い女性がいる。八重樫奈々子(24)テーブルの上を大きな
影が通り過ぎる。

美智子「あら、プテラノドンが飛んでるわ」

 外野美智子(58)空を見上げる。

N「ここは表参道。お洒落な街。一点、恐竜がいる事を除いては」

奈々子「プテラノドン日和…。じゃあ、食後はアッサムティーですね。ボーイさん。」

 奈々子ボーイを呼び留め注文する。高山綾子(58)が静に話しかける。

綾子「あら、若いのにしっかりされてる!」

 八重樫静香(58)が、悠々と足を組み替え奈々子の肩を抱く

静「そうなの。自慢のお嫁さんってや~つ」

美智子「気が早いわね静さん。えっと、奈々子さんは、清廉女子大だったかしら?」

奈々子「え?えぇ…」

綾子「それならお家柄も確かだわ。智君も意外にやるわね」

 綾子、静の脇をつつく。静、嬉しそうに微笑む。ボーイがプレートを運んでくる。

ボーイ「トリケラトプスのソテーでございます」

ボーイ、プレートを美智子の前に置く。

美智子「え…トリ…?」

 美智子、ハンカチで鼻を押さえて怪訝そうな顔をする。奈々子緊張の面持ち。

静「そう思うでしょ~?まぁ騙されたと思って食べてみて!」

  美智子、こわごわソテーを口に入れる。

美智子「やだ…美味しい!」

 ホッとした顔をする奈々子。奈々子の携帯が鳴る。奈々子、慌てるが画面を見るだけで出ようとしない。

美智子「トリケラトプスなんて臭くて食べられないかと思ってたけど」

 携帯の呼び出し音がなっている。

静「奈々子さん、いいわよ?出ても」

奈々子「え、あ、はい、じゃあ失礼します」

 奈々子、いそいそと席を外す。

綾子「ちょっと前まではこんなところに上がる食材じゃなかったのにね。進歩だわ」

 綾子、肩をすくめて首を振る。

美智子「昔は、そういう人達が育てて召し上がってたんでしょ?」

綾子「そうそう、近くを通るとトリケラ臭いって聞いたわ」

 三人笑う

〇同・化粧室前
 白い扉の前をボーイが往来している。奈々子周りを伺うように化粧室へ。

〇同・化粧室内
 ヨーロッパ調の個室内。スマホを観る奈々子。画面には「たみ」の文字。電話に出る奈々子。

奈々子「母さん!用があればこっちからかけるって言ってるでしょ?」

 スマホから多々良たみ(58)の声。

たみ「奈々子!大変なんだよ!」

奈々子「こんな大切な時に電話かけてくるなんて非常識よ!切るからね!」

 電話を切り、背中を扉にもたれてため息をつく奈々子。携帯の音がまた鳴る。

奈々子「もう!」

 奈々子、スマホを電源から切る。

奈々子「…ごめん、母ちゃん」

 奈々子スマホを抱きしめる。

〇同・中庭
 静・美智子・綾子食事をしている。

綾子「え?ご両親を?」

静「そう、ご苦労されたのよ」

美智子「おかわいそうに」

 奈々子、戻ってくる。

奈々子「失礼しました。友人からでした」

 奈々子が席に着くなり、美智子が奈々子の手をとる。

美智子「大丈夫よ。これからは、静さんを本当のお母様と思ってお過ごしなさいませ」

 綾子も奈々子の手を取る。

綾子「そうよ、智徳さんとお三人でしっかり前を向いて、ね」

 奈々子一瞬固まっていたが、微笑んで

奈々子「はい、がんばります」

 綾子、握っていた奈々子の手を見つめる。綾子の小指にはピンクの小さな指輪。桜の絵柄。

綾子「桜?ガラスかしら可愛いわね」

奈々子「あ…母の形見で」

 奈々子、サッと隠すように手を重ねる。

美智子「これからは、静さんがもっと良い物をご用意くださるわ」

静「やだ美智子さん、そんな事を言っては失礼でしょ?でも欲しい物がある時はいつでも言ってね?」

奈々子「えぇ、ありがとうございます」

 奈々子手の中でそっと指輪を外してハンカチの中にしまう。ボーイがやって来て静にそっと耳打ちをする。

静「え?避難?」

 静、立ち上がる。残る三人も椅子を立とうとする。

〇渋谷スクランブル交差点
 街頭ビジョンにニュースが写される。

キャスター「今日午前10時30分。埼玉のトリケラトプス農場から一頭のトリケラトプスが逃亡しました。」

 大勢のざわめく人々。

〇地下鉄車内
 車内にはざわめく人々。サイネージには、埼玉から大型トリケラトプス逃走の文字。

〇ヨドハシ電気新橋店・TV売り場
 沢山のTVからニュースが流れている。

キャスター「トリケラトプスは出荷されずに巨大化してしまった個体でピンク色」

ざわめく人々。

〇カフェキルフェボン・外観
店からどんどん人が出ていく。奈々子達も同様に出ていく。奈々子の後ろか
ら女性客が現れる。

女性客「桜柄なんですって」

 奈々子ハッとして立ち止まる。ゆっくり振り返り、勢いよく女性客につかみかかる。

奈々子「あなた!今なんて!」

女性客「いや、だから桜柄って」

奈々子「だから何が!」

 女性客を揺さぶる奈々子。

女性「逃げたトリケラが桜柄って!」

 奈々子の頬を涙が伝う、奈々子、指輪のついていた小指をもう片方の手で握りしめる。

〇(回想)多々良家・農場
 だだっぴろい草原に牛ほどの体長の茶色のトリケラトプスが何頭か草を食んでいる。周囲より小柄のトリケラトプスがいる。ピンク色で桜柄。八重樫奈々子(7)その前に走り出る。

奈々子「これ!花ちゃんとお揃い!」

 奈々子中指に桜柄の指輪。花と呼ばれたトリケラトプス。スッと奈々子の前に顔を降ろす。鼻筋に桜の大きな柄。

奈々子「花ちゃん。大好き。ずっと一緒だよ」

 花の鼻筋に頬を寄せる奈々子。遠くから、たみの声がする。

たみ(声)「奈々子ぉ~花を小屋に連れてって」

奈々子「はぁい母ちゃん!行こう花ちゃん!」

 花、奈々子に甘えるように寄り添ってついていく。

〇カフェキルフェボン・外観
 奈々子・静・美智子・綾子が店外に出てきている。奈々子、小指を握りしめて泣いている。

静「ちょっと!奈々子さん!どうしたの!」

 静、奈々子の肩をゆする。

奈々子「ごめんね」

静「え?何が?」

ハンカチから指輪を取り出し小指に着ける奈々子

奈々子「ごめんなさい」

 背後で人々の悲鳴と何かがなぎ倒される音。トリケラトプスの鳴き声。

奈々子「私、行かなくちゃ」

 奈々子うしろ向きで数歩歩く。振りむいてダッシュする。

〇明治神宮前参道入り口
 高さ4m全長9mの花が道の中央で呻き身を屈めて身体を揺らしてる。藤野ももか(7)が花の前でキョトンと花を見つめてる。奈々子走り込んでくる。

奈々子「花ちゃん!」

 花の周囲に戦車が集まる。大砲が向けられていく。奈々子、とっさにももかを抱えて花の頭に乗る。奈々子、ももかを抱きかかえたまま花の頭の上で仁王立ちで叫ぶ。

奈々子「さがって!!」

 奈々子周囲を睨みつける。

奈々子「花に何かあったら…この子の命の保証もないわ」

奈々子、髪につけていた簪をももかの首にあてがう。

つづく(いずれ…多分…)

一体どうやって映像化するつもりだったのか小一時間問い詰めた方が良い内容ですが、課題だからこそ自由な設定をというのもまた良いものでした

なにか突飛な設定を一つ作ってみたいというのと「差別」的な干渉がドラマを作る物だよなと古臭い概念を引っ張り出しました

貧しい素朴な暮らしの中で身を寄せ合って暮らす花と奈々子の心の交流をREX的に描きたかったのかと思います(REX観てないけど)もしくはナウシカの蟲との交流とか何かそのような

何がどうという事は今でもよくわかりませんが

ともかく「桜柄のピンクのトリケラトプス」は気に入っています

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うのの さあら
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