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【焼肉安寿園】(食肉について表記あります閲覧注意)
登場人物
川辺海斗(21歳)大学生
岡崎萌乃 (21際)焼肉安寿園バイトリーダー
桜沢佑 (30歳)元舞台俳優 喫茶ポンパドール勤務
桂継子 (35歳) 喫茶ポンパドール店長
N「ここは何も起こらない町夢乃崎町唯一の焼き肉店安寿園。
今日はどんなお肉が焼かれているのでしょうか」
自動ドアの開閉の音
同時に入店を知らせる安っぽい電子音(ぺけぺけぺん)
カワベ「いらっしゃいませぇ~!」
ケイコ「ユウちゃん、今日はどんどん頼んでどんどん飲んじゃってぇ~!!!」
ユウ「ありがとうございます!!」
ケイコ「おぉ!カワベ君今日出勤だったんだねぇ!」
カワベ「こちらは?」
ケイコ「そっかカワベ君は初か、こちら桜沢佑ちゃん。こないだからうちの店で働いてもらっているの」
カワベ「わ!大変でしょ、ポンパドール。いっそがしいし、ジジババは口うるさいし」
ケイコ「こら!なんてこと言うんだ!本当だけど。あ、カワベ君ね、ちょっとだけ手伝ってもらってたことあるのよ!」
ユウ「あぁ、そうなんですか!先輩なんですね!」
ケイコ「ずいぶん若くて頼りない先輩だけどねぇ。とりあえず生二つとお勧めセットで!良い?」
ユウ「はい!それと上カルビ!」
ケイコ「えぇええ!やるわねぇ!いいよ、二人前持ってきて」
オカザキ「はい生ビールお待たせしました~」
ケイコ「じゃ、乾杯しよ!」
ユウ「はい!」
ケイコ「ユウちゃんの健康と今後の活躍と、ポンパドールの繁盛を祈念致しまして!」
オカザキ「これ以上繁盛するの!?すごいなぁ」
ユウ・ケイコ「かんぱぁい!!」
ジョッキが当たる音
ユウ「はいお肉お待たせしました~」
焼肉の焼ける音
ユウ「え?ここ自分で焼かないんですか?」
ケイコ「そうなのよ、店長の方針で店員が焼くの。下手に手出すと怒られるわよ。素人が手出すなくらいの勢いよ。」
カワベ「変な事言わないで下さいよ~。お客様に快適に美味しくお肉を食べてほしいだけですよ」
ユウ「そうなんですかぁ」
カワベ「それにお肉もこだわってますよぉ~!特選セットの鶏肉は野外で育てている鶏です!!例えばこのお勧めセットに入っているブロイラーとかは実は身動きもできないような狭いケージの中に入れて無理やり餌を与えて食べさせるんですよ。だから美味しくもないし倫理的でもない。」
ユウ「う、、、。」
ケイコ「また始まった、、、。」
カワベ「僕ですね、農業系の大学通ってるんで研修で牧畜農家とかも行くんですよ。」
ユウ「ちょっとアレですね。食べにくい、、、ですね。」
ケイコ「萌乃ちゃん~!バイトリーダー!これどうにかしてぇ!」
オカノ「カワベくぅん!!」
カワベ「わわわ!やめて!ローキックだけ勘弁して!」
バシンと蹴る音
カワベ「いったぁいい!僕はお肉についてみんなに知ってほしいだけなんだぁああ!」
N「蹴られたカワベの目じりから痛みのあまり飛び出した涙が弧を描いて焼肉の鉄板の上に落ちて湯気を作る」
ジュウと言う音
N「ユウちゃんはお肉を美味しく食べられるのか、カワベ君のお肉への熱い思いは届くのか。何も起こらない夢乃崎町の明日はどっちだ。」
#小説 #散文 #フィクション #脚本 #下町 #夢乃崎町 #シナリオ #お肉美味い
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