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あたおか散文

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流れ落ちるままに生み落とした「あたおか」な散文たち
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2023年1月の記事一覧

凍える懺悔

オルゴール

ギリリと響くネジの音

そんな事で満足出来るならそれでいいんじゃない?

人魚が泳ぐ水深で

流す涙は泡となり

虹さえ作り哀れをよんだ

けれども音さえ届かない

この深海でただ一人

凍えて色も失って

這いずり回る獣の事は

見返り柳も知りゃしない

蓋し忘却の砦
#あたおか散文

鼻で笑われ

目で蔑まれ

耳には届かぬこの想い

あぁお願いです

それ以上

何も言ってはくださらないで

いくら醜い私でも

あんまり哀れに過ぎますものよ

月も見限る夜なれば

せめても闇に紛れましょう
#あたおか散文

うらしまたまこ

所詮

よせてはかえす波の戯言

真実なんてありゃしない

嘘と誠の間にねじ込んだ

なまぬるく滑らかな感触を

ただ盗み取り味わって

とどのつまりはどこへも行かず

こうして惚けているのです

柔らかな髪がすり抜けた指の間に

どんなに時間が過ぎようと

こうして惚けて待ち侘びる
#あたおか散文

消私

本はいい、私がどんな人間であろうと等しくその深い胸を開き抱きとめてくれる

猫はいい、私がどんな人間であろうと等しくその柔らかな肢体によって安堵という意味を教えてくれる

食事はいい、私がどんな人間であろうと等しく栄養を与え味わう楽しみを教えてくれる

あぁ、愛しき世界
#あたおか散文

赤いそら豆

消された存在の咆哮を聞いた

音なき咆哮を聞いた

眼差しから溢れる

諦めと

嘲笑と

絶望と

渇望と

憎悪と

慈しみと

受容を

私は聞いた

風に舞う蜘蛛の糸のように

消えゆく微笑みを

私は聞いた

正義に殺された断末魔を

私は、聞いた
#あたおか散文

鳴らないメトロノーム

どちらつかずにしておけば

そこはかとなく微笑めば

何かは勝手に選ばれる

そうして失った何かは

私のせいじゃない

都合の悪い世界のせいだと 

そう言って仕舞えばいい

それが礼節という物だ

行儀よく

ドレスを揺らしていればいい

知らぬ存ぜぬ欲しがらぬ

沈黙だけがお友達
#あたおか散文