シェア
うのの さあら
2021年8月27日 23:30
あなたの全てあなたの目は私だけを見てあなたの耳は私だけを聴いてあなたの言葉は私だけに紡がれあなたの手は私だけに触れあなたの足は私だけに向けて歩み尖った鼻は私だけを香り滑らかな舌は私だけを味わう息が詰まるほどに煮詰めた時間の結晶を銀の器で飲み干す #あたおか散文
ちーこちゃんがおぼえたたったひとつのことばおはようちーこちゃんおはようリズムやスピードをかえてなんどもくりかえすおはようおやすみといたわりのないまちでちーこちゃんはきょうもくりかえすおはよう #あたおか散文
私を分解分解破壊溶解させるといつか粒になると誰かが言った光の粒音の粒時間の粒描けないほどの点芽を出さない花の種痛みが隠れるほどの針の先忘れて良いよ思い出してくれれば思い出せなくて良いよまた点から始めよう何もなくても 大丈夫 #あたおか散文
寝ずの番ならジンを3杯自分を監視して閉じ込める我思うゆえに我あり我を想い続けて片想い那由多の時を泳いでは辿り着けない愛の島はぁ安っぽい口説き文句土の味を知らないつま先に口付けて闇に溶ける酔い覚まし目覚めてはまたぐるりと揺れる胡蝶の夢 #あたおか散文
ええ、そうなのですからいえ、そうではないのですから海と山の間にあるそう其の事で男と女の間にあるあの事で全てのためにあり何もないそのことを断じて口にしてはならずそしてまた論じなければならないのです人の姿をした牛の牛の姿をした人の話 #あたおか散文
私あなたに出会えてよかった世界の忌避と嫌悪を一手に抱えて素敵な花束になりました侮蔑と憎悪を一手に抱えて素敵なシャンパンになりました嫉妬と復讐を一手に抱えて素敵なディナーになりました私あなたに出会えてよかったこんな夜を求めていた傷口を分け合える夜を #あたおか散文
3年目ですよ何が影を見失ってからそうか、存外あっという間ですねええ、悠久の時を経たように風見鶏が時を作ったのを思い出します思い出すほどの昔赤面するほどの今乗り換えあってた?目医者が言うならそうでしょう空腹の砦に囚われて出会えないまま遡る未来 #あたおか散文
2021年8月20日 23:30
ならずものの神聖な祈り聖者の刃どちらが私を救ってくれますか掬って濾して残ったのは誰ブナ林の静寂と歓楽街の嬌声とどちらがあなたを救ってくれますか掬って飲んだら透き通る身体私とあなたの座標東に何歩、西に何歩で会えますかリフレインする螺旋階段 #あたおか散文
高尚な哲学を蛮衆に払い下げ愚民を愚弄するな有り難がって拭きあげろその舌から溢れる物が流れを忘れて滞って凍る次の春まで思い起こされもしない茶色く錆びたコーラの缶あってもなくても変わらない風が吹いたら崩れて目病みを起こすさようなら5文字の欠落 #あたおか散文
磯の香り枕元の水さしに泳ぐ深海魚母ちゃんの煮た甘い里芋擦り切れた着物の端泣いてばかりで大きくならない妹の足足の小指がなくなる頃には鎮守の森も歌で賑わう神様が連れてきた小童小首を傾げて宙返り曇天の春もまた巡る #あたおか散文
糸まきまき、糸まきまき緑の糸を手繰って食ってしたり顔で滴った血の祝福をかっくらう軟体動物を油であげて下手な言い訳をギンガムチェックに浸すねぇ、起きて、今日は雨だよ良い雨が降ってて悪い太陽がいない下世話な仕事を片付けよう神様がウインクしてるうちに #あたおか散文
剃刀の歯の裏表自己憐憫を夕陽に託すさようならば声もかすんで伽羅の香りくるり反転緑が赤に黄色が鳥に寝ずの番人モザイクになる破れたアクリル絵の具どろりと滴って世界を潰す拾いあげたのは産声むっちりと甘く重いミルクを含んで高台の耳鳴り飛行機雲 #あたおか散文
それはホログラムそれはAIそれはbotそれは架空の産物この世のものではない 定型分の世界の安堵大丈夫この線から先は幻想の世界大丈夫 何もないなら失ってない誰も傷つかないそれが全てなら指先のダンスが生むただの夢 #あたおか散文
2021年8月20日 22:30
乱雑にばら撒かれた血痕の一つ一つに花束を愛づ、愛づ見えない傷にラブコメディー鎖骨の桜桃あぁ、なんてくだらない寝不足のサーモンパスタ青空に脱ぎ散らかした制服のポケットから砕けたビスケット君と分けるはずだった想いはカビて啜り泣く #あたおか散文