好きなことと上気道感染
ちょっと激し目なトレーニングを初めてもうすぐ1年になる。
大学生のときにテレビで見たAYAさんの衝撃が凄まじく、以来ずっとやりたかったもののなかなかできていなかったトレーニングを、ようやく社会人生活が落ち着いたころに始めることができた。
元々体育会系の部活だったこともあり、運動好きなことは間違いないが、それでもこれまでやってきたランニングやジム通いは、どこかで「健康のため」という意識が少なからず働いていた。
ところが、今や健康のためではなく「好きだから」という理由でずっとトレーニングを続けている。側から見たら、頑張っている子(子?)のように見えているかもしれないくらい、のめり込んでいる。健康のためでも、努力ができない自分が嫌だから頑張っているわけでもない。ただただ楽しくてやっている。そうしているうちに生活に溶け込んだものとなった。
今まで何をやっても、「好き」という気持ちよりも「努力しなきゃ」という気持ちが勝ることが多く、少しできないと嫌になって挫折することが多かった自分にとっては、初めて「好き」が見つかった気がして、ちょっとハッピーである。
気づけば毎食タンパク質が15〜20g摂れているかを頭の中で自動計算し、17時になったら補食としてプロテインバーを食べ、プロテインは定期購入。大体頭の中は今日のトレーニングをどうやって攻めるかを考えるようになった。冷静に考えると、キモい。
それでもこれが私の人生の楽しみなのだから、こんなことをしている自分に悲しんだりはしない。悲しんだら、自分を否定することになるからだ。ここまでは、我ながら、良い話。
いつものごとく、トレーニングを終えると、ものすごいくしゃみをしたくなった。もうくしゃみ出ますよ、くらいのところまで来てるのに、出てこない。ただただムズムズしている。寒くなってきたから汗が冷えただけ、と思いたかったが、これはマジで風邪だぜ?という確信。寒さで鼻水が出ることは毎年のことだが、こんなに私風邪引くような子だったけ?アラサーで免疫が色々落ちているのか?いろんな考えが巡ったが、そういやこの前トレーニング行った後も、同じようなムズムズに襲われた気がした。
とにかく、鼻水が辛く、デカい音量でくしゃみをしすぎて喉も痛くなってきたので、翌日近くのドラッグストアに行った。その時である。ふと頭の中に「アスリートと上気道感染」というキーワードが浮かんできた。これは、大学の時の研究室で、博士課程の超優秀な先輩が研究していたテーマである。当時の私は、上気道感染の意味も分からず(調べようともせず)、何の研究や、と思っていた。そして、5年以上経って、やっと今、その意味を理解したのである。
「私、上気道感染なう。」
そう、私は強度強めのトレーニングをこの3ヶ月間、ほぼ休みなしでやり続けていたのだ。アスリートは、高強度なトレーニングを長時間にわたってすることが多い。しかし、これらは返って免疫力の低下につながるため、アスリートと上気道感染症というのは切り離せない問題なのである。
私は決してアスリートではないし、普通に仕事をするサラリーマンであるが、心拍数が200近くになるまで攻めることも多々あるトレーニングを、休みなしで続けていたからだろう。気温の変化と相まって、免疫力が低下していたことは間違いない。
「大好きなトレーニングを毎日しているので、上気道感染症になりがちです。」
そんなことを言っている自分を想像してみたら、ちょっと悲しくなった。
いやいや、こんな思いがけないことで自己否定すな、と言わんばかりに、次はビタミン系サプリメントを飲もうかとネットを漁る。
好きなものに費やす時間は尽きない。