頭が痛い、何もかも、痛い
お酒を飲みすぎた次の日特有のだるさで目覚めて、頭痛と気持ち悪さと一緒に昨夜の醜態を思い出して死にたくなった。
どうせなら全て忘れてしまいたかったのに
私の頭はそこまで都合よくできていなかったみたいだ。
事の発端は数ヶ月前だと思う
「お盆の連休は俺一人で帰省するから、ヒサナも自分の実家帰りな」
この一言、私に気を使って1人で帰省する事を決めた彼の優しさなのにどうしても素直に喜べなかった。嫁と一緒だと思うように友達と遊べないから置いていくんだ、そんな事を思っていた。
今考えてみれば、これがこの一連の痛い騒動の始まりだったんだと思う。
この時にちゃんと話し合えばよかったのに、それをしなかったおかげで最悪な形で感情を爆発させたのである。
連休の始まりと共に各自実家へと帰った彼と私。
彼は約一年ぶりの帰省をすごく楽しんでいた。その様子は写真やメッセージで私の元に届く。そこにいるのは私の知らない彼。そんな彼の姿を見るとなんだか無性に不安になった。その不安がイライラに変わっているのも分かっていた。最高にめんどくさい女だと思う。
もう一度言う、最高にめんどくさい女だと思う。
そんな、不安とイライラに押しつぶされる生活3日目の夜ついにやらかすのである。
この気持ちは何だろう?どこかで聞いたことある言葉で自問自答を繰り返した結果、この気持ちの正体は寂しさなんだと気付いた。私の知らない彼が知らないところで知らない人達と楽しんでいるそれを見るのがしんどかったのだ。
自覚してしまった途端、それが重りのようにのしかかり眠れなくなった。
相変わらず彼から楽しそうに友達と遊んでいる写真やメッセージが届いていて、私のメンタルは音を立てて崩れる。
いつもならできる冷静な判断ができなくなっている私は、ちょこっとだけお酒を飲めばスっと寝れるのでは?と考えた。これが全ての間違いで全ての始まり。
元々お腹の弱い私は彼にお酒を飲むことを止められていたのもあって、私の知らない彼を見続けたことで嫉妬が反抗心に変わりお酒を飲み始めたのだ。
飲み始めると止まらない。
普段お酒を飲まない私は早々に酔って気持ちよくなっていた。
そこでやめればよかったのに気持ち良さからもう一本開け飲んでいたら、彼からLINEが届く。
その瞬間、酔った気持ち良さが全て寂しさに切り替わり、涙が止まらなくなった。
そしてその勢いのまま彼に電話をかける私。
優しい彼は友達と遊んでいる最中なのに、電話に出てくれて 号泣してる私に驚いていた。
そこからの私はめんどくさい女フルコース
「私も一緒に行けばよかった」
「どうして一緒に帰ってくれなかったの?」
「もう私のとこには帰ってきてくれないの?」
「こっちに帰るの嫌になった?ずっと地元にいたい?」
「かわいい女の子も一緒にいるの?私はもういらなくなっちゃうの?」
べろべろに酔った号泣嫁からの怒涛の質問攻めに彼は一つ一つ丁寧に対応してくれた。
後ろでは楽しそうな私の知らない友人の声が聞こえてきて、それが私の寂しさと虚しさを倍増させもう一本開けた。
ただの酔っぱらいの私は何度も何度も同じような事を聞き、その度にしっかり答えてくれる彼。
「もう帰るから、また後で電話するよ」そう言って繋がりが切れた後も涙は止まらずスマホを握りしめて電話を待った。
数分後、帰りの車から電話をくれた彼にまたも同じような事を聞き続けた酔っぱらいに怒ることも呆れることもなくなだめ続けてくれる彼。そんな彼の隣には迎えに呼ばれた義母が乗っていて、この醜態を全て聞いていたらしい。恥ずかしすぎる。酔って号泣した息子の嫁なんて見たくもないだろうに。そして小声で「好きって言ってあげな、愛してるよって」と彼に言っているのも聞こえていた。何から何まで本当にすみません。
その後、彼が家に着いてからも私が落ち着くまで付き合ってくれて泣き疲れとアルコールと安心感のおかげで寝る事に成功する。
翌朝、お酒を飲みすぎた次の日特有のだるさで目が覚め、ひどい頭痛と気持ち悪さを感じながら私がやらかした事を全て思い出して恥ずかしすぎて死にたくなった。
泣きすぎと飲みすぎでパンパンに腫れ、浮腫んだ自分の顔に絶望するのである。
そしてもう何度誓ったか覚えていないけど
「もう二度と酒は飲まない」