【有識者による専門家講義】上智大学特任教授・GEN Japanマネージングディレクター西口尚宏氏
こんにちは！SAAnote編集部です。
本企画では、SAAの講座で実施される「専門家講義」の内容をご紹介していきます。
SAAの魅力の一つが、豊富な経験と知識を持つ専門家による多角的なテーマを題材にした専門家講義です。
約6カ月の講座内で計14回実施される専門家講義は、投資家、上場企業経営者、マーケティングや人事戦略、生成AIや広報などの分野で活躍されている、まさに超一流と言われる講師陣の皆さんにより実施されます。
今回は、上智大学特任教授・Global Entrepreneurship Network（GEN）Japanマネージングディレクター西口尚宏氏による講義の内容を少しだけお届けします！
西口さんは、日本長期信用銀行、世界銀行グループ、産業革新機構などでキャリアを積まれた後、2013年にワシントンDCに本部のあるGlobal Entrepreneurship Network(GEN)の日本代表に就任。ISO56000シリーズの起草と国際交渉に約10年間、直接関わってきた唯一の日本人です。
■講義テーマ
イノベーション推進力を劇的にあげる
イノベーション・マネジメントシステム（IMS）～世界規格ISO56000シリーズを踏まえて～
■アジェンダ
・Global Startup Ecosystem Reportから見える東京のスタートアップエコシステムの強みと課題
・IMD競争力ランキングから見える日本企業の課題
・課題解決策としてのISO56000シリーズの活用
＜参考＞
イノベーション経営の国際規格 価値創造へ自社を客観評価 西口尚宏・上智大学特任教授 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
Global Startup Ecosystem Reportから見える東京のスタートアップエコシステムの強みと課題
世界290以上の都市における350万社のスタートアップの分析に基づく世界のスタートアップエコシステムに関わる調査レポートである「Global Startup Ecosystem Report」（StarupGenomeとGENの共同発行）によると、2020年に15位だった東京は今回10位にランクインし、地位を急速に向上させました。しかし、過去からの経緯を見ると、順位が上がったり下がったりして、西口さんいわく、その実力はまだ安定してない状態と言えるとのことでした。
IMD競争力ランキングから見える日本企業の課題
スイスのビジネススクールであるIMDが発表した世界競争力ランキングにおいて、日本は3年連続の過去最低を更新し、38位という結果になっています。
本ランキングは、各国政府や世界銀行などの統計データと、企業経営者などへのアンケート調査をもとに、「経済パフォーマンス」「政府の効率性」「ビジネスの効率性」「インフラ」の4項目で算出したものです。西口さんいわく、このランキングで注目すべきは、日本のビジネスの競争力は世界的に見ると低いという点だそうです。とりわけ、「ビジネスの効率性」のうち「経営手法」は67の国・地域においてワースト2位という結果です。
では、この「経営手法」が何に基づいて評価されているかというと、組織の対応力（俊敏さなど）とアントレプレナーシップの強さだと言います。ここで言うアントレプレナーシップとは、一般的には起業家精神と訳されますが、西口さんいわく「挑戦者魂」が本当の意味に近いそうです。そして、この挑戦者魂が企業の管理職層に広く浸透しているかが大事なのだそうです。
課題解決策としてのISO56000シリーズの活用
ISO規格を「ルール」だと思っている人も多いかと思いますが、西口さんによると、ISOは新しい常識と呼べるものだそうです。日本はイノベーションを起こすのが苦手と言われますが、既存組織でイノベーションを起こすことはどの国にとっても難しく、日本だけが苦労しているわけではないと、西口さんは言います。
2010年頃、スタンフォード大学や北欧を震源地としてイノベーション発想の手法が全世界で急速に広まったようですが、そこで出てきた問題が、既存の組織でその手法を取り入れるとうまくいかないということだったそうです。そのような背景から、既存の組織でイノベーションを起こすための規格が必要という考えのもと、産業市場初の国際規格「ISO56002」が発行されたそうです。
その他、講義では、西口さんから受講生への問いかけを織り交ぜながら、イノベーションの定義、イノベーション経営の原理原則、イノベーション活動の本質、イノベーション・マネジメントシステムなどについて説明がありました。
講義中、西口さんが電球や蓄音機を発明したことで知られる、アメリカの発明家トーマス・エジソンの名言こそがイノベーションの本質と力強く語られていたのが、とても印象的でした。
「私は今までに一度も失敗をしたことがない。電球が光らないという発見を今まで二万回しただけだ。」
「あなたが普段行っている方法よりも、もっとよい方法がかならず存在している。」
「それを見つけなさい。世界が必要としているものを見つけ出し、それを発明するのだ。」
トーマス・エジソン
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