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『弥生、三月-君を愛した30年-』

『弥生、三月-君を愛した30年-』/サンシャイン劇場


▶︎ 今回観て、映画を見たからこそ背景を理解してる部分もあったんだけど(省略してる部分がちょこちょこあった)、表現というか、解釈面においては後で映画を見たほうがよかったなぁと思った。映画をミュージカルにするってこんなに難しいんだなとも思える。どんな内容なのかを知るために見る分には先に映画を見ちゃったほうが、ミュージカルは圧倒的に面白いんだけど、映画のほうをちゃんと見ちゃったから解釈ってものが生まれちゃってて、私なりの解釈との違いがちょこちょこあったの。特に音楽。どれも素敵な音楽たちだったけど、このシーンにたいしての私の解釈と音楽の曲調とか表現が違うなっていう部分がいくつかあったりした印象を受けたな。
例えば病室のシーン。あのシーン、映画だと「がんばれ、負けるな」ばっかり言う弥生に、「どう頑張ればいいっていうの」とかって怒りをぶつけるんだけど、この、サクラのどこにもぶつけられない怒りがあるのとないのとで全然違うものになるなって思った。あのサクラの怒りって結構大事だと個人的には思ってて、生きるって綺麗ばかりじゃないことがよくわかる。

旦那さんを亡くした弥生を探しに東京中の本屋さんを巡るサンタ。映画ではたまたまお互いが入った本屋の、本棚の隙間で目があって再会するんだけど、これこそが運命の2人なんだって感じられるシーンになってて。弥生はその後走って逃げるんだけど、この逃げる行為も結構大切だと思ってて。この時の弥生には、生きる希望がない死んだ目に近いものを感じていたから、サンタと再会してその思い出から逃げようとする弥生だけど、同時にサンタと再会して人間味を取り戻すんだよね。だから大事だと感じた。でもこの、目とか空気感とかって、風景も色もすべて見れる映画だからこそ生み出せたものなんだろうと思う。あれを舞台で生み出すのは本当に難しいと思うんだよ。だからこそ、この作品に関しては、ミュージカルを観た人には映画も見てほしい。あの波瑠ちゃんの表情/顔は忘れられなくなる。

あと、弥生がサクラのメッセージテープを聞くシーン。弥生はサクラの声を聞きながら泣くんだよね。罪悪感の中で聞く、サクラの真っ直ぐな声に号泣する。
弥生が再生したカセットテープのサクラ。「あー、声が掠れてる、ほんと腹立つなこの病気。」「弥生、サンタ、お久しぶり、サクラだよ〜」のセリフと、あの歌のシーン自体が私なりの解釈と違いがなくてうれしかった。

舞台ってそれが悲しさとか涙っていうものでまとめられてるように感じたのが、解釈の差異なんだと思う。

弥生の結婚式のシーンの音楽が結構激しめで、あの激しさにも差異を感じたんだけど、現代的なストーリーで、“ミュージカル!”っていう雰囲気の曲調で、よく戦いに行く前のフツフツ湧き上がる怒りの感情を歌い上げるような曲だったから、それもビックリしたな。弥生とサンタの掛け合い部分とか、めちゃそれの曲調だった。最後の「ダスティーンホフマーンになれなかったよぉ」とかね。

あと、♪シャラップのやつ、芽実ちゃんの歌声と声量を本作で最大限に発揮できる曲だからこそ絶対に必要なんだけど、あそこで音楽に頼らなくても良かったんじゃないかなとも思った。『弥生、三月 君を愛した30年』という物語を通して伝えたい事はあそこじゃないのかもしれないけど、セリフだけで1シーン流しちゃったほうが納得できたというか軽くならないんじゃないかなという感じがした。それで言うと、震災のシーンも同じことを思ったな。

▶︎全体的に音楽がドラマリティというか、ミュージカルによくある代表曲!とか主役級の楽曲!とかそういうんじゃなくて、映像のバックで流れてる曲、サントラよね、それの雰囲気を感じたんだけど、テレビドラマよりも規模の大きいものを感じだから、これが映画をミュージカルにしたってことなのかな?とも思った。

▶︎ラストの「弥生、三月 なごり雪」。桜の花びらが上から降り注いでて、その中をサンタと弥生の2人が隣に立って、桜の樹に向かって並んで歩き始める。そして、2人の肩を寄せ合って立つ後ろ姿が見える。ミュージカルとしての「弥生、三月」と曲が1番腑に落ちた楽曲だった。

▶︎始まってメインテーマの直後の「この道に立ち〜」の曲で、ピアノの出だしがキーンコーンカーンコーンの音階だったんだけど、あれだけで誰もが学生を思い出せるわけで、観客のそれぞれの学生時代を思い起こさせて、タイムスリップさせて、役たちと同じになれるのがすごいよかった

▶︎「お前はいい女だよ…」が、愛しさとか愛とかそういうもんじゃなくて、それを有に超えたものを感じた。

▶︎サクラのお墓参りした時にサンタが「お互い夢は諦めてないと思う。たぶん。」って言うんだけど、その“たぶん”は会えてない弥生のことなのか、それとも自分自身のことなのか。

▶︎弥生とサンタが一夜を共にするシーン。映画よりもだいぶ長く濃く描いてたんだけど、あのシーンと音楽が絶妙にマッチしてて素敵な時間だった。とてもきれいな音なんだけど悲しさと儚さがあって、その後少しだけ嬉しさとか温かさとか、温もりみたいなのが出てくる。そこには激しさとかいうものはなくて、それは、あの2人が過ごしてきた時間と現実が物語ってるんだろうなって思った。途中のサンタの「弥生…」って呼びかける声が、1番泣けるところだったな。 

▶︎病室で弥生とサクラが歌ってるワルツ、「奇跡よおーこーれー!」のとこがめっちゃかわいくて、楽しそうな声とか学生感がすごくあって聞いてて楽しかったなぁ!!!言ってることもめっちゃ女子なんだよね、いつの時代もそこは変わらないんだなって思った。

▶︎岡田奈々 さん
岡田奈々ちゃんの「が」の発音好きだったな〜!鼻濁音できる人の歌好きなのかも

▶︎田村芽実 さん
めいみちゃんの「人生という名の〜」の部分大好き。
サンタと弥生が最後に歌う曲、やっぱり林くんと芽実ちゃんの声の相性良いよなぁと思わせる曲で、最高だった!!これからも林くん×芽実ちゃんのタッグのミュージカルが見たいです😊

▶︎林くん
41歳になった弥生とサンタが一夜を共にして明けた朝、帰ろうとする弥生を「行かないでくれ」って引き止めようとするんだけど、その時に弥生の腕を掴もうとして掴めなかった動き。サクラのカセットテープを聞いたか?のシーンで、「なんなら今なら(結婚を)するか?」「だめなんだよ!俺だけで聞いちゃだめなんだ、冗談なんかじゃないんだよ」のセリフ。これらを見聞きして、林くん、本当にお芝居上手くなったねって思った。

病室でそれぞれの想いを歌にしてるシーンで、サクラがソロで歌ってる時の端っこの弥生とサンタ改め、めいみちゃんと林くん、ずっとイチャイチャしてるの、かわいいかった、こっち向いてほしくて色紙で顔にパタパタ風おくるサンタが林くんすぎてかわいかった、ずっとイチャイチャしててくれ。
弥生に平手打ちされたサンタが反射で片脚上がって「何すんだよっ!!」って言うんだけど、それとか、学生服でスクバ背負ってちょっと猫背で腕組ながら歩くのとか、成田凌味感じて、林くん映画見たんだなぁって思った。
サンタの「弥生」って呼びかける声がいつも優しくてキュンてしたのと、「お前はいい女だよ…」が、愛しさとか愛とかそういうもんじゃなくて、それを有に超えたものを感じた
サクラのお墓参りした時にサンタが「お互い夢は諦めてないと思う。たぶん。」って言うんだけど、その“たぶん”は会えてない弥生のことなのか、それとも自分自身のことなのか。

▶︎ラストの「弥生、三月 なごり雪」。桜の花びらが上から降り注いでて、その中をサンタと弥生の2人が隣に立って、桜の樹に向かって並んで歩き始める。そして、2人の肩を寄せ合って立つ後ろ姿が見える。ミュージカルとしての「弥生、三月」と曲が1番腑に落ちた楽曲だった。

あの怒涛の人生の、30年という月日を演じることのすごさ。4人ともそれぞれが精神的につらくなる役を演じてらして、本当に最後まで無事に走り抜けてほしいと思った。

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