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100年企業が挑む!サステナブル経営の最前線老舗総合商社 原田産業の挑戦
◆はじめに
皆様、こんにちは。サステナ経営の指南役 一般社団法人さいたまサステナブル経営研究所 サステナ領域シニアコンサルタントの青木祥世です。
今回のコラムは、100年以上の歴史を持つ老舗総合商社、原田産業が力を入れて実践しているサステナビリティ経営の中身について全3回に渡ってご紹介したいと思います。
これからサステナブル経営に真剣に取り組んで行こう!!またはやらなくてはいかないのはわかっているけど他社の事例が知りたい!!と思っている中堅・中小企業の皆さんにとってよい事例となるのではないか?と考えご紹介することとしました。
中堅・中小企業が全社的にサステナブル・アクションを実行するのは容易ではありません。しかし、原田産業は、全員参加型での取り組みを推進し、様々な成果を上げています。
この記事では、原田産業の具体的な取り組み、そして今後の展望についてご紹介します。
◆原田産業とは?
• 1923年創業の老舗総合商社
• 本社: 大阪市中央区南船場
• 事業内容
造船・海洋、建設・インフラ、エレクトロニクスなど、幅広い分野で
事業を展開
• 特徴
100年以上の歴史を持つ老舗企業
幅広い産業分野への事業展開
グローバルなネットワーク
社会貢献活動への積極的な取り組み
社員約200名
◆なぜサステナビリティ経営なのか?
原田産業がサステナビリティ経営に力を入れる理由は、同社が100年を超える歴史の中で、戦争や災害など幾つもの苦難に遭いながらも、そうした非常時の社会状況や需要に寄り添いながらビジネスを展開してきた経緯が大きいという。もともと原田産業は関東大震災後の復興特需に合わせ、ガラス輸入を通して社会の復旧とともに成長してきた会社であり、生産能力を自社で持たない分、商社は社会課題の解決こそをビジネスにするべきで、同社のビジネスによって社会全体の環境意識変革を目指しているからです。また、中堅・中小企業が率先して取り組むことで、他の企業や個人も巻き込み、より大きな変化を生み出せると考えているからです。
◆全員が参加するサステナビリティ推進
サステナブル経営推進の課題の1つとして経営層と従業員との温度差からくる全社レベルでの取り組みに発展していかないという点があります。しかし、原田産業では、中堅・中小企業の規模感を活かして、全社員に対する方針の伝達とコミュニケーションを密に取ること、そして全社員に年間のアクションプランと2030年の目標を設定してもらうことを行い、全社をあげてサステナビリティに取り組んでいく体制を作っています。中堅・中小企業のスケールメリットである経営者(幹部層含む)と従業員の距離が近いという利点を活かして、クイックな全社伝達と定期的なコミュニケーションを実施することで大企業ではなかなか難しい全社をあげた取り組みという課題を克服して成果をあげています。
◆今後の展望
原田産業は、今後もサステナビリティ経営を加速させていくと発表しています。今後継続的にまたは新たに取り組んでいくと発表されている内容は以下となります。
1. CFP(カーボンフットプリント)の算定と製品開発への活用
原田産業は、自社製品の環境負荷を数値化するCFP算定を徹底的に行っています。社員が海外の工場まで足を運び、原材料の調達から製造、輸送、使用、廃棄までの全段階におけるCO2排出量を詳細に算出。その結果を基に、各製品の環境負荷の大きさを特設サイトで公開しています。
例えば、クリーンテクノロジーチームが扱う半導体製造用の手袋では、1枚あたりのCO2排出量を78.2グラムと算定。この数値に基づき、より環境負荷の低い素材への切り替えや、製造プロセス全体の効率化など、具体的な改善策を検討しています。
※カーボンフットプリント:商品やサービスが作られてから廃棄されるまでの間、つまりその製品のライフサイクル全体で排出される温室効果ガスの量を、二酸化炭素(CO2)に換算して表示するものです。
2. サステナブル素材の導入と製品開発
CFPの算定結果を踏まえ、原田産業はサステナブル素材の導入に積極的に取り組んでいます。例えば、機能性アパレルチームでは、特定条件下で生分解する特殊なポリエステルを使った製品の開発を進めています。また、セーフティープロテクションチームでは、労働者の安全確保と環境負荷軽減を両立する製品の開発に力を入れています。
これらの取り組みは、製品の環境性能向上だけでなく、顧客企業の環境目標達成にも貢献し、サプライチェーン全体のサステナビリティ向上に繋がっています。
※生分解:微生物(主にバクテリアや菌類)が、有機物をより単純な物質に分解する自然なプロセスです。まるで自然界の小さなリサイクル工場のような働きをしています。
3. リサイクル活動の推進と循環型社会の実現
原田産業は、使用済みの作業服を回収し、リサイクルするなど、循環型社会の実現に向けた取り組みも積極的に行っています。将来的には、サステナブルシリーズのブランドにおいて、完全循環型システムの構築を目指しています。
4. 全員参加型の仕組みづくり
原田産業では、サステナビリティに関する研修会や勉強会を定期的に開催し、社員一人ひとりがサステナビリティに対する意識を高めるための取り組みを行っています。また、SDGs目標達成に向けた新規開発や活動には、特別な予算を設け、社員のアイデアを積極的に取り入れる仕組みも整えています。
5. スタートアップとの連携
原田産業は、スタートアップ企業との共創プログラム「HARADA ACCELERATOR PROGRAM」を通じて、新たなサステナブルビジネスの創出にも取り組んでいます。
◆まとめ
原田産業は、CFP(カーボンフットプリント)算定、サステナブル素材の導入、リサイクル活動など、多岐にわたる取り組みを通じて、サステナビリティ経営を推進しています。これらの取り組みは、単なる環境への配慮にとどまらず、企業の成長戦略にも繋がっています。
原田産業の事例は、中小企業でもサステナビリティ経営を実現できることを示しています。ぜひ、貴社も原田産業の取り組みを参考に、サステナブルな社会の実現に向けて一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
※参考記事
原田産業HP
注意書き:このコラムの内容は、上記URLの記事および原田産業HPを私が個人的に読み、私自身が理解した内容を発信しています。
上記記事に記載されている内容および企業の取り組みを保証するものではありません。
◆次回予告
第2回は、その中でも特に注目すべき取り組みである「カーボンフットプリント(CFP)算定」について深掘りしていきます。どうぞお楽しみに!!
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