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純喫茶リリー

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「純喫茶リリーへようこそ。 懐かしくてちょっとビターな日常を綴ります
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#泥棒

11. ジジからの赤い一輪車 /純喫茶リリー

「今日はりっちゃんに、ええもん持ってきたでぇ」 ある朝、リリーにやってきた萩原のジジは、透明のビニール袋に覆われたピカピカの赤い一輪車を抱えていた。 「ええ?一輪車!すごいすごいっ!こんなのもらっていいの?」 律子は目を輝かせ、大喜びした。 この頃、一輪車を持っている子なんてほとんどいなかったのだ。 するとジジは、 「ええやろぉ。今朝、スーパーの裏に散歩に行ったら、落ちとったから拾ってきてやったでぇ。りっちゃん喜ぶと思ってよぉ」 と満足気に言った。 え? 落ちてた

9. 狙いは早朝 /純喫茶リリー

「お祭りがあった次の朝は、よーけ お金が落ちとるでよー  りっちゃんも拾いに行ったらええにぃ。」 萩原のジジは、毎朝5時に起きて、近所の大型スーパーへ散歩に出かけていた。開店前のスーパーに?毎朝?不思議に思った律子が尋ねると、ジジは得意げに答えた。 「お金が落ちてないか、探しに行っとるんや。 7時に行ってはもう遅い。誰かに先に拾われてしまう。6時には行っとかないかん!早起きはサンモンノトクって本当だに。」 「そんなに簡単にお金が儲かるなんてすごい!拾いに行きたい!」と、