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〈読書記録〉「一流の育て方」ムーギー・キム/ミセス・パンプキン

何年か前に職場の上司がおすすめしていて買っていた本です。一度読んだのですが、内容を忘れてしまったので再度読んでみようと思います。
ちなみに、ミセス・パンプキンさんはムーギー・キムさんの母親で親子の共著だそう。

https://a.r10.to/hg0OTj


本の概要

本書は200人を超える、東大・京大・早慶を中心とした学生の中でも、学生時代に突出したリーダーシップを発揮してさまざまなグローバル企業に進んだ学生に、両親の家庭教育を振り返って感謝している点・直してほしかった点を自由に記述してもらったアンケートに基づいている。アンケートの自由回答を7大方針55箇条にまとめ、多くの優秀な人々がその親に感謝する「優れた教育方針の最大公約数」を紹介する。
「偏差値エリート」ではなく「主体的に幸福な人生を切り開ける子ども」を育てるための方法を論じている。

ムーギー・キムによる本書の概説 リーダーシップを育む7大方針55箇条 より

育児には多くの成功例に当てはまるパターンはあっても、全てに当てはまる絶対的な答えはありません。読者の皆様には、本書の幅広い「育児成功パターン」から、お子さんの個性にあった教育方針を、個別に選択していただければ幸いです。
私の子どもは決して天才でも秀才でもなく、上の娘2人は別として、息子2人は全く勉強する気配のない、テコでも机に向かわないわんぱくな男の子でした。
その「放っておいたら絶対にアカン子」を「普通の関西のおばさん」がそれなりの大人に育てた経験からは、皆さんと同じ目線で、身近なお話ができるかと思います。

はじめに 子どもは親のどんな教育方針に感謝している?(ミセス・パンプキン)

ミセス・パンプキン氏の4人の子どもは、長女がカナダの大学の教員、次女がロンドン勤務の公認会計士、長男が海外の金融機関勤務(ムーギー・キム氏)、次男がニューヨーク州弁護士になられたそう。
(みんなグローバルですごい・・・)

また、本の目次自体が要約になるように作られていて、思い出しやすい「親の教科書」をコンセプトとしているとのことなので、まず目次を載せておきます。

一流の育て方 目次(7大方針55箇条)

第1章 「主体性」を最大限に伸ばす 
 自分を知り、自分で決められる力を育てる

1▶自由を与え、自分を探させる
  自分で決断させて、自己認識を深める
2▶子どもに目標を設定させよう
  「嫌なゴール」に向かって頑張る子はいない
3▶進路に関し、子どもの意思を尊重せよ
  重要な決定は子どもに下させる
4▶自主性は尊重しても、アドバイスは十分与える
  「任せるだけ」では育たない
5▶選択肢を示し、最終選択は子どもに任せよ
  選択の連続で判断力が養われる
6▶過保護に育てない
  過保護と育児放棄のあいだのバランス
7▶個性を尊重する
  「人と違っていてもいい」と教えよう
8▶「人に迷惑をかけるな」より「役に立て」
  過度な慎重さより、志が大切
9▶「小さいこと」から自信をつけさせる
  小さな自信が「伸びしろ」をつくる

第2章 「視野」を広げ、天職に導く
 選択肢を増やし、得意分野に進ませる

1▶視野を広げ、知的好奇心を刺激する
  子どもが自分で視野を広げるのは難しい
2▶読書で知見を広め、学習習慣を身につけさせる
  読書はすべての学力の基礎になる
3▶「好きな本」で読書を習慣化させる
  押しつけるから読まなくなる
4▶世界に視野を広げる
  多様性教育の重要性
5▶「自分から興味を持ったこと」を応援する
  好きな気持ちがやる気を伸ばす
6▶才能の種を見つけて「原石」を磨く
  宝石も磨かなければただの石になる

第3章 やり抜く力「グリット」を育む
 真剣に挑戦させ、簡単にはやめさせない

1▶モチベーションを上げる秘訣は「挑戦させる」こと
  挑戦が子どもを大きく成長させる
2▶子どもの応援団になる
  子どもの挑戦をサポートせよ
3▶子どもに期待を伝える
  ただし、重圧にならないバランス感覚が重要
4▶「本気」を確かめて投資する
  湯水のような教育費は、無駄か逆効果
5▶真剣にならなければ叱る
  「一生懸命にやる習慣」をつける
6▶途中で簡単にやめさせない
  中途半端に投げ出す癖をつけない
7▶「失敗を乗り越える強さ」を身につけさせる
  失敗から教訓を学ぶ習慣をつける

第4章 一流の「コミュニケーション能力」を磨く
 人から信頼されるために必要なコミュニケーション能力の本質

1▶「社交の場」に参加させる
  「場慣れ」が子どもを社交上手にする
2▶「書く習慣」を身につけさせる
  書くことが好きな子どもに育てるコツ
3▶外国語教育は、幼少期から慣れさせる
  幼児期に英語を学べなかった後悔は大きい
4▶小さいころから「何でも話せる相手」になる
  子どもの悩みや希望を知っているか?
5▶子どもと積極的に議論せよ
  「親の会話レベル」が子どもに受け継がれる
6▶親の「価値観」を押しつけない
  対立する意見・価値観・視点から学ばせる
7▶感情的にならず、理由をしっかりと伝えて叱る
  怒るのではなく、気づかせる
8▶感謝することの大切さを教える
  家族でも必ず「ありがとう」と言い合う
9▶相手の立場に立って考える癖をつけさせる
  弱者の痛みがわからなければ信頼されない
10▶動物を通じて思いやりの心を育む
  ペットの飼育からこれだけのことが学べる

第5章 これで自分から「勉強」するようになる
 放任や強制より、「動機づけ」が大切

1▶勉強を強制しない
  無理やり勉強させると、自分から勉強しなくなる
2▶幼少期に「学習習慣」を贈る
  幼少期の学習習慣は人生を通じて継続する
3▶楽しく思考力を伸ばす
  「なぜ」と問いかけよ
4▶勉強の「メリット」を教える
  子どもは社会に出た後の「勉強のありがたさ」を知らない
5▶教育環境で子どもは決まる
  朱にまじわれば、赤くなる
6▶勉強での「競争意識」を育む
  子どもの「勝ちたい」気持ちを引き出す
7▶「報酬」を与えて勉強させてもいい?
  目先のメリットにしか反応しない子どももいる
8▶結果重視VSプロセス重視
  結果もプロセスも大切に
9▶とりあえず大学には進学させるべきか?
  進学すべき人と、そうでない人の違い
10▶勉強至上主義で育てない
  勉強ができても偉くはない

第6章 「勉強以外の勉強」をさせる
 テスト勉強より、「しつけ」こそが一生の財産に

1▶自制心と他者への配慮をしつける
  他人の子はしつけができていてこそかわいい
2▶まっとうな金銭感覚を身につけさせる
  おカネを管理できなければ、いくら稼げても身を滅ぼす
3▶教養と感受性を身につけさせる
  家庭で芸術に触れる機会を増やす
4▶「役割分担」でしつけをする
  子どもが尊敬できる親であるためには?
5▶親の会話が、子どもの人間性をかたちづくる
  その「一言」が子どもの足を引っ張ることになる
6▶子どもは親の真似をする
  「言っていること」と「やっていること」が一致しているか?

第7章 「無償の愛情」を感じさせる
 最も大切な親の仕事

1▶プラス思考で、明るくおおらかに育てる
  母親の笑顔は、太陽の輝きに勝る
2▶父母間での「けなし合い」は絶対にダメ
  両親の不仲がトラウマに
3▶他の子どもと比べない
  他人と比較せず、個性に応じて育てる
4▶「正しいほめ方」で伸ばす
  子どもの努力を促すほめ方が大切
5▶子どもの非行には執念で向き合う
  親が本気を出さなければ子どもは変わらない
6▶信頼で子どもを包む
  一方通行ではなく、双方向の信頼関係が大切
7▶無償の愛を注ぐ
  親の最も重要な任務

ここからは、印象に残った部分を抜粋しながら、思ったことを書いていきます。

周りに流される人になるな

クラスのみんなが言っているから、先生が言っているから、テレビの人が言っているから、という「みんなが言っているから自分もそちらに与する」という思考特性が着く前に、「皆が間違っていることも大いにある」ことを子どもに教えたいものです。「自分の考えは何か」「自分は何をすべきか」を自分で決める習慣こそ、主体性の根本だからです。

P69 「みんな」が間違っていることもある

日本人特有の?同調圧力が強い社会で生きていると、周りに流されることに違和感を感じていなさそうな人が多いなと思うことがあります。
何をするにしても「周りがそうだから」というのは理由にならないし、思考停止している人の考え方だと思います。自分の意見が言えない人にはなってほしくない、意見が言えないというのは何も考えていないのと同じだと思うから。
自分の意見を持って、自分の人生をしっかりと舵取りできる人になれるように、子どもに教えたいと思いました。
自己主張をしすぎて、協調性がなくなってしまうのはもちろん問題だけれど、そこのバランス感覚を身につける以前の「自分がない」人が多い気がしています。

「みんながそうだから」という理由で選んだ答えが間違っていても、「みんな」は責任をとってくれない。

あくまでも、周りの意見は参考程度で、自分は周りの意見と同じなのか違うのか、しっかり考えるというスタンスが大事だよなと思いました。

「視野」を広げ、天職に導く

第2章は視野を広げて色々な世界、価値観を見せて、子どもが興味を持ったことを応援し伸ばす。というような章でした。

私自身を振り返りたくなりました。
私は今の仕事はやりがいもあるし、職場の人にも恵まれています。もちろん日々のちょっとしたストレスもありますが、総じて良い職場で今後もここで働きたいと思っています。
では天職なのか、というと確信がないなという感覚もあります。

趣味もあまりありません。フルートを吹いたりギターを弾いたり前はしていましたが、今はしなくなりました。フルートもたまに吹きたいなと思うけれど、吹ける場所に行くのがめんどくさいなとか、吹いたところでお金になるわけでもないし、とか思ってしまう。結婚式で披露するために練習していたのが最後。

休日で時間ができても、やりたいことがこれといってないことも多くて、今は妊娠中なので育児のことを考えたり準備したりしてそれなりに楽しくは過ごしていますが、子育てを抜きにした私の趣味とか興味ってどこにあるんだろうと思ってしまいます。老後の生き甲斐がなくなってしまわないかが心配です。

もしかしたら、もっと視野を広げた先に何か見つかるのかもしれない、私自身の視野ももっと広げたいなと感じました。
まずはやっぱり読書かな、図書館に行ってみよう。

やり抜く力「グリット」を育む

第三章はグリットの話。諦めずにチャレンジし続ければ、目標を達成できるというもの。
一方で、適性のないものを続けても仕方がないという趣旨のことも書いてありました。

個人的に、これまで大学受験や社会人なってすぐに挫折をして方向転換をした経験があります。グリットとは真逆のことです。
2回とも、精神的に辛くなるまで頑張ってどうしようもなくなった状態だったので、それでも諦めず続けるというのはしなくてよかったとも思います。
そして両方に共通するのが動機が弱かったということ。

大学受験も、就職も、その年齢になったらその時点で何を目指すかを決めないといけないから、その時点で真剣に考えた結果ひとまずここを目指してみようと設定した目標に向かっていきました。
大学受験の時は、理系だったので一旦一番難しい医学部を目指していましたが、本当に医者になりたかったわけではないので現役で受かった一番偏差値の高い大学に行きました。
社会人になった時は、総合職で就職し営業職に就きましたが、どれだけ頑張っても手応えがなくて、途中で独学でITエンジニアへと転向しました。

この章を読んでみて、医学部を諦めることを伝えたときに高校の教師に言われた「筋を通すべき」って言葉を思い出しました。きっと、グリットのないやつだって思われていたことでしょう。

私の経験から思うのは、グリットはもちろん大事だけれど、その大前提になる達成したいものに対してどれだけ本気か、そもそも本気になれるほど達成したいものを見つけられるか、もそれ以上に大事だなと思いました。

一つ前の章の話しとも通じますが、私の視野がまだ狭いからか、本気になれるテーマがまだ見つかっていないような気がしています。

自分の子どもには、やりたいことが見つけられるようにいろんな刺激や経験を与えてあげたいけれど、一方でやりたいことが見つからなくてもそれで良いんだよ、とも伝えていきたいと思いました。
人生の節目節目で、仮置きの目標に向かって一生懸命になれるならそれで良いじゃない、と思います。

一流の「コミュニケーション能力」を磨く

コミュニケーション能力とは、単に話がうまかったり面白かったりすることではなく、「相手の気持ちを理解する力」「反対する意見をうまくまとめる力」「価値観を押し付けない柔軟性」「相手に感謝する習慣」「社会的弱者に共感する力」など。

P212 意見、価値観、考え方、事実認識の違いを超えて信頼関係を構築する力

感謝をすることの大切さが書いてありました。
私の夫はいつも寝る前に「今日もありがとう、大好きだよ」と言ってくれます。ご飯を作った時も必ずありがとうを言ってくれるし、日々の些細なことでもよく気がついてくれ感謝を伝えてくれます。
そんな夫がいる家なので、子どもも感謝を伝えられる子になってくれるかなと思いました。

誰かが何かをしてくれた時に感謝するのはもちろんだけれど、今日という1日を事故や怪我なく過ごすことができるのは、運が良かったからだよね、と夫婦で時々話します。交通事故のニュースなどを見るたびに、そう感じます。
何か特別なことがなくても、平和に過ごせていることに感謝ができるって幸せなことだなと思うので、そういう意味でも感謝をできる人でいたいし、子どもにもそうなってほしいなと思いました。

これで自分から「勉強」するようになる

長男が中学生になったある日、自分でも苦笑しながら
「ボク、小学生の頃はほんまに、勉強はお母さんのためにやらされていると、ずっと思っていたわ。お母さんが、近所の人や親戚に自慢したいからボクに勉強させていると思っていた」と言うのです。
大人にとっては当たり前でも、子どもには伝えないとわからないことがあるものですが、この告白には反省させられました。

P242 勉強する納得感を高めよ

子どもがこう思っているパターンがあるのだ、と思いました。
私自身は、小学校低学年の頃から比較的勉強は好きで自分から塾に行きたいと言ったりもしていたし、なんで勉強したほうが良いのかは考えるまでもないと言う感覚でした。勉強したらテストでいい点数取れて楽しいし、勉強できたほうが色々よさそうだし、と言うような感覚。
おそらく子どもの頃に親が学習習慣をつけてくれたから、と言うのもあると思います。

でも、そうじゃなかったり、遊ぶのか好きな子は「どうして勉強したほうが良いのか」がわからない子もいるというのを忘れないでいようと思いました。
勉強が全てだとは思わないけれど、勉強をしておいたほうが人生の選択肢も広がるし、関わる人も思慮分別のある素敵な人たちが多くなると思うので、勉強しておくといいことが多いなと思っています。

テスト勉強より、「しつけ」こそが一生の財産に

「しつけ」をする上で最大の障害が、「親による溺愛」です。
幼い子どものかわいさに親の愛が盲目になり、しつけを後回しにしてしまうのです。
自分の子どもはしつけがなっていなくてもかわいいものですが、他人の目から見れば、しつけができていて初めてかわいかったり魅力的に見えるものだということを忘れてはなりません。

P281 他人への接し方、礼儀、自制心が人間性を決める

私には歳の離れたいとこがいます。勉強は頑張っているようで、中学受験で志望校の中高一貫校に合格したと聞きました。
でも彼のこととして覚えているのは親戚が集まる食事会があった時に、当時小学校5年生の彼が手で唐揚げを掴み食べていたことです。彼の母親である叔母は、唐揚げ美味しい?と聞きながら汚れた手をおしぼりで拭いてあげていました。
これこそまさに「親による溺愛」。

離乳食を手で食べる子どもがいるのはわかるけれど、流石に幼稚園や小学校に入った段階で手で食べるのはみっともないことだと教えてあげないと可哀想だと思いました。

自分も子ども可愛さあまりに子どもに甘くなってしまわないように、気をつけようと思いました。

子どもの努力を促すほめ方が大切

子どもはほめて育てようと、ともかく大げさに子どもをほめている親をよく見かけますが、むやみやたらにほめすぎると、実力の伴わないナルシストを育てることになると指摘する人もいます。ただ何でもほめていればいいというのは、私から見ても手抜き育児に思えます。

P325 「正しいほめ方」で伸ばす

「あなたは頭がいいわね」と褒めると、成績が良い時は、自分は才能があるからだと思い、成績が悪くなると、自分には才能がないからだと思うらしい。一方で、「よく頑張ったね」とと褒めると、成績が良い時は自分が頑張ったから、成績が悪くなると努力が足りなかったからだ、と思うそう。
努力をするという行動の部分をほめてあげることで、努力をもっとしようと言うモチベーションが湧いてくるらしい。

ほめ方は親の腕の見せ所、とは本当にそうだと思う。

もし子どもがテストで赤点をとって帰ってきたら、どうするのがベストなんだろうとふと思いました。
きっと、そんな時は本人にこれじゃまずいという気持ちがあるだろうから、
そこを自覚させて、叱るでも下手に褒めるでもなく、次の頑張りに繋げられるように促せたら良いのかな、とそんなことを思いました。

読み終わって

目次を見た時にこの本はかなりのボリュームがあると感じましたが、
実際は一節一節はまとまりがよく全体を読むのにそこまで時間はかかりませんでした。

最初にも書いてあるように、「優れた教育方針の最大公約数」と言うだけあって、どこかで聞いたことのある話が多かった気がします。
もし育児の大方針を見失いそうになった時に、またこの本を開いてみたら基本に立ち返ることができそうな、そんな本でした。


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