たとえ全てを忘れても

時は2050年…
21世紀も半世紀を迎えた。
科学技術は2000年以降飛躍的に進歩を続けた。
そして今では、労働のほとんどはアンドロイドが担うようになった。

AI産業が進み、アンドロイドが普及した。人々は"生きがい"としての労働以外を行わなくなった。
AIが管理をするアンドロイドたちは進化を遂げ、様々な職に対応できるようになったが完璧とは言い難かった。
強い感情、欲望など処理内容の多い思考はメモリがどれほどあっても足らず、オーバーヒートを起こしフリーズしてしまう。
ショートしたり、回路が焼き切れてしまうモノも現れてしまった為、製造者達はアンドロイドたちに自動初期化機能を搭載した。
人間たちが日々の記憶を少しずつ忘れていくように、日常生活に支障をきたす感情や記憶を消去し安定した日々が送るものとして。
また、初期化回数が100に上るものは老朽化やメインコアに欠陥が生じていると判断され、廃棄(寿命)を迎えるものとなった。

これは、人間に恋をしてしまったが故に早期に廃棄を迎えてしまったアンドロイドの話である。

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長編作品の前置きのようなものです。マガジンにまとめて連載していきたいと思ってます。お時間あるときに読んでいただければ嬉しいです。