iriさんの曲には、あの世界に住みたくなるような心地良さがある。
もう人生の折り返し地点はとっくに過ぎていて、好みも今さら変えようがない。
たまに若い方々に対して、憧れのようなものを持つ時がある。でもそれは、私が若い頃に戻りたいとかそういうものではなくて
私の知らないものを、私が感じることのできていない感性で観ている時の
私では手の届かない場所にある寂しさとか、そういうのも入っているのかも知れない。
私がiriさんを知ったのは、YouTubeで曲をザッピングしている時で、たまに聴いていたラジオから流れていたあの曲と同じだと知る。
iri - 「Watashi」
Nike Womanのキャンペーンソングにもなった「Watashi」
たぶんその時の日本のアーティストの誰にも似ていないグルーブ感と衝撃。
稀有な才能に、凡人代表として打ちのめされまくるのは嫌いじゃない。
力んでいないけども強さに溢れている曲。ラップもカッコ良い。
彼女の曲は、どんなカテゴリーに入るのかわからない。
「日本」という枠にもおさまっていないのかも知れない。
高音を得意とするアーティストがたくさんいらっしゃる中で
低音の揺らぎとか、よどみなども自身の持ち味として出しているような気がする。それがiriさんの魅力だと思う。
iri - 「Shade」
MVに出てくる全てがエモい
戻ってこない「あの日」とどうしようもない「今」と
かけがえのない瞬間が音と映像によって閉じ込められている
iriさんの歌声で、本来なら寄り付けない影や汚さを持ったものまで素敵な思い出に変わってしまうような気がしてくる。
それだけ、あの世界観が私にとって心地よいものなのかも。
iri 「渦」
ただただカッコ良い。特に3:48~の、雨の降る中一筋の光をバックに歌うiriさんはとにかくカッコ良い
ロマンティックな夢をみた この先が未開の高峰 よたった一人の 僕よ いこう いこう いこう -「渦」の歌詞より-
「与太る」goo辞書によると
口から出まかせを言ったり、不良じみた行動を取ること
散々傷ついたり、弱ったり戸惑ったりしているのに与太って
「いこう」と奮い立たせる。しかも誰かが一緒に行こうと言っているわけじゃない。自分に言い聞かせている。
ここにiriさんの曲と歌詞の持つ強さを感じる。
慰められたり、励まされているわけではないのに立ち上げる力をもらえる。
新曲リリースと同時にアーティストが自分の思いを発する場が存在していて、そこに簡単にアクセスできるという世の中は幸せだなと思う。
1つ1つの曲の中に、映画のような濃密な世界が広がっていて
その世界に没入してしまう怖さもある。でも没入してしまうのは心地良い。iriさんの曲の世界の住人になる事には、ちょっと憧れる。>あんな世界で永遠に暮らしていたい
できないのはわかっていながらも。
最後まで読んで頂き、ありがとうございます(^^)