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WHY DO YOU HAVE TATTOOS?

デンマークに来る前、東京でルームシェアしていたのがタトゥーデザイナーのoppner だった。彼女はアメリカ・ポートランドのタトゥー文化に影響を受けて、『タトゥーとは、体が変わろうと人生を共存できる最高の励ましであって永遠のジュエリーである』という新しい価値観を持って仕事をしている。そんな彼女と一緒にいたこともあって、私もタトゥーカルチャーには興味があった。日本ではまだまだネガティブなイメージが大きいタトゥー。犯罪を犯した人がタトゥーを持っていたらそれが必要以上にフォーカスされたり、議員に立候補した人がタトゥーを持っていたら「こんな人が議員になっていいのか?」という論調でわざわざ記事になっていたり。もちろん日本におけるタトゥーの歴史は海外のそれとは違って独特だということもあるけど、今となってはただの偏見でしかないんじゃないか?表現のひとつとしてもう少し見方が変わってもいいんじゃないか?と、モヤモヤとした思いを抱えていた。

フォルケホイスコーレにはタトゥーを入れているクラスメイトが何人もいたのだけど、私は彼女たちのあまりの素敵さに衝撃を受けた。彼女たちはタトゥーを隠すことなく堂々としているのはもちろん、むしろタトゥーが彼女たちの個性を際立たせているように感じた。
そこで今回、日本とはタトゥーの捉え方や文化背景が違う彼女たちにインタビューをして、「タトゥーって一体何なんだろう?」ということを改めて考えてみることにした。

▼ Emily Amanda Hyldahl

ータトゥーはいくつ持ってるの?
全部で13個。1つだけ意味がないけど、残りは全部意味が込められてるの。

ー初めてタトゥーを入れたのはいつ?
18歳の頃。(※デンマークでは法律で18歳以下がタトゥーを入れるのを禁止している)この手のひらのマークのタトゥーで、同じマークを親友と一緒に入れたの。いつまでも手を取り合って、助け合っていこうって意味が込められてる。

ーこのセミコロンのタトゥーはどういう意味?

今から4年くらい前に、セミコロンのタトゥーを入れるムーブメントがあっったの。これは自殺願望やうつ病などの精神疾患で苦しんでいる人たちが、セミコロンのタトゥーを入れることで思い悩んだ人生に区切りをつけて再出発を計ろう、という意味が込められてる。私は両親が医者っていうこともあって、そういう人たちの気持ちに寄り添ってサポートする意思があることを示したくてママと一緒に入れたの。

ーお母さんも!家族と仲が良いんだね。
私にとって家族はとても大切な存在。だからパパ、ママ、兄弟それぞれを表すタトゥーも入れてる。

ーこの"nothing is static"のタトゥーが気になるんだけど、どういう意図で入れたの?

これは私が好きな『Fight Club』っていう小説の中に書いてあった言葉で、「変わらないものなんてない」っいていう意味。反対側の腕に"Yes, I'm changing"というタトゥーがあるんだけど、これは"nothing is static"と対になっていて、「変わらないものなんてないから、私は変わり続ける」という決意を込めて入れたの。

ー素敵だね。変わり続けることって、時に勇気がいるよね。
そうね。時々怖い時がある。でもそんな時にこのタトゥーがあれば、ブレない自分でいられると思ってる。

ー"GRL PWR"は"GIRLS POWER"の略?

そう。私はフェミニストだから、それを表すためよ。女性の力を信じてるの。

ータトゥーって、Emilyにとってどんなもの?
身体を使って、自分を表現するためのアートワークのようなものかな。あとは自分自身が常にgood mindでいることを保つためのもの。

ー今日話を聞いてEmilyが持っているがすごく素敵だなと思ったんだけど、Emilyが人生で大切にしているものは何?
love,passion,compassion 。私は家族や友達からたくさん愛を受け取ってるから、それを人に与えられる存在でありたい。

▼Sofie Nissen Knudsen

ータトゥーは何個入れてるの?
3つ。18才、20才、24才の時にそれぞれ入れたの。

ーそれぞれどんな意味が込められているの?
1つ目はお姉ちゃんと同じタトゥーを一緒に入れたの。永遠につながっていられますようにっていう意味が込められてる。

2つ目は、私が好きなデンマーク人のアーティストがいるんだけど、彼が私に絵を描いてくれたの。それが気に入ったから、その絵をそのままタトゥーにしてもらったんだ。

3つ目は....特に意味はない。でも私は明るいキャラクターに見られることが多いから、少しダークな雰囲気のタトゥーを入れることでコントラストを出したくてこのアートを彫ったの。

ーSofieにとってタトゥーってどんなもの?
自分を表現するための美しい方法だと思う。デンマークでは昔船乗りをしていた人たちが、自分の大切な人を忘れないように家族や恋人を表すタトゥーを彫っていたの。そういう話も美しいなと思う。
ただデンマークではタトゥーに対しての偏見はないけど、やっぱり全身に彫っている人は仕事を選ぶときに影響が出てしまうと思う。でも4つ目をまた彫ると思う!(笑)

▼Line Egelund Garnæs

ータトゥーは何個入れてるの?
ひとつだけ。去年ロシアに旅行に行った時に友達と一緒に彫ったの。

ーなんでラクダ?
吸ってるタバコがCAMELだから。笑 深い意味はないの。

ーLineにとってタトゥーってどんなもの?
自分を表現するためのいい手段だと思う。私はタトゥーが好きだけど、たくさん彫るのは好きじゃないかな。

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彼女たちにインタビューをして気づいたことがある。タトゥーとは少し話が逸れるけど、フォルケでは全員が寮に住んでいることもあって普段みんなリラックスした格好をしていた。そこで私が日本とのギャップを感じたのは、どんな体型の子もそれを隠すような格好をまったくしていないということ。たぶんこれが日本だったらコンプレックスを隠すような格好をしていると思う。その時初めて、私たちがいかに「こういうスタイルであるのがいい」ということを無意識に押し付けられているかということに気がつかされた。

そして彼女たちに質問をしてみて面白かったのは、「あなたにとってタトゥーってどんなもの?」という問いに全員が「自分自身を表現するためのもの」と答えたことだった。それは自分の体を「人にどう見られるか」と考えがちな私たちに対して、彼女たちは自分の体を使って「人にどう見せるか」という考え方の違いが浮き彫りになった。
日本でも少しずつタトゥーがカジュアルになっていると思うけど、自分の体を人に見られるためではなく、自分を表現するための手段として捉える人が増えたら、コンプレックスや押し付けられている価値観から自由になれる人が増えるんじゃないだろうか、と感じたインタビューだった。

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